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『8/6 ノベルstory07 発売』私は悪役王妃様  作者:


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皇帝の包囲網


と、まぁ大口を叩いたが、それだけが理由ではない。

帝国の情報を掴もうと使者を送ったところで、謁見出来たとしてもほんの数十分。その短い時間の中で得られるものなど高が知れている。時間とお金の無駄。

だったら、皇帝の内輪の宴に参加出来ることはある意味幸運だと思う。最低でも三日は滞在することになるだろうし、その間に私の影なり護衛なりを咎められない程度に動かすつもりではある。

侍女はアネリ、専属護衛にウィルス、テディ、アデル。道中の護衛にはクライヴ率いる近衛騎士隊が数十名。敵国に向かうにしてはかなり数が少ないが、今回は戦争をしに行くわけではなく皇帝の賓客として招かれたのだからこれが妥当な数となる。

多くの騎士を連れて行くと色々と勘繰られてしまうし、無暗に戦をしないと宣言したばかりなのだから、罠に嵌め私を人質に取って……などと愚かなことはしないと思いたい。

まぁ、万が一に備えて色々と準備はしておくけれど。


「セリーヌ様。それは……?」


荷物を準備している侍女sの横で資料片手に思考に耽っていると、既に荷造りを終えたテディが私の手元に視線を送っていた。


「宮殿の大まかな見取り図よ」

「……宮殿とは、帝国のでしょうか?」

「えぇ。記されていない部分もあるけれど、そこに用はないから。客室の位置、外へと抜けられる場所、その他、必要な部分は揃っているから目を通しておきなさい」

「帝国の、皇帝がいる宮殿ですよね?」

「そうよ?ウィルスとアデルにも伝えておいてちょうだい」

「……承知しました。直ぐに!」

「え、テディ……」


テディはくるりと踵を返し、足早に部屋を出て行ってしまった……資料を置いて。呆然とそれを見送り、どうしたものか……と侍女sに視線で助けを求めてみた。

が、侍女sは楽しそうにドレスを選んでいた手を止め、クスクスと笑いだした。


「余程驚かれたのでしょうね」

「その気持ち、わかりますわ」

「私も二度見してしまいましたから」


アネリ、エム、エマは私を見ながら眉を下げて困ったように微笑んでいた。

そう、まるで幼い子供を見守るかのように……これ知っているわ、良くラバンの侍女にもされた顔だもの……。


「二度見……もしかして、コレのこと?」


資料を左右に振って見せると、侍女sは軽く頷きドレス選びに戻ってしまう。

普段よりも上機嫌なアネリは鼻歌を口ずさみ、エムとエマは物凄い量のドレスを箱にどんどん詰めていっている……。


「……それにしても、凄い量ね」


床に敷かれたシートの上に置かれている数々のドレス。ワインカラーからネイビー、イエローカラーのものもあればピンクという可愛らしいものまである。

以前の私が好んで着ていた淡いグリーンのドレスは全て仕立て直し寄付され、新たに作らせたものにはアーチボルトの瞳の色のものはなくなっている。

因みに今身に着けているのは、淡いブルーのボリュームたっぷりなチュールスカートに、刺繍があしらわれたプリンセスラインドレスである。優しく可愛らしい印象を与えるドレスは、私が着ると何故か真逆の印象に変わってしまうが。


「そんなに、必要かしら……」


積まれた箱の数を数えながら、思わず口から零れた言葉だった。

そう、俗に言う独り言というもので。

返答を期待していたわけでもなく、侍女sに対しての文句でもなかったのだけれど……。


「必要ですわ」

「まだ足りないくらいです!」

「できれば、全てお持ちしていただきたいくらいです」


なんだろう、この見覚えのある光景は。

ヴィアンへ嫁ぐ数週間前に、ラバンの侍女達とそれに交じって兄が同じようなことをしていた気がするわ……。

これ、そっとしておいた方が良いやつだ。


「そ、そう。貴方達がそう言うのであれば、必要なのよね」


鼻息荒く頷く侍女sからさり気なく離れるように席を立ち、鳥籠の側に置いてある木箱を持ち上げた。蓋を開け、兄から送られた手紙の下に埋まっている白い布を確認し、手に取る前に箱を閉じた。

