23 そのロリコン、ご褒美はなんですか
私の駄作を読んでいただきありがとうございます。
もう少し、喜んで読んでもらえるように頑張ります。
ヴィクターが俺に向かって歩いてくる。
体術メインのフィッターとはオーラが違う。
フィッターが倒されても、全く動じることなく向かってくるヴィクターは、明らかに強い。
動じることがないということは、フィッターよりも遥かに強いという自負を持っていることだろう。
レストランでは、フィッターにダメ出しをされていたが、それは体術だけに限定という捉え方で間違いない。
鑑定スキルで分かるが、体術は2だ。
それでもスキルがあるだけで一般人とは比較にならない。
弱い魔物なら、素手で倒せるレベルなのだから。
体術に頼らずとも、ヴィクターには、剣術7、双剣術5、短刀術7のスキルが付いている。
いわゆる剣士という奴だ。
間違ったふりして首でも飛ばされたら、やり直すことはできない。
ルール上は、命のやり取りはない。
しかし、この異世界、どこまで元の世界の常識が通用するのか、どこまで本音と建前が違うのか分からない。
本当に命のやり取りをしないのか。
手加減を間違えて、相手が死んでしまったら、罪に問われるのか。
それを聞くことすらできなかった。
もし聞いた上で相手が死んだら、故意と思われる可能性があったから。
勇者ランブルパーティーが、当たり前に判断できることが、俺にはまだ出来ない。
できないから本気を出せない。
リミッターを付けられた状態で、勝つためにはどうすればいいのか。
俺の何を出せば、ルール内で、勝つ確率を上げられるのか。
俺の勇者スキルを封じられた状況で、勝つ確率を上げられるものは何があるのか。
近寄ってくるヴィクターを、余裕の表情とは裏腹に、びくびくしながら待っていた俺に、突然マイハが背中に飛び蹴りを入れてきた。
「辛気臭いオーラ見えてましゅ。あんなロリコンにびびるなでしゅ」
「そりゃあ仕方ないってもんだぜお嬢ちゃん。俺の強さが分かるだけで、優秀だってことさ。二人がかりでもいいぜ」
仲間が倒されたというのに余裕のヴィクター。
そのヴィクターに、人差し指を指してマイハがビシッと言う。
「ロリコンを隠そうともしない変態は死ねでしゅ、ロリコンを正当化しようとする変態は死ねでしゅ、マイハに手を出そうとする変態は死ねでしゅ」
「気の強いお子様は大好きだぜ。益々楽しみになってきた」
「目には目を、ロリコンにはロリコンでしゅ。パパが行くでしゅ」
マイハはそう言うと、セーフティースペースに走って逃げて行った。
俺もロリコン枠なのか?
納得できない。
しかし腹は決まった。
少々やり過ぎても仕方ないのだ。
なぜなら、俺の大切なマイハに、真っ向から獣欲を向けているのだから。
これだけで、俺の中では死刑に値する。
異世界の小さな町のシステムやルールなんてものに捕らわれる必要はない。
俺とマイハは、望まない異世界に転生させられ、理不尽な扱いを受けている。
神に歯向かうつもりの俺たちが、そんな小さなことで悩む必要はない。
「俺が命以上に大切にしているマイハを狙うからには、当然命を賭ける覚悟はあるんだろうな」




