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探し物は見つからない。

 「見つからないね」

 「見つからないな」

 「これだけ探しているのに」

 「第一怪しい奴がそんないないだろ」

 俺と隗は、俺の個人部屋と化している空き教室の中でのんびりと過ごしていた。ソファに腰かけながら二人でうなだれる。

 この前、つい数日前、俺と隗はあの十文座家と接触することが出来た。

 意味深な事を告げてきた十文座家のもの。

 ……俺たちの通う学園に十文座家とかかわり深い存在がいるという話だが、全然わからない。

 いやね、これでも俺と隗の全力を持って探しているんだよ?

 普通さ、もう少し簡単に見つかるかなとか思うじゃないか。なのに、全然見当もつかない。

 それらしい人物を探すのが難しい。

 正直見つけられたら遊べると思って、見つかる事を前提に考えていたけれど、欠片さえも見えない。

 それだけ十文座家は異質で、影の一族といわれるだけあるのだ。

 「……大体、俺たちで遊ぼうって考えているような一族だしな」

 「十文座家って、色々異質すぎるよな」

 二人でそんなつぶやきを発する。

 「十文座家とかかわりのあるやつねぇ……卒業までに見つかればよいとかそういうレベルかもね」

 「ありえる。そもそも翔さんから聞いた話じゃ、会う度に姿が違うっぽいし」

 「どれが本当の姿かわからない一族か。面白い」

 「……面白いけれど、現状は俺たちが遊ばれている側で遊ぶ側ではないからな」

 「うーん、それは面白くないよね」

 「だよな」

 面白くない。遊ばれる側ってなんだか嫌だ。遊ぶ側の方が好きだ。俺も隗も。似たもの同士の俺たち二人は、この現状に満足はしていない。

 だけど、楽しみが存在する事は良い事だ。

 これは俺と隗が吹っかけられたゲーム。だから他に助力を求めたりする気はしていない。

 大体、周りを巻き込んだところで十文座家は出てこないだろうし。吹っかけられた俺と隗が見つける。見つけて、そうして遊び相手として同じ土俵に立てたなら俺と隗は十文座家という最高の遊び相手を得られることになる。

 それがいつになるかわからないし、見つけられなければ終わりだけど、それでも俺は――、その時が来てほしいと思っている。十文座家とこれっきりというのは嫌だ。

 翔兄は当主として認められて、これからもかかわり続けるだろう。

 でも俺が認められなければ、十文座家は俺とはかかわってはくれないだろう。

 「十文座家に俺たちを認めさせよう。そしたらもっと遊べる」

 「それは良い考えだ」

 隗は俺の言葉にニヤリっと笑った。悪い顔をしているなーって思いながら隗の事を見た。

 「そういえば、話変わるけどさ」

 「ん?」

 「もうすぐ合同行事あるじゃん。それも楽しみたいよね」

 「あー、理人の親友がいるっていう」

 「あと、元副会長もね」

 「特にそれはどうでもいい」

 「飛鳥――あ、俺の親友の話じゃ、大分丸くなってて、俺たちの事怯えているらしいけど」

 正直副会長に対する興味は現状ない。たっぷり報復はしたし、特に関心はない。あれだけ好き勝手しないならば問題はない。

 「理人の親友か、面白いのか?」

 「面白いよ。あまり他人に興味ないし。彼女――女なのに飛鳥と同じ学園が良いって黒隅学園に通っているんだけどさ、その子と同じ学園がいいって留年したらしい」

 「へぇ…普通じゃないな。ってことは一つ上か?」

 「うん。飛鳥は一つ上。あいつ人に興味なさすぎるんだけど、彼女だけは本当に好きみたいで、俺会わせてもらったことないし」

 「あったことないのか?」

 「うん。飛鳥の奴、彼女がよっぽど可愛いみたいで必要最低限人目にさらしたくないらしい」

 本当に面白い話だよね。あんなに人に興味がない癖に、彼女の事は大好きだから。飛鳥があれだけ人にはまるなんて思わなかったし。

 あいつ、政略結婚して愛のない結婚生活しそうな雰囲気を昔から醸し出していたのになーなどと思う。

 「あとあっちにも毛玉みたいなやついたらしい。こっちよりましだったみたいで、更生したらしいけど」

 「ふーん。理人の親友なのに潰さなかったのか」

 「そこまで興味ないだろうし。あと飛鳥の彼女のお兄さんがお人よしみたいで何とかしたらしいよ」

 「ふーん」

 「あと会長の従弟らしいけど、向こうの会長」

 「へぇ」

 合同行事あるからってことで久しぶりに電話したらそんなことを言っていたんだよね。

 正直会長の従弟が向こうの生徒会長とかどうでもいいんだけど、飛鳥の親友と飛鳥の彼女に会うのが楽しみなんだよ。

 「絶対飛鳥の彼女とあそのお兄さんは面白いだろうから、会うの楽しみ」

 「まぁ、そうだな。俺も理人の親友には興味がある」

 そんな会話を交わす。


 あー、楽しみだな。

 十文座家の方もどうにかしたいけど、ひとまずは目の前の楽しみを追いかけてみようか。




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