水樹弥生と相川結(1)
頑張って2話分投稿しました。
いつも読んでくださっている方々、ありがとうございます。
二学期の初日である始業式を終え、コウは弥生を自宅に招いていた。
というか、、招かされたと言えば正しいだろう、、。
コウの自宅は、学校から徒歩15分程の距離で近すぎず遠からず、丁度良い距離であった。
玄関のトビラを開けて「ただいま」と呟くように言うと、脱いだ自分の靴を綺麗に並べだすコウ。
それを傍で見ていた弥生は少し関心する。
『この年頃の男の子は、ば~んと脱いで、だ~んと家に上がる感じなんだけど』
『何だか凄く躾がなっている感じよね、、、』
「おかえりなさい」
と、コウの母親である相川 瞳が居間から廊下に顔をだす。
コウの母親であるからして40歳前後のはずだが、どう見ても20代後半にしか見えない。
童顔というか、ただただ若く見えるのである。
その上、なかなか美人で、さぞかしご近所の男性には人気があるであろう。
そう思いつつ弥生は、頭を下げて
「お邪魔します」
瞳は何故か、弥生を見て驚いた様子だった。
そしてコウに案内されて2階へあがってゆく弥生。
少し呆けた様子の瞳は、
「、、、いらっしゃい、、、」と力なく返事をする。
コウと弥生が2階へ上がり切ったのを確認すると瞳は、慌てた様子で居間に戻る。
居間のソファーには、コウの妹である結がゴロゴロしていた。
結はコウの1つ歳下で、コウと同じ高校に通っている。
その結が、びっくりした様子で突然バタバタと居間に戻ってきた母親に何事かと問う。
瞳は呟くように結に答える。
「コウが初めて学校の女の子を連れて来た!」
それを聞いた結は、ぽかーんとなってしまう。
「、、、、」
そして鼻息荒く瞳は
「しかもすっごい美人!!」
我に返った結が、どっちに驚いたのか分からないが、
「えええええ?!」
瞳は、ビシっとよく分からない方向を指して
「お菓子とお茶持って偵察してこい!!」
同じく結は、ビシっと敬礼ポーズをとると
「了解!!」
この親子は、出歯亀やる気満々であった。
コウは何の躊躇いもなく弥生を自分の部屋に案内して招き入れた。
普通なら年頃の男の子の部屋というのは結構散らかっているものだ。
そして異性を自宅に呼んで、しかも自分の部屋に入れるとなると、
「ちょっとまってて、片付けるから!」
という展開になるはずだ。
弥生のそんな予想を覆すコウの行動に少し驚く。
理由はすぐに分かった。
コウの部屋に入ると綺麗に整頓されていて、毎日掃除機もかけている感じである。
弥生からすれば、コウはもっと男くさい感じなのだ。
非常に主観と偏見であるが、とにかくそんな感じなのだ。
だから弥生はコウが割と神経質なんだなぁ、、と勝手に解釈して内心で呟く
『何だか、女の子みたいだよ、、』
そして「ぷぷっ」と笑ってしまう。
コウはそんな弥生の様子を訝し気に見つつ、鞄を机の横に置く、
「適当に座って」
どこに座ろうかと考える弥生は、無意識に部屋を更にじっくり観察してしまう。
ふと本棚が目につき、格闘技、美味しいお茶の入れ方、パソコンの本など、なんだかいろんな種類があった。
弥生は部屋の中央に置かれているテーブルの前に座り
「男子の割には綺麗な部屋だねぇ」
コウは机の前のイスに座り嫌そうに
「人の部屋をじろじろ値踏みするな、、、」
「で、本題だけど、AOのフレンド登録だっけ?」
「うん、突然で迷惑だったかな?」
コウは呆れたように
「何を今更、有無を言わせず捲し立てたくせに」
「しおらしくしても、ワザとらしいだけだぞ」
開き直った様子の弥生は
「あ、、バレてた?」
ふぅ、と軽い溜息をついてコウは改まって
「でもなぁ、水樹さんの期待には添えないよ、、」
いきなりの展開にビックリした弥生は
「え?? どうして??!」
コウは申し訳なさそうに
「今は訳合ってAOのプレイは休止してるんだよ」
それを聞いた弥生は押し黙ってしまう。
そして少し考え込んだ弥生は
「じゃぁ、はなから約束を守る気も無くて、私を部屋に連れ込んだって事?」
コウはツッコムように
「いやらしい言い方するなよ、、、、」
何だか2人の雰囲気が微妙になったとき、コウの部屋のトビラをノックする音がした。