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体育祭を楽しもう 4

 「りー!!」

 「理人!!」

 お昼休み開始の放送がなってすぐに生徒会役員テントにやってきたのは千尋と葉月だ。

 千尋の後ろには春ちゃんや響もいる。

 「ご飯一緒食べようよー、りー!!」

 「一緒食おうぜ、理人!!」

 千尋と葉月は、そういって笑う。

 「うん、たべよっか」

 「あ、理人俺らもいいか」

 「ん? 俺らって?」

 「もちろん、俺と螢と由月」

 笑顔でさらっとそんな事を言いながら、隗は椅子から立ち上がる。

 ちなみに言うと、体育祭ではグランドに仮設の食堂を作ってあって、大抵の生徒はそこで食べる。

 金持ちの息子が多いから、自炊できる人ってあんま居ないし。

 体育祭だし、俺も今日は仮説の食堂で食べる予定。

 ちなみに真希は居ない。多分鏑木先輩と食べるんじゃないかな?

 「お、俺様も――」

 「じゃあ、いこっか」

 「うん、いこー、りー!」

 「理人も千尋もそれ、放置してていいの…?」

 俺と千尋の言葉を聞きながら、春ちゃんはちらっと会長を見て言う。

 「これは放置しといていいよ。春ちゃん。というか、春ちゃんもそれっていってて何気にひどいよね」

 「うんうん、こんなの放置してていいって。だってりーに嫌われてる癖にりーを口説くんだよ? 本当気持ち悪いよね!」

 「んー…それでいいの?

