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幕引きと決着の行方

シウスは剣聖コピーの隙を見逃さなかった。

次元断を絶掌で防いだその隙を。



まるで予定調和のように剣聖コピーが絶掌を使用し、それと同時にシウスは疾風で剣聖コピーに肉薄していた。



そしてシウスの妄執の太刀絶斬が、剣聖コピーを背後から斬り裂いたのだ。



まさに一瞬の出来事。



斬り裂かれた剣聖コピーは、倒れ伏すと砕け散り消失する。



メイリンは椅子から立ち上がると呆然と呟いた。

「一撃だと、、、」

そして少し俯くと震えるように、

複製(コピー)のポテンシャルは剣聖と同等以上にデザインした筈、、」



噛み付くような勢いでメイリンはヒカリを睨み付けた。

「操作するAIも剣聖(あなた)の対戦記録を全て収集し、分析した上で学習させたのだぞ!」

「こんな簡単に負ける筈が無い!」



ヒカリは冷たい瞳でメイリンを見やる。

「AIだと悟られた時点で、私の勝利は確定していた」



信じられず理解出来ず、焦ったように問い返すメイリン。

「ど、どう言う事だ?」



ヒカリは少し呆れた様子で溜息をつく。

「AOの近接戦闘は展開が速い」

「相手のガードモーションを瞬時に見極めて、最速のタイミングで投げを使う、、」

「そんな事は人間には不可能と言っていいだろう」



そしてヒカリはメイリンに鋭い視線を向けた。

「故に私の贋物を操るのはAIだと判断した」


「更に付け加えるなら精度の高過ぎる攻撃とディフェンスと言ったところか、、」



メイリンは納得のいかない様子で声を荒げる。

「それがどうしたと言うんです!」

「それだけでは、AIでは貴女に勝てない理由になっていない!!」



「まだ分からないのか?」

とヒカリの冷たい声が静かなホールに響き渡る。

更に続けた。

「止めの要因となった贋物の投げは、私が誘発させたのだ」



ようやく何かに気付いたように目を見開くメイリン。

「まさか、、AIの挙動を利用したと?!」



ヒカリは不敵な笑みをメイリンに向けた。

「人型エネミーのAIを流用したのだろうが、、」

「私を含むナインピラークラスには、AOのAIは通用しない」



メイリンは愕然して椅子にヘタリ込んだ。

「そんな、、、」





シウスは雨音に頭を下げた。

「雨音さん、、ありがとうございました」

「あなたが居なければ今頃どうなっていたことか、、」



雨音は少し慌てるように両手を横に振る。

「礼には及ばないよ」

「私が間に合って、、役に立てて良かった」



雨音はニヤリと笑むと内心で呟く。

『しかし流石、剣聖と言うべきか』


そして鞘に収まったソードオブクロノスを見つめた。

『最悪、私が奥の手で2体とも倒す予定だったのだが、、』

『その必要も無かったか』


雨音が見つめるソードオブクロノスの概要欄には、固有スキル"時間制御(タイムマニピュレーション)"ともう一つのスキルが表示されていた。


"オーバードライブ"と、、。




雨音はシウスに向けて片手を上げると、

「それではお暇するよ」

「お疲れ様」

そう言うと直ぐにテレポートアイテムを使用したのか、姿が消え始める。



シウスが見送る様に手を振った時には、雨音の姿は影も形も無く消え去っていた。





ヒカリはシウスをログアウトさせると、USBアクセスキーをパソコンから取り外す。

そして席から立ち上がった。

「さて、、」

「勝負は私の勝ちだ」

「約束は守って貰うぞ」



メイリンは俯いたまま席から動かない。


だが突然、不気味に笑い出した。

「ふふ、、、ふふふっ、、、」



席から微動だにしないメイリンは、俯いたまま呟くようにヒカリへ語りかけた。

「水樹弥生さんには、とても親しいボーイフレンドがいるらしいですよ、、」



ヒカリはメイリンが突然言い出した内容と意図に、理解が追いつかなかった。


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