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休みの日の理人と都

 「十文座家の人間と会ってみてどうだった?」

 文化祭の翌日。

 代休だったために、俺は実家にきていた。

 あの、特殊な一族”十文座家”に会ったという事は翔兄に昨日聞いたけれど、流石に人がいる場所で詳しく聞くのはどうかと思って、だからこそ、今日わざわざ実家にきてまで聞いてみたのだ。

 だって、興味深い。

 噂で聞いていて、一度は会ってみたいと思ってたのだ、十文座家に。

 そんな十文座家の一員に翔兄があったんだから、聞きたくて仕方がなかった。

 「面白かった。それにすげぇ興味深い」

 そういって翔兄は首にペットの蛇を巻いたまま笑った。 

 「翔兄にそれを言わせるってよっぽどだよね。いいな、俺もあってみたい」

 「俺が当主と認められたら十文座家の一人が俺の所に姿を現すってそいつは言ってた。

 そん時に、理人もいいって言われれば、近くにいれば?」

 「それはいいね。それにしてもどんな感じだったわけ?」

 好奇心でいっぱいだ。

 面白い奴は好きだから。翔兄が面白い、興味深いってそこまで言うような人ならば、ますます会いたい。

 身を乗り出してそういえば、翔兄は笑った。

 「特殊能力とか、色々持ってるぽい」

 「特殊能力? え、何そのファンタジー的な言葉」

 「少し話を聞かせてもらえたんだ、そいつに。

 そいつはパソコンで色々やる奴みたいでさ。近づいただけで体調崩すような電波パソコンから放出してんの」

 「それ、本人には効かないの?」

 「ああ、本人には効かないらしい。体術は特殊じゃないらしくて、それで人を近づけないようにしてるらしい」

 近づいたら体調を崩すような電波ねぇ…?

 そんなもの持ってればある意味最強だよね。本人には効かないわけだから、それを放出してる間に体調崩した相手を倒せばいいわけだし。

 「父さんにいったらさ、

 俺に会いにきたの多分本家に近い奴だって」

 「本家に近いって?」

 「血がこければこいほど、本家に近ければ近いほど、能力が強くなるってそいついってたんだ。で、父さんにいったら、そんだけ能力持ってるなら本家に近いんだって」

 血が濃ければ濃いほど、能力が強いか。

 十文座家の能力は本当に色々あるらしい。父さんが非現実的なものも沢山あるってそう言ってたし。

 「つか、多分当主への就任パーティーに十文座家まぎれてくると思うんだが、理人はでねえよな」

 「あー、そっか。取引先は一応全部呼ぶって父さんいってたもんね。

 んー、パーティーか…。折角隠してんのにそんな場所でばれるのもなぁ…」

 正直十文座家にはかなり興味がある。

 でもその場でばれるって何か嫌だなと思う。

 「どうせ、秘密盛大にばらすつもりだったんだろ? 近いうちにばらしちゃえば? で、そのあとパーティーくればいいだろ。就任パーティーもう少し先だし」

 「んー、それもいいかもね」

 「だろ?」

 「確かにそれなら思いっきり面白くばらせるし、十文座家にも会えるかもだしー。うん、いいね!」

 流石翔兄、名案! なんて思う俺である。

 翔兄って本当渉兄と違っていいよね。

 渉兄ただのMなバカだしなぁ。

 「まぁ、やるなら思いっきりやれよ?」

 「当たり前。思いっきり派手にばらした方が楽しそうだしね」

 そんな事を言いながら、俺と翔兄は笑い合うのだった。

 本当翔兄はいい性格してる。









 *龍宮都side





 「……あんたが、寺口葉月?」

 週末――、俺は『クラッシュ』へと顔を出していた。

 で、葉月さんとか他のメンバーも一緒にその辺をぶらついていたら、フードの人物が葉月さんに問いかけた。

 「そうだけど? お前は?」

 「俺? 一応巷で『クラウン』って呼ばれてるものだよ」

 にっこりと笑ってそういった、そいつ。

 ――『クラウン』というのは、この辺を騒がせているフリーの情報屋の名前だった。

 「ふぅん? で、その『クラウン』がなんの用?」

 葉月さんは、まったく恐れも脅えもないという態度で『クラウン』に問いかけた。

 「いや、ちょっと寺口葉月がどんな人間か、知りたくてね」

 そういって、サングラス越しに、『クラウン』は笑った。

 「ふぅん。そんなの調べれば一発じゃね? 『クラウン』は情報収集のプロって聞いたけど」

 「人づてよりも、自分で見た方がどんな人間かわかりやすいだろ?俺は自分で見たものを信じるようにしてるんでね」

 ――そうして、愉快そうに笑う、『クラウン』は何だか、面白い事を楽しんでいるようなりー兄と同じような感じがする。

 「へぇ…。で、お前の目から見て俺ってどう映ってるわけ?」

 「まぁ、一回会っただけじゃわかんないけど、強いんだろうなぁっては思うけど?

 一回喧嘩したら、すげぇ、楽しそうってそう思うから、今度喧嘩吹っ掛けていい?」

 本人に向かってそう堂々と言い放ち、笑う姿は何だかただ者じゃない感じがする。

 ――面白いなぁ、と俺は『クラウン』を見た。

 そうすれば、『クラウン』と目があった。

 「そっちは、龍宮都? 寺口葉月が次期総長にしようとしてる子だね?」

 「は?」

 『クラウン』の言葉に驚いたのは俺である。

 俺はそんな事実知らない。

 ……葉月さんが、俺を次期総長にしようとしてる?

 俺、そんな話聞いてないんだけどなぁ…。

 「…お前、何で知ってんの!? その話周りにしてねぇぞ!?」

 「え」

 葉月さんの言葉に益々驚く俺である。

 え、『クラウン』の言ってる事本当なの?

 俺、びっくりだよ。

 「俺の情報収集能力、甘く見てもらっちゃ困るよ。これでも情報屋を名乗ってんだ。調べる事は得意なんでね」

 「え、えっと、葉月さん、本当なんですか?」

 とりあえず、驚いている俺は葉月さんにそう問いかけた。

 「ああ、まぁ、今言うつもりなかったけど、一応そのつもりだけど。お前強いし」

 「……マ、マジですか」

 「ま、寺口葉月がいつ引退する気がしんないけど、俺は少なくとも数年は情報屋やめる気ないし、龍宮都もこれからよろしく」

 そういって、『クラウン』はにっこりと笑う。

 そうして話しこんでいれば、

 「『クラウン』だ!」

 「てめぇ!」

 何だか、『クラウン』目当ての族かなんかの声が響いた。

 「あ、追手がきたみたいだから、俺はおさらばするよ。

 また、今度会いにくるから。

 今度、喧嘩しよーぜ」

 そういって、『クラウン』は笑うと、その場から去っていった。

 ……それにしても、俺が次期総長か。

 それを思って、もっと強くなろうと俺は意気込むのだった。



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