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合同行事 3

 飛鳥と海を探してぶらぶらしていたら、色々な場面に遭遇する。

 いちゃついている生徒たちとか。それを見て興奮している和志先輩の同類たちとか。親衛隊の子たちが集まってわいわい話してたりとか。逃げ出す元副会長とか。一生懸命に問題を解いている子たちとか。

 そんな中で、人気のない場所で電話をしている和志先輩を見た。

 「ははは、流石に合同行事にはこれねーだろ。夏実は」

 そんな声が聞こえてきた。夏実さんは、和志先輩の彼女さんだ。会った事はあるが、和志先輩と同類で中々個性的な人だった。

 和志先輩は全然男に興味ないノーマルなのに、萌えをみたいからとかいって親衛隊に所属しているし、二人そろって面白い。

 「忍び込む? いやまて、やめろよ」

 『…………』

 「いやいやいや、理人の親友みたいってそりゃあ、凄い萌えたけど。でも恋人男装した女だからな? それはそれでアリ? いや、まぁ、そうだけど」

 『………っ!!』

 「俺だけずるい? だったら夏実も……って誰か来た」

 夏実さんと話していた和志先輩は俺たちに気づいたみたいでこちらを振り向いた。

 「って理人と隗か」

 「うん。和志先輩は夏実さんと電話?」

 「おう。理人の親友の魔王様とその恋人を生で見たかったらしい」

 『理人君? そこいるの? あと恋人も?』

 っていうか、今日平日なんだけど、夏実さんは今授業中とかじゃないのかな? 滅茶苦茶騒いだ声が聞こえるんだけど。

 「お久しぶりです」

 『むふふ。そうだよねー。久しぶり』

 なんかよくわかんない発言されたが、まぁ、いいや。

 『理人君のご友人はどんな萌え要素を持ってますか!?』

 「萌え要素言われてもなぁ……」

 「魔王呼ばわりで無表情だけど恋人にだけデッレデレな所?」

 『ふふふ、いいわー。いつか生で見るー。無表情な冷たい表情が恋人のままだけ崩れて……ぐはっ。妄想しただけで……ブツブツブツ』

 なんだか夏実さんがぶつぶつ言いだしたので、和志先輩の方を向いて俺は問いかけた。

 「和志先輩、飛鳥たち見ませんでしたか?」

 「んー、見てねぇな」

 「そっか。じゃあ、行こうか隗」

 「おう」

 俺と隗はそんな会話を交わして、その場を後にした。










 *十文座夏実side




 「あははははっ。理人君も隗君も全然気づいてなーい!!」

 正直ね、私と電話中の和志のもとにやってくるなんて気づいたかな? 気づいたかな? ってわくわくしてたんだけど、全然気づいてなくて私は面白くて仕方ないよ。

 でも私の変装って弟妹達からも「完璧すぎる」って言われるぐらいだし。まぁ、白夜は動物的直感で私がどんな返送してようが気づくけど。

 『いやいや、気づくわけねーだろ』

 和志に呆れたように言われてしまった。えー、だってあんなに私たち十文座家とかかわりたいっていっているしさー。ふふふ、和志は今年卒業だけど、でもま、それでゲームオーバーってわけではないだけ、理人君たちは運がいいんだと正直思うよ?

 だって十文座家とかかわりある存在、もう一人いるしねー。そっちを見つけてもそれはそれでいいかな。それか卒業した後の和志に特攻するとか? まぁ、まだ時間はあるし、和志を見つけてくれたらそれでもいいんだけど。

 もー、私はわくわくどきどきしているんだよ。

 理人君と隗君って超萌えるし、面白いし、素の私で楽しめたらそれはそれでいいんじゃないかなーって。

 「あー、それにしても男装女子でも、魔王様みたいなー」

 『……彼女の方に興味をもたれれば遊べるんじゃないか? 男の方は彼女以外興味なさそうだから、そっちを釣るのは無理かもだが』

 「ふふ、それもそうだよねー。あはははっ、『白銀』と『金姫』と『黒帝』でしょー、あの三人。からかったら面白そうだよねー。しかし、流石理人君の友人だよね」

 『……そういえば、夏実の妹もそっち関係だよな?』

 「うんうん。そうなんだよ。私の可愛い妹ってば好きな人が不良やっているからって飛び込んじゃってさー。しかもその好きな人が理人君の弟君に恋心を抱いているっていうね」

 もう理人君には少し運命感じるよね。それにしても理人君の弟君って男なのに本当に可愛いんだよねー。可愛くて強くて、良い萌え!

 でも妹が悲しんでいるのは嫌なのよね。

 「十文座家って一途な一家だからさー。この恋がみのらなきゃ妹が一生独り身とかになりそうでさー。あ、だから和志も浮気とかしたらダメよ? 棄てられたら私は悲しい事に一生独り身! 当主だから子供いた方がいいのに!」

 『すてねーよ……! しかし、夏実の妹には上手くいってほしいな』

 「だよねー。白夜って見た目はもうかっこいいんだけど、それでも中身は可愛い女の子なんだもん。好きな人のためにって一生懸命でさ:

 『……俺まだ一度もあってねーんだけど』

 「んー、ちょっと待ってね。私たちは基本的に隠れている一族だからねー。白夜と桔梗は私と同じく本家の血筋だから余計に会うって難しいわけ。和志と私はまだ結婚していないからねー。結婚したら和志は私の一族って感じになるから会えはするんだけどさー」

 本当に面倒なんだけど、うちの家ってそんな感じなんだよねー。

 『結婚するまで辛抱か』

 「うん。でもさー、和志本当に私と結婚してくれる? 十文座家と結婚するって事は十文座家の一族として迎え入れられるって事なんだよ。十文座家に流れる強い血を外へ外へ出すわけにはいかないからさ。もし和志の家と十文座家どっちを取るかって言われたら十文座家をとらなければいけない。私の夫になるってことはその身を十文座家に捧げなければならないって事だけどさー」

 何度も何度も確認はしている。でも不安になるのだ。

 十文座家は重い。その血は重い。

 長らく、異端の一族として存在し続けた私たちはそういうものなのだ。

 私たちは十文座家である。異端の力を所持し、異質な一族である。その一族の一員になるのだから、そういうものなのだ。

 『何度も言っているだろうが。別にそれでいいって。夏実は心配しすぎだろ』

 「んー、でも私ん家は重いからね」

 何度も何度も聞いて、それで和志が結婚をするって決意をやめないでくれるのが嬉しくて私は笑った。





 

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