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合同行事前の話

 「合同行事についての話し合いを始める」

 目の前で会長が偉そうに発言をしている。黒隅学園との合同行事は生徒会が主体となって行うものである。あっちの学園の生徒会長は会長の従弟らしく、行事の連絡などはしやすいらしい。

 というか、あっちの生徒会長も自分を『俺様』といっている人種らしい。謎である。なんなんだ、会長の一族は俺様と自分を言わなきゃ気が済まないんだろうか。

 「話し合いって、何をするのー? 会長」

 螢がそんなことを言う。隣には由月が居る。二人とも相変わらず仲が良い。

 ちなみに俺の隣には隗がいるよ。うん、会長の左右にも誰も居なくて会長だけぼっちみたいになっている。

 「まず、今回の合同行事の内容については向こうが決める年だったからな、向こうに決めてもらった。今回行うのは謎解きゲームだ」

 会長が慣れた様子でいう。まぁ、会長は一年生の俺たちと違って去年も合同行事に参加していただろうし、慣れたものなのだろう。

 「ふーん、で、どんなものなんだ?」

 隗が問いかける。俺も謎解きゲームと一口でいってもよくわかんないから、説明は欲しい。

 「会場はこちらの学園だ。いたる所にその謎を問題を配置し、解いていく形だな。番号は1から25まで問題を作り、ビンゴのようにするようだ」

 「それどういうこと?」

 「俺様が説明してやろう。ビンゴのように適当に番号を振っていく。そして割り振られた番号の問題を解くと、専用の判子をもらえるといった形にするようだ。そしてそれが一列そろえば25問すべて解けていなくても景品がもらえる仕様らしい」

 「ふーん、よく考えているね。結構面白そう。それって俺は参加できないの?」

 「まぁ、俺様たち生徒会が半分は質問を考えることになっているから運営側だな」

 合同行事の中身は黒隅学園が考える番だったのもあって、俺たちがやることは質問を半分考えることと運営としての仕事ぐらいみたいだ。でも全校生徒が参加できるイベントなら、生徒会だけで運営は厳しいだろう。

 でも、うーん、やっぱ生徒会は生徒会で面白さはあるけど、一般生徒として謎解きやってみたかった気もしなくもない。まぁ、仕方ないけどさ。

 参加できないってなら面白い謎でも考えたいなと思ってしまうんだよねー。

 「あとはどこに謎を隠すかだ。まず謎解きの問題の隠された場所を探すことから始まる形式にしたらしいからな」

 会長が補足する。

 「それなら絶対に見つかりにくい場所に隠したいなー、ねー、隗」

 「おう、それが楽しい。寧ろビンゴそろえる奴なんていないって状況の方が絶対いいだろう」

 「ってまで、それではだめだ。少しは妥協しないと!」

 「いやいや、何いってんの、会長。こういうのは難しい方が参加する方も楽しいって。第一、合同行事って二日間もあるんだろ? だったら余計に難しくするべきだって」

 「だよな。そうしないとすぐとけるやついてもつまんねーだろう」

 正直俺と隗からしてみれば、どうせ運営側をしなければならないのならば絶対に解けないぐらいの仕様にしたい。そっちの方が絶対に俺たちにとって楽しいと思う。

 「……けい、ひ…。は?」

 「景品は願いをかなえる権利、世界一周旅行のチケットとか、そういうのだな!」

 「会長、何その願いをかなえるチケットって。馬鹿みたいな名称だけど」

 上から由月、会長、隗である。

 「これはだな! 憧れの相手と出かけたりとかできますよっていうやつだ。もちろん、拒否権もある。拒否されない範囲で近づける権利なのだ」

 「そういうの欲しがる子たちこの学園多いもんね」

 真希が意気揚々として生活しているような王道のBL学園だし、そういう権利を欲しがっている子たちも沢山いる。中等部は高等部よりも行事とか少なかったけれど、似たようなのあったなと思い出す。

 「あとはだな、交流会でもあるわけで、食事会などもあるぞ!」

 金持ちばかりの学園なのもあって料理もおいしいだろうし、それは楽しみだ。それに参加は出来ないにしても、合同行事で飛鳥の愛しの彼女と初対面できるのは正直わくわくする。あの飛鳥が他の男に見せたくないなんていって今まで会わせてくれなかった彼女である。楽しみにならないはずがないだろう。

 「楽しそうだね、隗、理人」

 「そうだね、螢」

 「螢が楽しそうなら、俺も楽しい」

 螢が楽しそうに口にする。隗の発言に相変わらずシスコンだなと感じる。それにしても隗は本性をばらしてからというものの、とても楽しそうである。そもそも弟が可愛いからという理由で、弟の望みだからと色々合わせてたのが面白すぎるんだけどね。

 「そうだ。龍宮、隗。貴様らにいっておくことがある」

 「何、会長」

 「なんだよ。会長」

 会長がなんか改まって口にした。

 「向こうには直哉が居るが、すっかり性格が変わり、おとなしくしているらしい苛めるんじゃないぞ」

 あー、元副会長の事か。一々言われなくても特に元副会長についてはどうでもいい。

 「俺たちの害にならないならね」

 「俺たちの害にならないならな」

 「害になったら苛めるのか!? 貴様らの事がトラウマらしいのだぞ!」

 二人して同時に口にした言葉にそんな風に言われたが、知ったことではない。


 とりあえず、合同行事が俺たちは楽しみである。




 

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