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『8/6 ノベルstory07 発売』私は悪役王妃様  作者:


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報告会議


紺色の司祭服を着て髪を一つに纏め、仕上げに頭から暗い色の薄い布を被る。髪の色はまだ黒のままなので布がなくても素性が明らかになることはなさそうだが、念のために。

夜会の為にエルヴィス王子が用意してくれたドレスは、船が出航したあとクレイが準備していた司祭服に直ぐに着替え大切に箱にしまってある。汚れや解れなど多少あったが、破れていなかったのが幸いだ。


「行くぞ」


麗しい尊顔を隠すことなく晒し、一目で高貴な存在だと分かる純白の衣装を着た自称神の御使いであるルーティア大司教を先頭に船を降りて行く。

大司教の護衛に扮したクレイとウィルスが列の左右を固め、テディとアデルは私とレイトンを挟むように移動し、最後尾をフランと黒服隊と思わしき数人で固めている。


暗闇に紛れて閑散とした街中を移動した先には二台の黒い馬車が待機していて、レイトンに手を引かれながらその馬車に乗り込んだ。


四人乗れる馬車には私とレイトンとルーティア大司教、護衛としてクレイが馬車の前部に座り御者を担当することになり、もう一台用意されている馬車には残りのメンバーが。本来であれば騎士達が私やレイトンが乗る馬車を馬で護衛するのだが、そんなことをすれば身分を周囲に知らせるようなものなので仕方がない。

馬車の扉が閉まると、左右から伸びてきた腕に捕われ温かい体温に包まれる。

ギュッと背後から私を抱き締め肩に顔を埋めているレイトンの頭を指で叩くと、顔を上げたレイトンがにっこりと微笑んだ。


「お兄様」

「そんな目で見ないでほしいな。大切な妹を想って心労で倒れそうだった兄を労わって」


眉を下げ悲し気な顔をされては文句も言えない。

私の負けだと身体の力を抜いてレイトンを椅子にすると、予め用意してあったのか分厚い紙の束を差し出された。


「これは?」

「上はアーチボルト王から渡された調査報告書。下はグエンが襲撃者達から得た情報と、セリーヌの護衛騎士達から聞いた話を纏めた物かな。王城に着く前に軽く目を通しておくと良い」

「端に折り目が付いている紙は?」

「重要な部分が書かれた紙にだけ付けているよ。全てに目を通すのは難しいからね」


この折り目の付いている紙を読めばある程度状況が把握できるということだろうか。

流石常日頃から書類仕事をしているだけのことはある。良くできましたと褒めるようにレイトンの髪を撫でていると、向かい側から「まったく……」と呆れたような声が上がった。


「甘やかすとつけあがるぞ」


二人腰掛けられる席に身体を倒し横になる物憂げな美中年が、私達を見据え何やら不満を口にしているのだが……。


「え、君がソレを言うのかい?」


珍しく本気で驚いているレイトンが声を上げ、全くその通りだと同意するように私も深く頷いた。


「私は甘やかされたことなどないぞ?」

「いや、ルーティア大司教の周囲には君を甘やかす者達しか居ないと、僕はそう認識しているのだけれど」

「そのような者達など存在しない」

「それ、本気で言っているのかい?」

「当然だ」


不可思議な者を見るような目で互いを見つめて首を傾げている二人を放置し、私は手元の書類へと意識を向けた。





一通り読み終えた報告書の束を横に置き、馬車の窓からまだ暗い外を眺める。

港から王城までの距離は然程なく、肉眼で城が見える距離まで近づいていた。馬車は正面の門を横切り裏門へと進み、中へ入って止まる。


さて、長い一日になりそうだとレイトンに凭れていた身体を起し、被っていた薄い布を取り払った。




「セリーヌ」


馬車の外にはアーチボルトとジレス、数名の近衛騎士隊を従えたクライヴが。隅のほうには憔悴しているアネリ達が見え、目に涙を浮かべる彼女達の側にはリンド伯爵が居る。


――そして。



「無事のお戻り、心よりお喜び申し上げます」


ベディンク伯爵が痛まし気に私を見つめながら立って居た。

今回のこの【誘拐未遂イベント】もとい【誘拐イベント】の主犯は、ベディング伯爵が侯爵だったときに派閥にいた者達が画策した事だと報告書には記載されていた。本当のことかどうかも定かではなく、一番に疑われるような立場である本人は一体何を考えて平然とこの場に居るのか……。


