合同行事 5
二話連続投稿。
次で二学期編終了です。
「お兄ちゃん!!」
海は囲まれてるのを見るやすぐに飛び出していった。
ブラコンなんだろうと思う。俺も渉兄以外は好きだし、気持ちはわかる。
それにしても隣の飛鳥が家族にも嫉妬しているのを見るのはなんだか面白い。飛鳥って本当海のこと大好きなんだなって思う。
そういう両思いの関係は見ていて気分がよい。
ちなみに海のお兄さんの空以外にも人はいた。……元副会長はいない。会長の従兄弟の黒隅学園の会長か。
飛鳥は気づけば海を追いかけて、俺と隗はまぁ、見守っている。
囲っているやつらはこちらの学園のやつも、黒隅学園のやつもいる。しばらくすれば、やつらは逃げていった。
「逃げるぐらいなら最初から囲むとかしなきゃいいのに」
「馬鹿だから仕方ないだろう」
「まぁね。馬鹿やろうとした連中の顔は覚えたし後でちょっとお仕置きしなきゃね」
「理人って記憶力いいよな」
「あはは、俺一応主席だよ?」
人の顔を覚えるのは得意なんだよね。親衛隊の子も全員覚えているし。基本かかわった人のことを俺は忘れないよ。
隗と会話をしていたら、海と飛鳥と、空とあと会長の従兄弟がこちらに来た。
「……直哉を追い詰めた二人か」
空は海から説明されるとちょっと遠い目をしていった。
「性格が変わるほどのことする必要あったのか?」
って聞かれた。
「うーん、あったよ? というか、俺がしたかったし」
「あの糞毬藻に味方していた時点であれだしな」
ばっさりいったら「うわぁ」って顔された。海のお兄さんはそういう誰かをつぶすって考えがあまりない人らしいとは海に聞いた。
「あれは楽しかったよね、隗」
「だよな」
思い返して見るとなかなかよいものだった。って語ってたら、会長の従兄弟が空の耳をふさいでいた。
「なんで、ふさいでいるの?」
「……空が穢れる」
「ぶっ、やっぱアレの従兄弟だな」
隗、空はきれいな存在みたいなたわ言を言っている従兄弟にそう言い放つ。気持ちはわかる。いや、というかさ、空ってもう高二だし、穢れる穢れないとかそういう対象でもないだろう。
会長といい、この従兄弟といい、東宮家は夢見がちになってしまう思想でもあるのだろうかと感じてしまう。
「あははは、お兄ちゃんが理人君と隗君の暴言聞いたからって穢れるわけないじゃんか。会長さん、お兄ちゃんはなにを聞いてもお兄ちゃんのままだよ」
海は笑いながらそういっている。
兄のことが大好きなんだと海は全面に出している。
そういうのは気持ちがわかるし、良い。俺だって翔兄と都が好きだし。兄弟仲がいい事は良いよねと正直に思っている。
会長の従弟は俺たちにはぁと溜息をはき、空を連れて行ってしまった。
それから二日間かけてうろうろしたけど正直何も起こらなかった。
あの十文座家が忍び込んでいるんじゃないかって思っていたけど、本当に何も起こらない。愉快犯ならこういう行事にいると思っていたのにいなくてがっかりしていた。俺と隗と海で。飛鳥はいないと落ち込んでいる海をなでていた。
飛鳥の場合は海以外どうでもいいからな。
ゲームに関しては結構難しく作られていたみたいで、クリアできたものゼロなんてフザケタ事になっていてめっちゃブーイングが起きていた。
確かにこった問題を作ったりもしたけど、黒隅学園の生徒会も半分考えたわけで何人かはクリアできると思ったのだが……空とのデートを望まれても嫌だとかで難しくしたり、俺たち同様面白がって難しい場所に隠したりとかした結果みたい。
なんとも盛り上がらない。
流石にアレだったから、食事会の時は結構盛り上がっていたけど。
そこで、十文座家見つからなかったなと油断していたら一通のメールが届いていた。
それは十文座家からのメールで、明らかにこちらの様子がわかっているメールだった。
「……隗」
「あー……どっかで見ているのか、それとも関係者から連絡が来ているのか。でも見た限り怪しそうな奴はいないな」
「だよね。まぁ、あからさまに怪しいなんてやつがいたらそれはそれでびっくりだけどさ」
「十文座家の関係者がそんなわけないからな」
「だよね……はぁー、それにしても全然見つからないし」
俺は隗と二人でのんびりと食事をとっている。ちなみに立食式である。
千尋とか春ちゃんとかは別行動してたりする。あの二人は最近仲良い。俺と隗はメールが届いたから十文座家が近くにいないかなって必死なんだけど、見事にいない。
あの十文座家と、上級社会で言われている存在だから、そりゃあすぐには見つからないとは思っていたけれど。面白くするために絶対に見つけてやると思ってた。でも、本当に見つからなくて。
「はぁ、仕方ない。見つけられなさそうだし、食べるか」
「だな」
見つからないなと俺と隗は結局食事会を楽しむ事にしたのだった。




