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体育祭を楽しもう 6

 それで、終わって次はリレーが二つあるんだけど…。

 「……会長様が居ない!?」

 「東宮様は何処へ!?」

 何で参加者の会長が何故か行方不明中なんだろうか。

 しかも探しに行けって言われちゃったし。

 会長なんてもう放っといてはじめようよと思ってならなかった。

 まぁ、愛ちゃん達もあわあわしてるから探しには行くけどさ。

 会長が行方不明とか本当何なんだろうね?

 めんどくさいなぁーなんて思いながら俺は小長井先輩と一緒に捜索することになった。

 何か一人で見周りで何かあったら困るからって事らしーよ。

 親衛隊の探そうとしている子達も数人で回っているしね?

 「本当、会長何処いるんでしょうかね」

 「……何かにまきこまれてなければいいが」

 「小長井先輩優しいですね。あんな会長の心配が出来るなんて」

 そういったらちょっと呆れた顔された。

 まぁ、会長って背が高いし明らかにタチだから可愛い子みたいな危険ないと思うけど。

 でも世の中には、明らかにタチな男を食いたがる奴も居るしなぁ…。

 真希が凄いテンション上げて昔男前受けってのについて語ってたのをなんか思いだした。

 「佐原――いや龍宮は…、相変わらず東宮が嫌いなんだな」

 「それはもう。愛ちゃん達に酷い事した事実を俺は忘れてませんからね」

 並んで歩いて、会長を探しながらもそんな言葉を返す。

 今居るのは中庭。

 本当あの会長何処いんだろーね?

 「……」

 小長井先輩は何故かその言葉に黙ったままだ。

 何か言いたい事でもあるのかもしれない。

 「なんですか。そんなじーっと見て」

 「………俺の事はどう思ってる?」

 いきなりそう聞かれて、思わずびっくりした。

 いや、前々から小長井先輩俺の笑顔に顔赤くなったりしてたから好かれてる自覚はあったけどさ。

 俺が黙ったままでいれば、小長井先輩は「あ、いや、何でもない」と突如慌ててなかったことにしようとし始めた。

 何だかどもってる小長井先輩は新鮮で面白い。

 俺はからかうように笑った。

 「小長井先輩って俺の事好きですよねー?