ベディンク伯爵に返事をすることなく、私の目の前に立ち沈黙している人物へと視線を戻した。


「出迎えありがとうございます……?」


馬車まで駆け寄ってきていたアーチボルトは途中で急に足を止め、何かを躊躇うかのように私を窺うものだから、誘拐の他にもまだ何かあるのだろうかと語尾が上がってしまった。


「あ、あぁ……」

「アーチボルト様?」

「いや、無事でなによりなのだが、その髪は……?」


ジッと私の髪を凝視するアーチボルトに、コレが気になっていたのかと黒い髪を一房手に取り肩を竦める。


「色々とありまして」

「色々?」

「色々です」

「そ、そうか。疲れているだろうが一度医師に診察してもらい、それから今日はゆっくり休むと良いだろう」


気遣いの言葉に微笑んで見せるが、休んでいる暇はまだない。


「いいえ、重要なお話が多数あります」


後宮の襲撃から始まり、拉致、襲撃、逃走、再びの襲撃から船酔い。

私の望んでいる退屈で平凡な日々とは程遠い激しい日常は、今直ぐにベッドに入って一月は怠惰な生活を堪能しても決して罰は当たらないだろうと心の中で悪態を吐きながら続きを口にする。


「襲撃の調査に関わっている者達を全て招集してください」

「それなら此処に居る者達になるが……」

「では、このまま移動しましょう」

「何処へ?」

「会議室です。先程申し上げましたでしょう?重要なお話があると」

「だが、戻って来たばかりではないか。無理をするべきではない」


休め、無理をするな、全てアーチボルトの本音なのだろうが、フランと私を交互に見ながら言わないほうが良い。私を支えるように立つレイトンがその視線に気付いて冷ややかなオーラを出しているから。


「疲れてはいますので、憂いを払ったあとに休ませていただきますわ。お兄様は……」

「セリーヌが無事に戻ったのだから同盟国とはいえこれ以上は介入しないほうが良いのだけれど、少し気になることがあってね。アーチボルト王、私も会議に参加しても構わないね?」

「それは構わないが……」

「それは良かった。では、セリーヌが早く休めるよう直ぐに場所を移して話し合いを始めようか」

「そうだな」

「部屋の準備は?」

「普段使用している部屋で良いだろう」

「侍従に温かい飲み物と軽食を用意させてくれるかな?セリーヌは疲労と船酔いで体調を崩して何も口にしていないからね」

「分かった。他に必要な物はないのか?」

「そうだね……だったら、夕食用に薄味でクセのないスープを。それと……」


騎士に先導されながら手際良く指示を出すレイトンに只管相槌を打つアーチボルト。どちらが国王なのか分からないと呆れているのは私だけではなく、ジレスやリンド伯爵も薄笑いを浮かべて通路を進んで行く。

アーチボルトが普段政務を行っている居住区画とは別の、謁見の間や中枢で働く貴族の宿泊室などが置かれた建物に会議室があった。

その部屋は私が想像していた会議室とは違い、室内の中央には真っ赤なベルベット生地のテーブルクロスが敷かれた大きな……凄く大きな円卓が置かれ、その円卓を囲むようにぐるっとスツールが並べられていた。

