合同行事 2
生徒会としての運営側の仕事で俺は問題を出して判子を押す係はどうかって会長に言われたんだけど、どうせなら見回りたいからって親衛隊の子にお願いをした。
生徒会親衛隊は俺の手足だし、喜んで力を貸してくれた。
それにしても俺は生徒会親衛隊隊長なのになんで副会長なんて位置にいるんだろうかって気になったよ!
生徒会親衛隊隊長兼、生徒会副会長とか絶対に歴代で俺だけな自信あるよ! そしてきっとこれからも生まれる事はないだろうなって断言できるよ!
あと隗も見回る方が楽しそうとかいってたから隗の分も頼んだ。
会長にそれいったら「なんだ、それはっ。俺様も……」って言ってたけど無視して隗と共に学園内をうろうろしている。
それにしてもあれだね、違う制服来た生徒たちがうろうろしていると中々不思議で面白いよね。
「あ、あれが魔王様の親友……」
「転入生を破滅に追いやったっていう」
「……あんな可愛い顔して」
ちなみに通りかかった俺に声をかけようとする者はいません。
理由は聞こえてくる会話から明白だ。飛鳥の親友だからっていうのと、元副会長を追い出した件が広まっているせいっぽい。
飛鳥ってば向こうで魔王呼ばわりらしいからね。まぁ、そんな怯えられていた魔王様も、彼女の前ではデレデレで、それを隠すこともなく出しているらしいけど。
うーん、俺は自分にはむかうやつ以外にはそんなひどい事しないよ? 怖くないよ? って思いながら話しかけたらめっちゃびくつかれて「す、すみません」と逃げて行かれた。
俺、ちょっとショック。
「理人、逃げられてるし」
横で隗がめっちゃ笑っている。
俺も声をかけて逃げられるとかあんまりないから、ショックだよ!
っていうか、元副会長が追い出されたのは自業自得じゃないか。あれだけ好き勝手したのだから。あとさ、あれは俺だけでなく隗も一緒にやったんだけど!
なのに俺だけ怯えられているとか、うーん、まぁ、俺が潰したってしか向こうの学園には俺が潰したってしか広まってないみたいだしなー。
ま、いいか。
怯えられるのもあんまりないし、これはこれで面白いし。
それにしても飛鳥と海どこいったかな? 後海のお兄さんとも話してみたい。豹変した元副会長は正直どうでもいい。
「理人、誰探している?」
「飛鳥と海。俺もっといちゃいちゃしている二人みて遊びたい」
というか、飛鳥をいじって遊びたい。
飛鳥って基本動じない男だけど、海の事になるとそうでもないからさ。そういう飛鳥を見て遊びたい俺である。
「あー。ああいう男からかうと面白いよな」
「うんうん。面白いよね」
「普段怒らない奴を本気でからかう楽しさってあるよな」
「うんうん。流石、隗わかってるね」
「そういえば飛鳥って強いのか?」
「強いよ。俺よりも強いかな? 飛鳥はがっつり不良やって遊んでたしね。葉月と同じか、それ以上かぐらいだと思うよ。あと海も相当強いみたいだよ」
「ふーん、それは面白れぇな。一回喧嘩してみたい」
「飛鳥はめんどくさがって多分やってくれないよ。海を口説いたら……半殺し? でもまぁ本気で口説いていないならそうもならないかな」
下手したら殺されそうと思う。正直飛鳥は海のためなら何でもしそうな雰囲気あるし、というか、絶対なんでもするし。
あんな風に誰か一人に執着して、誰か一人以外見れないってのは見ていて結構好きなんだよね。
俺ってそういうタイプでもないからさ。面白いから、気に入っているからってそんな理由で誰かと付き合ったりはするけど、そういう恋情とか感じないタイプだしなー。
隗とも面白そうで付き合っているわけだし。
ま、人は人。俺は俺だもんね。
飛鳥と海の結婚式にはぜひ呼んでもらいたいな。でもあれだね。今海って男装して男子校に通っているわけだけど、結婚式とかしたら男装してたってばれるよね。
飛鳥って海以外興味ないし、海以外と結婚するなんて想像もできないし。
「理人何考えているんだ?」
「んー。海と飛鳥の結婚式呼んでもらいたいなと」
「あー、面白そうだな。俺も飛鳥と仲良くなりたい。そうしたら面白そう」
「飛鳥は中々面白いからね。ただ飛鳥って海以外興味なさすぎて全然連絡とかよこさないけど」
寧ろこっちからしないとよっぽどの事じゃないと飛鳥は連絡よこさないしな。海には毎日のように連絡しているらしいけど。
どんだけ、飛鳥海の事好きなんだって感じだよな。
「うーん、飛鳥たちいない」
「どこいるんだろうな? 風紀委員なら見回りしているはずだが」
「もしかしたらさぼっていちゃついている可能性もある」
「……ありえそうだな」
あの飛鳥が真面目に風紀委員長として仕事をするかと考えた時、想像しにくかった。大体海が居るから真面目に仕事するよりもいちゃついてそうだ。
でもとりあえず飛鳥と海をからかいたいから俺たちは飛鳥たちをもっと探すことにした。