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魔王なんですが実は、隣にいます。  作者: 夕凪
序章 そして魔王は勇者と出逢った。
2/22

プロローグ2

「キサマガ、勇者カ…何ト言ウ強サダ……ダガ、魔王様ニハ敵ウマイ…グフッ」


最後の魔物を一刀で斬り伏せた俺には、ふうっと一息つく暇すらもなかった。

その先を急ぐと程なくして見えてきたそれは…。


ついに俺は魔王城の最深部までやって来た。

そこに待ち受けるは世界を混沌の闇で呑み込んだ災厄である魔王。

奴を倒せばこの世界は再び光を取り戻す。

決戦の時は刻一刻と近づいていた。


重々しい音が鳴り響き玉座の間の扉が開いた。


「魔王…!覚悟しろ!」

「…来たか勇者。矮小なる人間風情が…我ら魔族に逆らった事を後悔し、此処に朽ち果てるが良い」

「我が名は魔王……っ!?」


何やら魔王の様子がおかしい。

こちらをじっと見つめたまま硬直している。


「魔王様、如何なされました」

「何でもない!う、運がよかったなきゃさま。貴様、運がよかったな!きょきょ今日の所はここまでにしといてやろおぅ!」


魔王の唐突な心変わりに配下の魔族達はどよめき、その動揺を隠しきれない。

それはもちろん俺も同じだ。勢い良く引き抜かれた筈の聖剣が、所在なさげにキラリと光った。


「と、とにかく今日はダメ!いいからほら、かえれかえれ!」


何だこの展開は?

玉座に座ったまま子供のように手足をばたつかせた魔王は、そう叫び終えると広域範囲に向けて衝撃波を放った。



ん…?

ここは魔王城近郊の森か。

どうやら俺は強制的に空間転移させられたようだ。

再び魔王城に近づくが城自体に魔法防壁が張り巡らされており、文字通り一歩も足を踏み入れる事が出来なくなっていた。

残念だが今の俺には魔法を解除する手立てはない。これは困った事になったな。

…しかし、俺の想像していた魔王とはイメージが違いすぎた。


***


時を同じくして魔王城、玉座の間


「ど、どうしよう…」


大変な事になったよ。

その、魔王がね、人間をね、ゆゆ勇者をだよ?好きになっちゃうとか、それって有り得るの!?しかも一目ぼれでね?あくまでも魔族の因縁の敵なんだよ、言うなら怨敵だよ勇者!?ああ、さっきの口上へんな動揺してる感じでちゃってたし、アレ絶対に変な子だって思われた!もうね魔王の威厳とかゼロ!うわああぁ恥ずかしすぎて今すぐにでも封印とかされたい!と、とりあえず二重防壁オートロックして誰も入って来られないようにしよ!あー、でもまたあの人とお話したいな…へへへ。それから名前も知りたいな。


「おい、誰かいないか!…おーい!」


私の声だけが虚しく魔王城を木霊する。

何で誰もいないの?もう、まったくあいつらは使えないんだから。

とりあえず減給ね減給。


その日、何故か魔王城に入れなくなった魔族達が集い、新たな街を興したという。

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