コレは封印しているのだ……使う日が訪れないよう、布でぐるぐる巻きにして。

でも、もしかしたら、無いと願いたいが!必要になるかもしれない。

暫くの間木箱をジッと見つめながら葛藤し、溜め息と共に覚悟を決め、アネリに荷物の中に入れておくよう指示をした。

それと同時に、荷造りをしていた筈のウィルスとアデルを連れてテディが部屋へと戻ってきた。


「セリーヌ様、宮殿の見取り図をお持ちだとお聞きしましたが」

「後でも良かったのだけれど。準備は終えたのかしら」

「はい。私達はこの隊服と剣さえあれば良いですから」


あの真っ白な面を顔半分だけが隠れる黒い仮面に替えたウィルスは、笑みを浮かべ両手を広げて見せてくれた。多分、今直ぐにでも出発出来ますよ!的な意味合いなのだろう。

ちらっとウィルスの隣に立つアデルを見ると、苦笑しながら「大丈夫です。私が、ウィルス様の分も確認しておきましたから」と心強い言葉を返してくれた。

ウィルスの言葉は本気なのか冗談なのか判断しにくいので困るのだ。

だから、専属護衛騎士のお母さん的な立場であるアデルには本当に助かっている。後が怖いからお母さんなどと口が裂けても本人には絶対に言わないけれど。


「大まかなものだから、実際に宮殿に行ったらこれと照らし合わせて確認してちょうだい」

「拝借しても?」

「どうぞ」

「……良く手に入りましたね。皇族が暮らす内廷部分以外は、かなり詳細に記してありますよ」

「お兄様から頂いたものだから」

「あの方でしたら、可能でしょう。寧ろ内廷の方も持っているかもしれませんね」


いや、流石にそれはないでしょう……と思いながらも、あの兄ならもしかしてとウィルスの手にある資料を覗き込んだ。

皇帝と親しいからこそ宮殿の見取り図なんて物を持っているのだろう。それに兄なら宮殿内を平然と闊歩してそうだし。

見た感じは書いていないが、火で焙ったら浮かんでくるとかないだろうか?

顔を近づけてみたが何も変わらず、ウィルスの手から書類を抜き取り上や下へと動かしてみるがやはり変わらない。

そんなものよね……と、ふと顔を上げると皆の視線が私に向けられていた。

しかも、またしてもあの幼い子を見守るかのような微笑みで!テディにまで!


「……どうぞ」


表情筋を総動員し、何事もなかったかのようにウィルスの手に書類を挟んでみたが。


「大変お可愛らしいお姿でした」

「……」


世界の美丈夫よりも数倍魅力的な顔でそんな言葉をかけられてしまった……。

恥ずかしさのあまり突っ伏しそうになった身体をロボットのようにぎこちない動作で動かし、緊急時の脱出条件の認識合わせ、役割分担など、帝国領内に入る前に必要なことを話し合う。

ウィルス、アデル、テディの専属護衛騎士と近衛騎士隊隊長のクライヴは宮殿内での私の護衛を務める。クライヴは宮殿内には入れない近衛騎士隊の指示、それと宴での私のエスコート役でもある。

脱出ルートの確保は後程ウィルスがクライヴと話し合うことになり、アデルは実家を使って脱出する際の移動手段を用意し、テディは宮殿内の騎士の配置、侍女達の動きを把握することになった。

念には念を入れよ。

見取り図の下にでかでかと書かれていた、兄であるレイトンからの温かいお言葉である。



※※※※※※※※



ヴィアンと帝国の領土の境界、そこには全身を金属の鎧で覆った騎士が並列していた。

帝国の紋章と二対の剣が描かれている旗が風に靡き、馬に跨ったまま微動だにしない騎士達に圧倒され,まるで今から開戦するかのような雰囲気に乾いた喉が鳴った。

さて、このまま睨み合っていても埒が明かない。

馬車の窓を開け、直ぐ近くにいるウィルスに声をかけようとしたとき、帝国側が動いた。

並列していた騎士の中央にいた者が馬から降り、こちらへと歩いて来る。

それに気づいたクライヴも馬から降り歩を進め、互いに何か言葉を交わしたあと帝国の騎士が顔を覆っていた兜を外し、一つに縛った長い髪、中性的な顔立ちが露わになった。

一見男性のように見えるが、クライヴと並ぶと鎧を纏っていても違いがわかるほどの線の細さ、女性的な仕草。フランのような少女と間違うような騎士もいるかもしれないが、あの子は女性らしい体型でもなければ動きががさつ過ぎる。