 だってさ、会長って操が居た時色々いってきたし、それに理人と仲良くないから…、ちょっとまだ怖いかなぁ…」

 あー、そういえば春ちゃんって俺と仲良しな人は信用できるみたいにいってたもんね。

 そっか、じゃあ、会長春ちゃんに信用されてないのか。

 あの毛玉君に執着してた時態度がひどかったかぁ。本当あんなのに惚れてたとかバカだよなと思う。

 「放っておいて、行こうぜ」

 「そうそう。寺口の言う通り、柏木も気にしないでいいって」

 「んー…、会長、可哀相だよ…?」

 「…なん、か、かい、ちょ……なき、そ」

 葉月、隗、螢、由月が口を開く。

 ちなみに響はというと、何か泣きそうな会長を何とも言い難い目で見ていた。

 俺や千尋達スタスタと足を進めていく。

 何だか後ろから、

 「ま、待て」

 何て声が聞こえてくるけど、そんなの無視だ。

 「ほ、本気でおいていってていいの?」

 「大丈夫だよ、螢。愛ちゃん達がそのうち会長誘うでしょ」

 一人で居る会長見たら愛ちゃんは一緒に居ると思うんだよね。

 さっさと会長、愛ちゃんとか親衛隊の子とくっついてくれればいいのに。

 俺、会長に迫られても嫌なだけだしなーと思いながらそんな事を考える。

 俺たちは歩いていって、食堂の席につく。

 生徒会役員や、美形ばかりがそろっているからか周りからの視線が集まる。

 「何食べようかな」

 何を注文しようかなと、料理の載っているそれをぱらぱらとめくる。

 他の面々もそうやって料理を選んでいる。

 あ、ちなみに追いかけられても面倒だから愛ちゃんにメールしといた。会長一人だから誘ったら、って。

 「そういえば、りーさ。何でこのタイミングで家の事ばらしたの?」

 そういって、俺の隣に座って問いかけてくるのは千尋だった。

 好奇心に満ちた目でこちらを見てくる千尋に、俺は答える。

 「翔兄の当主就任パーティーに出たいから」

 「え、りー、パーティー行くの? 珍しいね。

 というか、俺金持ちとかじゃないし、パーティーとか行けないなぁ…」

 千尋は何だかそうしてしょぼんとしている。

 千尋は別に企業の社長の息子とかそんなのではないのだ。

 俺が居るからって勉強頑張って此処に入ったらしいけど。

 千尋は運動も勉強もやればできるからね。

 「理人がわざわざパーティー出るなんて何があるんだ?」

 「いやさ、隗も知ってるよね。翔兄が文化祭で此処に来たの」

 「知ってるぞ。なんかコウモリ連れてたんだろ」

 「そう、その人。翔兄ってハ虫類とか大好きで飼ってるからね。

 それでその時に、あの十文座家が接触してきたらしいんだ

 俺も会ってみたくてさ」

 そういって、笑えば隗も口元を緩めた。

 絶対これ、隗も会いたいって思ってるよね。

 春ちゃんと千尋は、十文座家の事聞いたことないみたいで不思議そうな顔してるけど。

 十文座家って、金持ちとかの間では有名だけど一般人にはあんまり浸透してないのだ。

 十文座家は情報を牛耳っている。特殊能力のようなものを他人に見られても、それをなかったことにするだけの力を持っている。

 ああ、本当に会いたいな。探してみよう。

 本当翔兄が羨ましい。俺も十文座家に会ってみたいのに。

 かなり面白い子だったみたいだしね。

 「十文座家って、あの…? 理人のお兄ちゃん会ったんだ?」

 「じゅ、もん、ざ、けか。お、れも、あった、こと、ない」

 螢と由月がメニューを見ながら言葉を放つ。

 「うん、文化祭の時に十文座家が挨拶してきたらしいからね。あー、俺も会いたかったなぁ」

 「それでパーティーで探すってわけか。いいな、俺も探す」

 「じゃ、一緒に探そうか」

 隗と二人でそういってうなづきあう。

 「理人、俺も一緒探す!! パーティー出るなら一緒いようぜ」

 「いいなぁー、葉月さんも隗も皆パーティー行けて」

 「そういえば、千尋も俺と一緒で一般家庭なんだっけ?」

 上から葉月、千尋、春ちゃんの言葉である。

 ふてくされたように、羨ましそうに呟く姿に、周りの一般生徒達が可愛いなんて叫んでいるのが聞こえる。

 とはいっても前に千尋が親衛隊殴っちゃったから、千尋は完璧観賞用として見るだけならいいけど近寄りたくないってなってるんだけど。

 「理人…、俺も多分行けると思う」

 「響もか。響も一緒に十文座家探す?」

 「ああ。一人で居るよりそっちのが楽しそうだ」

 ああ、響って友達居なかったみたいだしパーティーとかでも一人だったのかな、もしかして。

 そんな事を考えながら、一人で居るより探す方が楽しそうなんて嬉しそうに言う響を見る。

 十文座家についての話をしながらも、昼食の注文をして昼食をする。

 千尋が俺もパーティー出たいとかいってむくれていたけど、頼んでいたクレープ食べたらすぐ機嫌を良くしたのを見て思わず笑った。

 本当、千尋って甘い物好きなんだよね。

 「午後の一発目って棒倒しだっけ」

 「うん、そうだよ、りー。はーちゃんも出るんだよ!」

 「春ちゃん…、棒倒しなんて大丈夫?」

 男子校だし、男だけだから相当大変そうなんだが、春ちゃん大丈夫なのかな。

と、ちょっと心配になる。

 「うん、何か倒れたりしないか心配だけど俺頑張る」

 「お、れも…で、る」

 由月はカレーを食べながら、俺の方を見て言う。

 「ふぅん。由月も出るんだ。じゃあ、由月。春ちゃんが怪我しないようになるべく守ってあげてね?」

 「ん…」

 「あ、ありがとう。由月君」

 春ちゃんと由月はそこまで接点ないけれど、春ちゃんは真希とも仲良しだしね。

 真希大好きな由月が怪我するの良い気分になるわけないし。

 そういえば、真希は鏑木先輩と一緒に食事してるのかな。

 からかうのが楽しそうだ。

 「棒倒し終わったら応援合戦だよね。僕失敗しないか不安だな」

 「大丈夫、螢は失敗しても可愛いから」

 「渕上兄って…、何かブラコン半端ないよな」

 螢と隗の会話に、呟くのは響である。

 この学園の応援合戦は、チームごとに違ったふりつけのものを踊るのだ。

 会話を交わしながら、昼休みが終わって俺は隗達と一緒に生徒会のテントに来ていた。


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