表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/127

相川煌と黒瀬ヒカリ(4)

外出の準備を整えた結が、自宅の2階から軽快な足取りで降りてくる。



結の姿は、膝丈より少し裾が上にあるワインレッド色のショートワンピースを身に纏っていた。

その上から黒の極薄でシースルーぽい超ロングのカーデガンを羽織っている。

ワインレッドと黒の取り合わせが非常に良くあっていて、15歳の少女にしてはかなり大人びて見えた。

手に持つのは、服に合わせたのか赤色で小さめのショルダーポーチだ。



続けてヒカリが階段を降りてくる。

その身に纏うは、真っ白な肌にとても合う黒のワンピース。

それは、レースを基調にして少しだけゴシック調をテイストをしたもので、普通の人間が着るとある意味派手すぎてとても似合わないだろう。

しかし非常に整った美しい容姿のヒカリが着ると、まるで予定調和のように馴染む。

そして細くてすらりとした脚には、白の薄手のタイツだ。

手には小振りの黒い日傘と、黒くシックで小さな鞄が持たれている。

一見すると黒ゴス?と見間違えそうだが、、そこまで甘くはなく丁度いい一般的な雰囲気に落ち着いていた。



丁度、1階の廊下にいた母親の瞳が2人に気付く。



3人が1階で鉢合わせして瞳が、

「あら、なんて綺麗な女の子なの」

「結のお友達かしら?」



結はニヤリとしつつ、

「これ、お兄ちゃんだよ」



無表情で硬直する瞳。

「、、、、、、」


少し間をおいて我に返った瞳は、

「ええええっ??!」


瞳はコウを見つめながら少し震えた様子で

「こんな趣味が有ったなんて、、、」

すぐに否定するコウ、

「いや、、趣味じゃなくて、、」


結が慌てて2人の間に割ってはいって

「待って、、これには訳があってね、、」

結は分かりやすく掻い摘んで、母親の瞳に事の顛末(てんまつ)を説明した。







瞳は腕を組んで考え込むように

「なるほどね、、、、」


そして一変して嬉しそうな表情で

「でも、こんな可愛いくて綺麗な娘が2人も出来て」

「お母さん嬉しいわ!!」



結と瞳が、ニコニコしてお互いの手を合わせる。

そしてドヤ顔で結が

「でしょっ!」

傍にいたコウは、少し引き気味で嫌な汗をかいていた。



突然、居間から廊下に顔だけだした父親の孝雄が

「お父さんも嬉しいぞ!!」


そのまま孝雄は、

「そうだ今夜は一緒に風呂入ろう!」

コウはキレ気味でツッコムように

「今まで一緒に風呂なんて一切言ったこと無いくせに!!」

「この変態オヤジが!」



そしてコウは、自分を落ち着かせるように息を吐くと

「ところで母さん、、」

「訳が有るからと言って、自分の息子が女装なんかして怒らないのか?」

キョトンとした表情の瞳。



考えるような仕草で瞳は

「う~~ん」

「コウは頭も良いし、善悪の分別もちゃんと理解してる」

「それに親の言う事もよく聴くし」

「正直、うちら親にしてみればもったいない息子だよ」



瞳は真剣な表情でコウの前に立つと

「人様に迷惑かける訳ではないのでしょう?」

コウは素直に「うん、、、」と頷く。



優しくコウに微笑んだ瞳は

「なら好きにすればいいのよ」

「ねぇ、お父さん」


すると「おう」と、居間から孝雄の声だけがした。



少し感動した様子のコウ。

「母さん、、、父さん、、、」


そんなコウを見ながらニヤニヤした顔つきで瞳は、

「でさぁ、お父さんとが嫌なら、私とお風呂一緒に入ろうか!」

コウは貞操を守るような仕草で

「なんでやねん!!」



そんな親子二人のやり取りを、傍でドン引きして眺めている結であった。





















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