恐らく私の出迎えの為に態々女性騎士を寄越したのだろう。

クライヴと馬車の側まで歩いて来た帝国騎士は、アネリが開いた窓の前に立ち騎士の礼を取り、私は扇子で顔を半分隠した状態で直答の許可を出した。


「私は皇帝直属帝国第一騎士団副団長、コーネリアス・ベイカーと申します。皇帝の命によりお迎えに参りました」


皇帝セオフィラスは皇太子時代に戦場で暴れ回り、彼と帝国第一騎士団が通った道には草一本残されないとは有名な話……。

出会ったら死を覚悟しろと言われているラバンの黒服隊とて、まともに戦えれば良い方だと兄が言っていたのを聞いたことがあった。

その噂の部隊の副団長……とんでもない人を寄越してきたわね。

確かに皇帝直々に招待された賓客なのだろうが、好待遇過ぎて恐ろしい。


「出迎えご苦労様です。帝都まではどのくらいで着くのかしら」

「途中町に宿泊し、二日程度で到着するかと思われます」

「そう。帝国領内は、思っていたよりも物騒なのね」

「……いえ、そのようなことはありません」

「あら、かの有名な帝国第一騎士団の副団長様が大勢の騎士を従えて護衛なんて、何かあるのではないかと恐ろしく思ってしまって……」

「ご心配には及びません。万が一のことを配慮された皇帝の御厚意ですので」


万が一、と口にしたときコーネリアスはヴィアン側の騎士に一瞬視線を向けた。

あーそういう……ヴィアンの騎士は無能だと……私の専属騎士まで一括りにしやがったわね。

配慮……まぁ、確かにそうなのだろう。色々こちら側の内情を知っているだろうし、実際に一時的に護衛にもなったしね。

でも、帝国領内を直属の部隊に守られながら帝都へ進むなんて、別な意味で勘繰られても可笑しくはない。これが未婚の女性ならば側室、または正室候補かと、男性ならば政治的に重要な人物なのかと。

けれど、ヴィアンの紋章が描かれた馬車の中には敵国の王妃が乗っている。

王を手の平で転がし、熱心に仕えてきたベディング侯爵を追い落としたと、最近更に悪名高くなった王妃が……。

この対応を知ったら帝国、ヴィアン国の者達はどう思うか……人質、或いは王妃の裏切り。ヴィアンは間違いなく後者な気がするわ。

ベディング伯爵辺りは、また私の我儘が発動した挙句皇帝を誑かしたとか邪推しそうだし。いや、戦争反対派だったから私を差し出して保身を図ろうとかもあり得るのかしら?

あー、もう面倒くさいったらない。


「そうね、でしたら私もその御厚意を裏切らないよう最大限努力しなくてわね」

「……それは、どういうことでしょうか?」

「ふふっ、帝国最強の部隊と私が選抜した部隊ですもの。少しの無茶も可能よね?」

「……」


困惑するコーネリアスに微笑みかけ、クライヴを手で呼ぶ。


「お呼びでしょうか」

「えぇ。全騎士に指示を、帝都へ着くまで全速で馬を走らせなさい」

「全速ですか?」

「……ウィルス、指示を」

「承知いたしました」


意図が分からず首を傾げるクライヴでは使えないと判断し、様子を窺っていたウィルスに任せることにした。一応近衛騎士隊隊長の面目を潰さないよう配慮してあげたのに。


「そのようなことをなされなくても、夕刻には町に着きますが」


そして、もう一人。眉間に皺を寄せるコーネリアスにもやって貰うことがある。


「町へは寄るけれど、宿泊はしないわ」

「ですが、それでは」

「このまま、夜通し走ってもらうわ」

「馬が駄目になってしまいますが」

「町で馬を換えられるよう手配なさい。帝都ほどではないけれど、立ち寄る所はそれなりに大きな町だと聞いているから可能よね?」

「本気で仰っておられるのですか?ご婦人には少々お辛いかと」

「えぇ。私、凄く我儘なのよ。それを知っていながらご招待してくださったのでしょ?このくらい、許容範囲よね、皇帝直属の副団長様」

辛かろうが何だろうが、町に泊まりヴィアンの王妃が皇帝に手厚く守られていたなどと噂が広まるよりは良い。今ヴィアンにはアーチボルトしかいないのだから。


「承知いたしました。準備が出来次第、出発させていただきます」


駆け足で帝国側に戻って行くコーネリアスを見とどけ、クライヴにもウィルスと共に指示を出せと手を振る。


「セリーヌ様、町へ到着されましたらこれをお使いください」


アネリが荷物から取り出したベールを私の手に渡し、下ろしていた髪を結い上げた。


「快適な旅にはならないわね……ごめんなさい、アネリ」

「いいえ。醜聞が広まるよりは強行軍の方がよろしいかと」

「……まったく、皇帝は何をお考えなのかしら」

「……いっそ、馬車の紋章も隠しましょうか」


何事か呟き馬車の外へと出て行ったアネリは、近づいて来たアデルとテディと三人で輪になり話し合っている。仲が良いのよね、この三人。


準備を終え、帝国の領内に入りいくつかの町を抜け、無事帝都へと着いた。

思っていたよりも、かなり辛かった……。主にお尻が……。

それでも、一日中馬を走らせ小休憩しか取れなかった騎士よりは数倍ましだろう。本当にご苦労様である。後でちゃんと労わないと。

止まったままの馬車の中から見えた疲労の色が濃いウィルス達に心の中で謝罪し、ベールを被ったまま馬車の窓から外を窺い、驚きのあまり言葉が出てこなかった。

今私達は帝都の門で中へ入る為の手続きをしている。

街全体に石造りの高い城壁が張り巡らされている此処は帝都であって……。

いつ戦争になっても可笑しくはない世界なのだから防御壁があるのは当たり前のことなのだけれど、これはあまりにも……巨大過ぎる。

恐らく構造材もただの石ではないのだろう。色も形もそうだが、厚みもヴィアンやラバンの倍はある。こんなもの見たことが無い。

開かれた門の側には数十名の兵士が立ち並び、一般と商人、賓客と分けて手続きを行っている。ヴィアン国の紋章が描かれた馬車と白と黒の隊服を身に纏っている騎士はとても目立つのだろう。馬車の中にまでざわつき声が聞こえてくる。

