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体育祭を楽しもう。

 『…思う存分、楽しめ』

 会長の声が響く中、俺は生徒会用テントにいた。

 今は、体育祭の開会式だ。

 また、会長が「お、俺様は佐原理人と一緒に――」などと気持ち悪い事を言いながら司会者なるものをやらせようとしてきたが、拒否した。

 「楽しみだねぇ」

 「一位とろうね」

 「「僕ら頑張る―」」

 人の目もあるからか、そういってシンクロしている隗と螢。

 本当、隗の本性知ってるから見ていて、面白い。

 そういえば、さっきの会長の言葉に結構皆声を上げたりしてたけど…、会長って何であんなに人気何だろう?

 俺からすれば本当に不思議だ。

 「さ、は、ら…。ま、き、ど、こ?」

 隣でそう問いかけてくるのは安住君だ。

 うん、開会式に見渡す限り真希いないもんね。

 だから気になったんだろう。

 「真希サボるって。競技には来るって言ってたけど」

 「そ、か……」

 そういう安住君は、真希の事友達としてだけど大好き! ってオーラが溢れて

る。

 そういえば、鏑木先輩も風紀のテントにいないし、もしかしたら二人でサボっていちゃついてるのかもしれない。

 「「ねぇねぇ、理人ってさ(佐原ってさ)」」

 「「何に出るんだっけ?」」

 それにしても、隗と渕上君。シンクロはいいけど、呼び方は違うんだよなぁ。

 隗は別に呼び捨てやめる気ないし、渕上君は何だか俺を呼び捨ては怖いらしい。俺が容赦ないの知ってるし。

 隗は「可愛いよなぁ。脅えて螢って」なんてブラコン発言してたけど。

 「200メートル走と学年対抗リレーと、団対抗リレーと騎馬戦と、応援合戦かな」

 「うん、見事に走るのばっかだね」

 「足速いのー? 理人って?」

 「うん、運動は得意」

 「「へぇ、そうなんだー。僕らもリレー走るよ。頑張って優勝目指そうねぇ」」

 ちなみに団は、クラス別。Sクラスが居る方が断然有利だけどね。

 隗達とは同じクラスだし、同じチームだ。

 S~Fクラスまであって七クラス×三学年で、計21クラス。

 で、三クラスずつがチームで、全部で七チームあるわけだ。

 不平等なくすために、結構色々渉兄と田中さんで考えてるらしーよ。

 渉兄、理事長としては結構仕事出来るしね。かっこ悪いけど。

 とはいっても田中さんの方が有能らしいけど。

 そんな事を考えながらのんびりとしていれば、開会式は終わりを告げる。

 ―――そうして、一番最初の競技が始まった。

 一番初めの競技は障害物競争だ。

 これには、千尋、葉月、愛ちゃんとかが出場する。

 愛ちゃんは、運動苦手だっていってたし、思いっきり応援しよう。

 そして終わった後にでも、作ってきたお菓子でもあげにいこうかな。

 親衛隊の子にでもあげようかなって昨日お菓子作ってきたんだよね。

 「愛ちゃーん、頑張れー」

 一番最初の障害物…、網の下をくぐる奴をやっている愛ちゃんに声援を送る。

 引っかかりそうになりながらも網の下をどうにか抜け出す愛ちゃん。

 次の障害まで走ってる間にも何人かに抜かれてしまった愛ちゃんは一生懸命走っている。

 うん、可愛いよね。愛ちゃんって。

 「会長、愛ちゃんの応援してください」

 愛ちゃんが一生懸命走ってるというのに、安住君の隣で黙って座っている会長に声をかける。

 俺の隣に座ってきたが、会長の隣とか俺が嫌なんで移動した。

 あんなに、愛ちゃんが一生懸命走ってるというのに応援もしないなんて、本当会長って…と思う。

 毛玉君の事件以来、愛ちゃんにお菓子の差し入れもらったり結構喋ってるし、同じクラス何だからぼけっとしてないで応援しろよと思ってしまう。

 「あ? 光永愛斗走ってんのか?」

 「そうですよ。だからさっさと応援してください。

