11 その小娘、合コンへ行く
2週間ぶりに更新&誤字脱字修正しました。
結構、誤字脱字がないように見ていたはずなんですが、読み返すとミスが多いことに唖然としました。
もっと更新すべきか、それともしっかり中身をチェックしてから更新するべきか迷います。
午後3時、金のフクロウ亭。
「それじゃあ、大鍋料理にするほかねえな」
「ダンゴーさん、済みません」
謝っているのは冒険者ギルドの受付嬢クリスタ。
「そんなことはねえぜ。たまにはラムにも休みをやらなけりゃ、とは思っていたんだ。それに、男っ気がこの町の冒険者だけじゃ、男を見る目も養えねえしな」
「本当に済みません。ギルド長からの頼みなので、会費はギルドで負担することになっていますので」
「じゃあ、タダ飯って奴ね」
「一応『勇者』だから大丈夫だと思うけど、ギルドに来て直ぐに合コンをセッティングして欲しいって言うような人達だから、隙を見せてお持ち帰りされないように、飲みすぎないよう気を付けないとね」
気軽に引き受けたラムとは対照的にクリスタは不安を口にした。
「大丈夫だって。私はダーリさん一筋だから」
「お前は、やっぱりあのバツイチ勇者を……」
「そんなんじゃないってば。冗談だって」
ラムはダーリを気に入ってはいたが、あくまで、粗野で積極的な冒険者が多い中、立ち居振る舞いや物腰の柔らかいところが気に入っているだけで、正直疑似恋愛を楽しむと同時に、年上のおじさんをからかっているだけであった。
「私はダーリさん結構好きだけどな」
ぽつりとクリスタがつぶやく。
「へえ、それなら応援してあげよっか」
「えっ、冗談よ冗談」
聞かれているとは思わなかったクリスタが慌てて両手を前に出して否定する。
「冗談なら私が貰っちゃおうかな」
「もう、からかって」
頬を膨らませるポーズをするクリスタ。
「それじゃあ、午後6時にホテルノースリミット1階のレストランで」
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「この家は、結構広くて新しいですね」
「ここは前の住人が有名な薬師で、家を建ててすぐに首都の研究所に引き抜かれたため、売りに出したそうよ」
ピノワールがパンフレットを見ながら説明する。
「マイハはどうだ?」
「ここは気に入りましたでしゅ。水回りもしっかりしていましゅし、工房もちゅいていて色々使いやすそうでしゅ」
「じゃあ、ここを第一候補にして、今日は夕飯にしようか」
この家は、立地もいい。
近くに食べ物屋さんが結構ある。
「マイハ、おなかすいたでしゅ」
「じゃあ、うちに来ますか?せっかく食材を買ったので。マイハちゃんが好きそうなお菓子もあるわよ」
物件を回りながら、途中のお店で、旬の野菜や肉を中心に買い物していたピノワール。
「そんな悪いですよ、付き合わせただけでも申し訳ないのに。せっかくなので、奢らせてください」
「私、料理が好きだから、味見して欲しかったなぁ。それじゃあ、今日はご馳走になるから、次は私の手料理を食べてね」
なんか罠というか、地雷っぽい発言が……。
「いいですね。マイハも料理好きなので、みんなで料理を持ち寄ってパーティーしましょうか」
うまく切り返せた。
「……」
明らかにテンションが下がるピノワール。
「マイハ、トマトの檸檬煮食べたいでしゅ」
マイハが突然夕食の話に引き戻す。
ここに来る途中、ピノワールの話に出ていたデザートのことだ。
「トマトの檸檬煮だと、お店は『ビッグトレット』ね」
「そこは遠いんですか?」
「すぐですわ。ホテルの1階にあるんです。でもちょっとお高いかも」
「大丈夫です。そこにしましょう。ピノワールさん、案内していただけますか?」
ピノワールも受付嬢。
俺が『お高い』くらいの夕飯代を楽に払えるくらいの大金を稼いだことを知っているのだろう。素直に案内を始めた。