何かあった時に逃げられる気がしない……ヴィアンから出た時点で、クライヴを簀巻きにしてラバンへ帰った方が良かったんじゃ……そんなことしたら帝国と戦争と兄の監禁ルートに入るけれど。

窓から離れ、痛む胃を押さえ、ゆっくりと進む馬車の揺れに身を委ねた。


コン……コンコン……。


馬車が止まり、窓が軽く叩かれウィルスが顔を見せた。どうやら目的地に到着したようだ。

扉が開かれるとアネリが先に降り、クライヴが一歩中へと入り手を差し出す。その手に自身の手をのせ馬車から一歩ずつ、雑にならないよう注意を払いながら降りていく。

賓客、それも敵国といえども王族。主である者が馬鹿ではない限り、出迎えにはそれなりの地位を持つ者達を並べているだろう。

だからこそ第一印象は大切。いったん印象が決まってしまえば、それを覆すことは困難になる。ただのお飾りの王妃などと侮られてしまえば、そういう態度で接される。

地面に両足をつき、クライヴから手を離しゆっくりと目線を上げ、思っていた通りのお出迎え……いや、それ以上のものに顔が引き攣りそうになる。

左右にずらっと並んでいる者達は身なりが良く、一目見て上級貴族だとわかる者達ばかり。


「お待ちしておりました」


その中でも一際目を引く男性が一歩前へと出て頭を下げると、周囲にいた者達も一斉に下げる。明らかにこの対応は可笑しい。


「どうぞ、こちらへ」


男性に促され、確認するように私を見たウィルスに軽く頷く。

左右の視線を感じながら、私を先頭に背後にはクライヴとアデル、ウィルスとテディが並び歩く。


「……セリーヌ様」

「えぇ……わかっているわ」


城門を抜け階段を上がった先に誰かいることには気づいたが、遠くて顔はハッキリと見えていなかった。

けれど、皆が頭を下げたとき、そこにいた人物だけは腕を組み立ったままだった。

近づくにつれて顕わになる彼特有のトレードマーク。

背後にいるウィルス達も目の前にいる人物が誰なのか気づいたのだろう。周囲に緊張感が漂う中、手が届く距離まで来たとき、最初に口を開いたのは彼だった。


「久方ぶりだな、待っていた」


毛先がレディシュのダークブロンドの髪、赤に金糸と銀糸で刺繍されているマント。

アンバーの瞳に、艶のある美声。アーチボルトとも、兄とも違った端正な顔。

皇帝セオフィラス・アディソンとは初対面の筈なのに、最早隠す気もない彼は、よりにもよって自ら出迎えに出て来ていた……。

これで大人数での豪華なお出迎えに納得した。皇帝が率先して出迎えているのに他の者達がしないわけにはいかなかったのだろう。

本来なら謁見の場にて初めて顔を合わせ挨拶するものを、この人の所為で順序が狂ってしまったばかりか、先程の言葉で初対面ではないと周囲に取られてしまった。

なんて、迷惑な……。


「随分と、早かったな」


悪戯に成功した子供のように無邪気な笑みを浮かべているセオフィラスには、私の無茶振りは既に報告されているのだろう。


「お出迎え、ありがとうございます。今、この場でご挨拶いたした方がよろしいでしょうか」


衆人環視の中、階段の上で、やらかしますか?と嫌味を含んだ言葉と共に薄笑いを浮かべて見せて差し上げた。口争するのなら喜んで。


「すまなかった、怒らせてしまったな。迷惑だとは思っていたのだが、待ち切れなかった。許してもらえるだろうか」

「……そのようなこと。皇帝自ら出迎えていただき、感謝しております」


帝国領内で、帝国のお偉いさん達が見守っている中で、最高権力者である皇帝の謝罪の言葉にこれ以上なんと言えと?


「では、お手をどうぞ、王妃様」


差し出された手に咄嗟に手を乗せた私を誰か褒めてほしい……。

私の歩幅に合わせて進み、時折微笑みを浮かべるこの人は、誰だろう?どうして皇帝が敵国の王妃をエスコートしているのでしょうか……。

しかもこれ、誰も止められる人がいないっていう……詰んだ。







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