 可愛い可愛い愛ちゃんが頑張ってるんですよ?」

 「……貴様は光永愛斗を気にいっているのに、何故俺様の事は…」

 「グタグタ気持ち悪いんで、さっさと応援してください。

 一言でも会長が声かければ愛ちゃん喜びますから」

 本当にこんな会長の何処がいいんだろうと思う。

 親衛隊のわんこ達や愛ちゃんはどうしてこれに憧れとか恋愛感情もてるのだろうか。

 「くっ……わかった。

 光永愛斗、頑張れっ」

 つか、何でフルネーム呼びのままか不明。

 あ、ちなみに俺は以前に「俺様は貴様を呼び捨てにしたい」とかいってきたから丁重に断った。

 だって、会長に名前呼びされるとか嫌だ。

 おー、会長の声に愛ちゃんのスピードが上がった。

 好きな人の応援で頑張るって可愛いよね、愛ちゃん。

 そうして、愛ちゃんは四着でゴールする。ちなみに6人中でのね。

 うん、運動苦手だっていうのに一生懸命やってる愛ちゃんは見ていて可愛いよね。

 障害物競争は、二年、一年、三年という順番だ。

 二年の親衛隊の子達応援したり、同じチームの人応援したり、そうしている間に、次は一年の番になった。

 ――そう、千尋の番である。

 「千尋、滅茶苦茶速いねー」

 「ポンポン飛んでるね。吉田って凄いねー」

 それにしても本当、渕上君は千尋の事も名前呼び出来ないらしい。

 なんかこういう違い面白い。

 そんな事を思いながらも、ちらりと千尋の方を見る。

 跳び箱を軽々と越えて、素早くかけて、平均台を素早く移動し、そのままどんどん進んでいってる千尋。

 『クラッシュ』の幹部だけあって、運動神経半端ないしね。

 そうして一位でゴールした千尋は何故かそのまま俺の方へと真っすぐやってくる。

 「りー、りー、見てくれてた!? 俺一位だったよー」

 「うん、見てたよ。流石だね」

 「うん! 俺りーにほめてほしくて頑張ったんだ」

 キラキラとした目で俺に笑いかける千尋。

 「ヤンデレ一途萌える」

 「わかります。腹黒×ヤンデレが成立すれば…」

 何だかそんな声が聞こえて後ろを振り向けば、和志先輩と真希が何だか興奮していた。

 真希の隣では、鏑木先輩が仕方ないなぁとでも言う風に真希を見ている。

 真希はいつのまにここに来たのか。

 「…はぁ、真希も和志先輩も興奮しないでください」

 「する! 理人フラグいくつか立ってんじゃんか! 夏美も受けフラグ立ってほしいっていってたしな」

 「いやいやいや。和志先輩、夏美ちゃんにいっといてよ。俺は受けないから」

 「「えー」」

 何でこの二人こう、俺にネコになってほしいんだ…。

 つか、いやだ、絶対に。

 「えーじゃないから。で、真希はいつ来たわけ? 鏑木先輩と一緒にいなかったからいちゃついてたんだろ?」

 「……り、理人には関係ない」

 顔真っ赤にしてたら、バレバレ何だけど、真希。

 真希の親衛隊の子が何だか赤い顔にキャーキャーいってるし。

 「腐男子受け萌える」

 隣で和志先輩は呟いて指を立ててるし…。

 「ちょ、俺で萌えないでください!!」

 「えー、だって菅崎ってマジ萌えるよ? 俺、彼女と菅崎で萌えてるもん。

 他人の事情は全然いいのに、自分の事となるとはずかしがるとかマジ萌える」

 「本当、真希って自分の事は恥ずかしがるよね」

 和志先輩が騒ぐ中で、俺がそういえば、真希は何だか不服そうな顔をして、  「し、仕方ないだろ! 自分のははずかしいんだよ」

 と顔を真っ赤にして答える。

 真希…。そんな反応するから和志先輩に萌える萌えるいわれるんだよ。

 「あ、りー、葉月さんがもう走ってる」

 千尋にそう言われて、グラウンドを見れば、葉月も千尋同様障害物を次々とクリアしていく。

 かっこいいーと周りの子達は叫んでるし。

 …本当、葉月は俺じゃなくて他の子好きになればいいのにね?