貴族や平民関係なく、女性が会議室を使うことはないので今迄見たことがなかったが、今世で初めて目にした会議室は圧巻ものだった。



「では会議を始める。先ずは、セリーヌから話を聞こうか」


王や重臣達は円卓の席に着き、各自の補佐官や書記官はスツールに腰掛けている。

上座にアーチボルト、彼の右隣りには順に宰相であるジレス、ベディング伯爵、リンド伯爵が座り、左隣にはレイトン、私の順に座って居る。

クライヴはアーチボルトの背後に立ち、他のフランを含む近衛騎士達は重臣側に、クレイやギー達黒服隊はレイトンの背後に。私の護衛騎士であるウィルス達は扉側に控えて居る。


「先ず、襲撃から誘拐までの経緯は皆様ご存知でしょうから省かせていただきます。私とフランは拉致されたあと船で別大陸のオルソン国へと運ばれました。港にはオルソン国第三王子の侍従と騎士が偶然居合わせ助けてもらいました。彼等に第三王子との取次を頼み、事情を話し保護を求め、こうして無事に帰国できました」


ここまではよろしいかしら?と周囲を見回し、皆が頷くのを確認してから話を再開させる。


「あちらで得た情報なのですが、後宮の襲撃に使用された薬品は、恐らくオルソン国で作られた物です」

「確証は?」

「第三王子に事情をお話したと申し上げましたでしょう?その際に、あの薬品のことも話したのですが、やはり持ち出されていたのかと第三王子が口にしました」

「そう……」


軽く手を上げ話の続きを促すレイトンに頷き、斜め左に座るベディング伯爵を窺う。今のところ特に顔色が変わるわけでもなく真剣に手元の調査書に目を通している。


「不可解なことに、私達を乗せた船が辿り着いた場所、襲撃に使用された薬品、襲撃者が持っていた暗器、この全てがオルソン国に繋がっています。だとしたら、今回の事を企てた者達はオルソン国と裏で繋がっていたと考えられませんか?」

「……だが、セリーヌとフランを保護したのもオルソン国であろう?」

「あの国は強固に組織が団結しているわけではありません。現に、第一王子と第二王子の派閥、第三王子の派閥と分かれているようでした」

「第三王子のエルヴィスは側室の子だからね……」

「捕らえられた伯爵と男爵家の者は、ベディング伯爵の派閥の者達だと聞きましたが、貴方は何かご存知かしら?」

「一つ訂正をさせてください。彼等は元派閥の者達です。あれらとは特別親しくもありませんでしたし、娘の事があってからは一切関わってはおりません。ですので、誰とどのような繋がりを持っているのかはわかりかねます」

「捕らえた襲撃者は伯爵家と男爵家の者達が金で雇った者だと自白したのだろう?なら、オルソン国の仕業に見せかけようとしただけではないのか?」

「アーチボルト様、その辺で雇った粗暴者が、私やアーチボルト様の護衛騎士とお兄様の黒服達と互角に戦えるとお思いですか?」

「だが、あの薬品で意識が朦朧としていたのだから可能であろう?」

「そのような薬品を粗暴者が持っていたことが問題なのです」

「人間を昏倒させるような薬品は私も聞いたことがないよ。恐らく、国で極秘に開発された物なのだろう」

「毒ではないのだから大袈裟過ぎではないか?」

「……アレが毒でしたら、今頃この国の王族は根絶やしでしたわね」


嫌味でそう告げたのだが、「何が目的だったか?」と首を傾げる呑気なアーチボルトには伝わっていない。

あれは中身を自在に変えられるだろうし、コンパクトだから持ち運びも容易い。もし初見で戦争にでも使われたら為す術なく確実に敗戦するだろう。


「その場で命を取られることなくアーチボルト王が健在なのだから、目的はセリーヌとそこの騎士だったのだろう。欲深な者達にとっては、どちらも邪魔だからね」


椅子の背に凭れ長い脚を組むレイトンが「そうだろう?」とベディング伯爵に向かって同意を求めた。明らかに挑発されているというのに、ベディング伯爵はそれを流し穏やかに微笑む。