 笑顔で顔赤くしたりしてたし」

 「ぶっ」

 あ、吹きだした。

 俺がド直球に照れもせずに言ってるから、驚いたのかもしれない。

 「……龍宮は、直球だな」

 「そりゃ、そうですよ。こういう時恥ずかしがるのは愛ちゃんみたいな可愛い子だけですって。

 それで俺の事好きなんですよね?」

 「……ああ。隠してたつもりなんだが」

 「いや、笑顔で顔赤くしてた時点で何か思う事あったって事がバレバレなんですけど」

 それにさっきの質問からして、なんか好意持ってるってのはわかるよね。

 小長井先輩って鈍いのか、もしかして。

 「好意を抱いてもらえるのはまぁ、いいんですけど。

 俺、かっこいい人恋愛的に好みではないので諦めてくださいね?」

 別に小長井先輩の事は人間的には好きだけど、俺可愛い子の方が恋愛的には好きだからね。

 断る時はきっぱり断った方が、ずるずる思いを引きずらないでいいと思うし。

 「そうか…。まぁ、元より寺口が同じ理由で振られ続けてるって聞いてたから断られるとは思っていた…が、少し辛いな」

 「そうですか。じゃ、この話はやめてさっさと会長探しましょうか」

 「…ああ」

 告白なんてイベントがあったわけだけど、別に気まずくはならなかった。

 というか、俺は恋愛感情があるからって交友無くす気はないし。

 ま、小長井先輩が離れたいっていったら離れるけど人間的には気にいってるからね。

 そういえば、葉月が告白してきた時も全然気まずくはならなかったな。

 俺がばっさり断って(つか当時は千尋と付き合ってたし)、それでも葉月は迫ってきて、俺が断るの繰り返しだったなぁ。

 そんな事を考えながらどんどん進んでいったわけだけど、会長いない。

 本当何してるんだ。会長行方不明って事態で皆探してるし、競技中止にでもなりそうだよね。

 この学園において会長行方不明って大分大事だし。

 「いないですね、会長」

 「本当に何処にいるんだ?」

 「これで寝てただけとかなら喜んでぶん殴るんですけどね」

 「風紀委員長の前で物騒な発言はよしてくれ」

 小長井先輩と会長を探して歩き回ったけど、会長は見つからなかった。

 本当にあのバ会長何をしてるんだかと行事の大好きな俺は苛々していた。

 そんな中で、スマホが着信音を立てた。

 その電話は、愛ちゃんからだった。

 「もしもし、愛ちゃんどうしたのー?」

 『あ、理人君。暁様が…っ』

 向こう側から響いてくる愛ちゃんの必死な声。

 会長がどうかしたのだろうかと思いながら俺は愛ちゃんに状況を問いかける。

 『あのね――…』

 それでまぁ、愛ちゃんのいう事を纏めるとどうやら体育祭で一般開放されてる学校に会長の所の『ブレイク』の敵が乗り込んでいたらしい。

 何でもサボりついでに眠っていた会長は、気付けば囲まれて今喧嘩してるらしい。

 で、愛ちゃんはそんな会長を発見して俺に電話をかけてきたんだって。

 愛ちゃんは他の親衛隊の子と一緒に居るはずだけど、対処出来る人その中に居るのかなと思考を巡らす。

 確か愛ちゃんと一緒にいたのは可愛いわんこ二名と和志先輩だったはず。

 「愛ちゃん、そっちに和志先輩居たよね?変わってもらえる?」

 俺は冷静に考えて、そう口にした。

 愛ちゃんは俺の言葉にすぐ和志先輩に変わったらしく、和志先輩の声が響いた。

 『変わったぞ、理人』

 「和志先輩、あの馬鹿囲まれてるんだよね? ならさ、危なさそうなら一応手助け頼めますか」

 『お、理人が会長にデレ――』

 「てませんから、騒ごうとしないでください。俺は愛ちゃん達に悲しんで欲しくないだけなんですよ」

 『残念。理人の受けフラグとか凄い萌えるのに。それより何で俺に頼むの?』

 電話口の和志先輩の面白そうな声が響く。

 和志先輩って何か、大物だよなとは思う。ちょっとした事じゃ全然動じないし。

 「和志先輩って喧嘩出来るでしょ?」

 きちんと聞いた事はないけど、これは確信だ。

 俺の言葉に和志先輩は、笑って答える。

 『ま、俺も昔ぐれてたしな。俺理人にそんな事話したっけ?』

 「いや、直感かな」

 大体俺より二つ上で三年の和志先輩は、俺が親衛隊まとめ上げる前から生徒会親衛隊に入ってた。

 萌え探しだのいって。それでなんか底知れないものとか持っているような感覚もあったし、何となく、和志先輩って強いんだろうなとは思ってた。

 『直感ねぇ…。ま、いいやとりあえず俺は会長が危なさそうだったら助けて、光永とフラグを立てさせとけばいい?』

 「…愛ちゃんと会長のフラグまで頼んでないんですけど。いや、まぁ、愛ちゃんが幸せになるなら別に構わないけど」

 『だって理人って会長の気持ち答える気ないだろ? それなら光永とくっつけて俺様不憫会長×健気親衛隊副隊長の方が美味しい』

 「うん。まぁ、そこらへんは愛ちゃんが悲しまないならどうなろうとどうでもいいので好きにやってください」

 『じゃ、好きにやる!』

 あ、和志先輩のテンションが上がった。

 まぁ、本気で会長の事はどうでもいいし。愛ちゃんが不幸にならなければ…。

 うん、寧ろ俺を好きだとか気持ち悪い事実がなくなって愛ちゃんと両思いになるならそっちのが俺は嬉しい。

 最も付き合うとかになっても可愛い友人の愛ちゃんの恋人があんな会長なんてとは思うけど。

 愛ちゃんは可愛くていい子なのに何で会長なんか好きなんだろうね?

 電話を終えて、小長井先輩に説明をして、俺達は会長が喧嘩しているという場所に向かった。

 で、向かったら、何だか和志先輩が意気揚々と気絶している男達を縛ってました。

 恥ずかしい恰好で。

 会長は和志先輩ときちんと話すのも対面するのもはじめてだからか、なんか恥ずかしい恰好で縄で縛りあげている和志先輩に引いていた。

 愛ちゃんは、「和志先輩、それ意味あるんですか…」とか聞いてたけど。

 まぁ、丁度その場に到着した俺はその問いの答えを聞いたわけだけど…。

 「羞恥心にもだえる不良くんとか萌えるから」

 それは清々しい笑顔だった。

 その後に、「俺最近不良受け推奨してるんだ! 不良×平凡もいいけど、平凡×不良に…」などと語り出したのでとりあえず黙ってもらった。

 そういう会話は真希とでもしてくださいと言っておいた。

 縛りあげられた不良達は風紀に連行され、会長は無事だったわけだけど、時間は大幅に過ぎていたのもあってリレーは中止でそのまま後片付けとなった。






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