 葉月の事は親しい友達だっておもってるし、俺に叶わない恋するよりほかの子と幸せになってほしいなぁって思う。

 「流石、葉月速いね」

 「葉月さん、運動神経いいもんねー」

 にこにこと千尋が笑ってそういう。

 千尋は俺の取り合いみたいな感じで葉月と口喧嘩はするけど、なんだかんだいって葉月の事は慕っている。

 「俺様だって、あのくらい―――」

 「いや、出来ないでしょ。会長には。会長は葉月よりみた感じ運動神経ないじゃないですか。普通よりは出来るとはいっても葉月より出来ないでしょう?」

 「な、お、俺様だって……」

 「『ブレイク』の総長って葉月さんに一回も喧嘩で勝った事ないもんねー。今度俺と喧嘩する?

 りー困らせてるみたいだし、思いっきりフルボッコしたいよね!」

 千尋…と思わず千尋の方を見る。

 千尋と会長……実際にどっちが強いかはやり合った事はないはずだからわからないだろうが、何だか意気揚々とした顔でカッターに手を伸ばそうとしている千尋に脅えた様子の会長を見ていると千尋の方が断然強く見える。

 「此処でデレたら萌えるんだけどなぁ…ツンデレっぽくて」

 「わかる、菅崎。理人がデレたら萌えるけど、理人マジ、会長嫌いだもんなぁ…」

 「……佐原、会長に態度ひどすぎだろ」

 上から真希、和志先輩、鏑木先輩の言葉である。

 会長にデレるとか、いやだ。というか、そんなもんで見てて楽しいか、と二人に聞きたくなる。

 「鏑木先輩、これはいつもの事ですよ?」

 「…いや、なおさらひどいだろ」

 「だって、俺会長嫌いですもん」

 笑顔でそう返せば、鏑木先輩は呆れたような何とも言えない顔を見せる。

 「き、きら…俺様は…」

 「「佐原(理人)――会長が可哀相だよ?」」

 シンクロして二人してそういって、笑う。

 でも絶対隗は会長気持ち悪いと心の中で思ってると思う。

 本当、ブラコンだからってよくやるよね。

 「あれ、呼び方違うのか、双子で」

 そういえば、和志先輩って隗の本性知らないもんね。鏑木先輩も不思議そうな顔をしている。

 「まぁ、隗と俺は仲良いし」

 「え、何片方とだけ仲良いって興味あるんだけど、何で?」

 「秘密です」

 騒ぐ和志先輩ににっこりと笑ってそういう。

 「理人!」

 何だか話しこんでるうちに葉月も走り終えたみたいで、こちらにやってきた。

 「おー。葉月お疲れ」

 「ああ。俺一位だったぞ!」

 「うん、見てたから知ってる。葉月も千尋も速いよね、本当」

 「な、何で寺口葉月にはそんな友好的なのに俺様には――」

 何だか俺と葉月を見ながら不満をいう会長。

 悲しそうな顔が気持ち悪い。

 「当たり前でしょう? 葉月と俺は友達ですよ?」

 「俺恋人がいい!」

 「いや、付き合わないからね、葉月

 会長は俺にとって友達でも何でもない――そうですね、ただの同じ役員?寧ろ他人みたいな位置ですかね。どうなってもどうでもいいですし」

 葉月に言った後、会長の方を見て、本心を告げる。

 「お、俺様は、俺様は……」

 会長…、隗が何だか冷めた目で見てるのに気付こうよ。

 渕上君は本気でおろおろしてるけど、隗のおろおろは確実に演技だ。

 「り、理人君。暁様、どうしたの?」

 そんな中でやってきたのは愛ちゃんである。

 「ん? 本心いったらああなった」

 「本心って…理人君、本心でも言っちゃだめだよ?」

 困ったようにそういって笑う愛ちゃんは本当に可愛い。

 「うん。てか愛ちゃんさっき頑張ってたね、お疲れ様」

 「暁様の、声聞こえたから頑張ろうって思ったの」

 照れたように、嬉しそうに会長を見る愛ちゃんが誰が何て言おうと可愛い。

 本当、何で愛ちゃんこんなに可愛いのに会長が好きなんだろう?

 

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