「もし王太子殿下の仰る通りであれば、拉致などと面倒なことをせずにその場で始末するのではありませんか?」

「冗談だろう?ラバン国の至宝と称され、帝国の皇帝から好意を示されている王妃の価値がどれほどのものか。セリーヌに危害を加えればラバンと帝国を相手に戦争になると分からない者はいないよ」


微笑むレイトンがさらっと口にした戦争という言葉は冗談ではなく、ベディング伯爵に対しての警告だ。

だが、お腹真っ黒狸だって負けてはいない。


「セリーヌ様、司祭が関与していた件に関してはどう思いでしょうか?伯爵は教会に卸す蝋燭、男爵は布関連の事業を手掛けていましたので、司祭よりも上位の者達とも親しかった筈です」

「上位となると司教、または大司教になってくるけれど、そのような立場の者達が関わっているとでも?」

「その可能性も考慮されたほうがよろしいかと」


ルーティア大司教が聞いていたら発狂していただろう……。

今この場に居ないルーティア大司教は、教会から迎えに来ていた数人の司祭に取り囲まれ連れて行かれてしまった。そろそろ仕事をしてくださいと泣きつかれていたので、ラバンや帝国に居たときのように気分が乗ったときだけ仕事をしているようだ。


「ジレス、そちらのほうも詳しく調べておいてちょうだい」

「承知しました」


元々ベディング伯爵が教会関連も牛耳っていたのだから、ヴィアン国の教会が真っ黒でもおかしなことではない。

ルーティア大司教だって就任当時は使えない者ばかりだと愚痴っていたくらいだし、前任である司教は多額の横領が発覚し処分されている。今は内部を整理しながら前任のときに居た司祭達を監視しつつ処分する名目を作り入れ替えを行っている最中だ。


「よろしいでしょうか?」


発言の許可を得る為に手を挙げたジレスにアーチボルトは頷いて許可を出し、レイトンは円卓をコン……と拳で軽く叩いた。


「オルソン国は帝国に匹敵するほどの大国です。そのような国に下級貴族や教会の司祭が伝手を持っているとは思えません。それと、もし仮に司教や大司教が関与しているとして、セリーヌ様やそこの騎士を攫って得られるものは何でしょうか?」

「それを調査するべきなのではありませんか」

「今回のこの騒動は、憂さ晴らし、或いは脅しのようなものだったのでは?」

「何に対しての……」

「ベディング伯爵の処罰、教会のトップの挿げ替え。この二つにセリーヌ様は関わっておいでですから」

「こじつけすぎでは?」


眉を顰めたベディング伯爵にジレスは答えることなく、代わりにレイトンが口を開く。


「この会議の論点は、オルソン国と秘密裏に繋がり国を裏切っている者が居るのではないかということだ。そこで、常々訊いてみたかったことがあるのだが、アーチボルト王には何故影を付けていないのだい?」

「……わ、私か?」

「王だけでなく、王太子やスペアとなる第二王子には暗殺や襲撃に備え影を付けているものだ。だが、城内の警護や護衛騎士の数などもそうだが、アーチボルト王は……まるでそのようなことは絶対に起きないと言わんばかりに無防備だよね」

「影は、ベディングが」

「私が必要ないと判断させていただきました」

「必要がない理由は?」

「それは、幾ら同盟国とはいえお教えする必要はないかと」

「そう怖い顔をしないでくれ。決して命を脅かされない何か秘訣があればと、ただ純粋に知りたかっただけだよ。ほら、私も日々危険に怯えて暮らす王太子だからね」


ひらひらと手を振って冷笑するレイトンに対して、今日初めてベディング伯爵の表情が歪んだ。

そんなシリアスな場面なのに、レイトンが怯えて暮らすと口にしたあたりで背後から吹き出す声が聞こえた。恐らく犯人はクレイだろう。


「王は、暗殺や襲撃よりも毒や病に侵され亡くなる者のほうが多いと聞くが……」

「王はそれだけ守られているものだからね。そう簡単に暗殺や襲撃は成功しないよ」

「そうなのだな」

「もしかして、不安にさせてしまったのかな?」

「いや……」

「あまり気にしなくて良いよ。もし君に何かあって倒れたとしても、王族の血は途絶えることがないからね」

「それはどういう……」


言葉を続けようとしたアーチボルトは、ウィルスが居る方向へレイトンが一瞬目を向けたことに気付き顔色を変えた。


「あいつに、継承権はない」

「放棄していたとしても、血が絶えるようであれば再び担ぎ上げられるよ。だって、君には嫡子がいないのだから」


人の心をえぐる天才だわ……と心の中で拍手を送る。

正妃を毛嫌いし、心底ほれ込んでいる愛妾は男。これでは嫡子などいつまでもできるわけがなく、ウィルスに息子が産まれでもしたらその子に継承権を与えなくてはならなくなる。

唇を噛みしめ苦い顔をするアーチボルトをフォローするつもりは全くないが、このタイミングだろうと声を上げた。


「嫡子を持てば良いのです」


力強く口にした私に視線が集中し、隣に座るレイトンからは得体の知れない圧力を感じるが取り敢えず最後まで話を聞いてほしい。


「遠からず、側室を三名ほど後宮へ入れます。人選についてはジレスと話し合い既にアーチボルト様にもお伝えしてありますので」

「どういう……側室を三名……?アーチボルト王!」

「セリーヌが望んだことだ」

「望んだ、だと?そのように仕向けたのでは……!?」

「お兄様」


激高するレイトンの背中にそっと手を当て、怒りを鎮めてほしいと優しく撫でながら小声で名前を呼んだ。

アーチボルトの胸倉を掴み殴りかかりそうな勢いだったレイトンは、どこか気恥ずかし気に苦笑し私を安心させるよう頭を撫でてくれたが、私の心臓はバクバクだ……。

いつかラバンに帰るといった話はしておいた筈だが、この国の貴族の令嬢に合意の上で王の側室となってもらい跡継ぎを産んでもらう作戦については話していなかった。


レイトンが叫んだのと同時にギーから舌打ちが聞こえた瞬間、私の手はレイトンの背中へと勝手に移動していたのだ。


「本当にセリーヌの意思なのかい?この国の者達がそう画策したことはなく……?」


レイトンがベディンク伯爵とリンド伯爵に冷ややかに問うと、彼等は揃って首を横に振り否定した。


「私も今初めてお聞きしたことです。リンド伯爵は知っていたのか?」

「いえ……」


リンド伯爵は夫人から何か聞いているかもしれないが、ベディング伯爵のほうは寝耳に水だろう。まさか王妃が率先して王に側室を進めるとは、露程も思っていなかっただろうし。


「側室についてはもう決定事項です。人員や人数に関しての要望は一切受け付けません」


アーチボルトと王妃である私が納得しているのであれば文句など言えない。

ジレスに続きを託すと、彼の口から側室となる三名の令嬢の名と後宮へ入る日時が詳しく説明される。黙って聞き入る面々を眺めながら一通り説明が終わるのを待ち、適切だと思われるタイミングで次の題目へと移る。


「襲撃犯もそれを指示した者達も既に捕らえてあります。あの者達の上に誰かいたとしてもこれ以上の調査は時間が掛かるでしょう」

「そうだな。それは徐々に明らかにしていくつもりだ」

「では、そちらは優秀な宰相と近衛騎士団長にお任せいたしますので、最も重要なお話に移らせていただきます」

「最も、重要な……」


私の言葉を反芻するアーチボルトに重々しく頷く。

そう、忘れてはいけない。


「私の護衛騎士の処分について」


オルソン国との繋がり云々もそうだが、コレが今私にとって一番最重要なものだから。





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