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9日目 ロザリィちゃんマジプリティ

9日目


 朝起きたら耳栓が砕けてた。この世に神はいない。


 今日も休日。枕もとのカミシノの破片を小瓶に詰め、ギルを起こす。あの野郎、昨晩着替えずにベッドに入ったらしい。昆虫採集に行ってたらしくシーツにも服にも草や土がついていた。風呂の後に外に行くとかどうなってんだこいつ。


 でも、いつも世話になってるからって捕まえたマジックバタフライを一匹くれた。名前はチャールズって言うらしい。


 値段も張る虫で貴重だから遠慮しようと思ったけど、奴の虫かごの中に五匹はいたから貰っておいた。この辺は環境がいいのか、みんな大きくて色合いも美しい。魔法生物なのに観賞用として有名って意味が分かった気がする。


 チャールズは後ですりつぶして肥料の材料にする。すまんなチャールズ。


 朝食はカリカリのベーコンエッグ。白身の部分はギルに食べさせた。やつは『うめえうめえ!』って言いながらまたもジャガイモを平らげていた。一個わけてもらったけどやっぱりどこの家庭にもある普通のジャガイモの味だった。あいつ腹にたまれば何でもいいんだと思う。


 そのあとは外に行って軽く日光浴。テラスは風もいい感じに吹いていて気持ちよかった。森の方からも湖の方からも生徒の声が聞こえたけど、図書館とか栽培スペースは気配すら希薄。まあ休日だからしょうがないかもと思ったけど、よく考えれば平日の自由時間もこんなかんじだ。


 で、だ。ここからが今日のハイライト。


 芝生の上でゴロゴロってしてたらさ、なんか顔に影がかかったんだよ。それで、『隣いいかな?』って超可愛い声が聞こえてくるの。


 ロザリィちゃんだった。ひゃっほぉぉぉぉ!


 なんでも彼女、ヒマだったらしい。いつも一緒にいるアルテアちゃんやミーシャちゃんはマジックバタフライの繁殖期ってことで森に行ったんだけど、ロザリィちゃんは虫が苦手だからお留守番ってことになったんだと。そんなところがマジプリティ。


 まだ入学してそんなに経っていないからふらっと遊べる友人も思いつかず……っていうかそもそも予定も連絡先も知らないから、仕方なく適当にブラブラしているところで俺を見つけたらしい。私服ロザリィちゃん最高に可愛かった。


 あと、なんか不本意だけど、俺ギルの面倒見ているからかクラスじゃ結構目立ってるんだと。親しみやすいお母さんみたいだってにこって笑いながら言われた。ちょっとだけショック。


 とにかくまぁ、素晴らしい午前を過ごした。他愛もないおしゃべりして、お互い趣味のこととか話して。これって休日デートじゃね? お昼も一緒に取っちゃったりした。ロザリィちゃんがサンドイッチを頬張るのがめっちゃキュートだった。


 午後もヨキの課題を一緒に片付けようってことでクラスルームで勉強してたんだけど、二時間くらいで森に遊びに行ってた連中がまとめて帰ってきて、せっかくのスウィートタイムを邪魔しやがった。むかつく。ポポルもフィルラドもちゃっかり入ってきて課題を写していきやがった。アルテアちゃんやミーシャちゃんがやってきたのはよかった。彼女たち、俺のじゃなくてロザリィちゃんのを写してたけど。


 ギルのヤツはみんなが捕まえたマジックバタフライに名前を付けていた。十三匹中リチャードが三匹もいたけどあいつはバカだからしょうがない。ちなみに奴はすでに俺の課題を写し終えていた。


 俺のおかげなのにフィルラドたちに『俺努力家だし? これくらい楽勝だし?』とか自慢げに話していたので頭を叩いた。俺の手のほうがダメージを負った。ちくしょう。


 で、夕飯食って風呂入ってみんなで雑談で今に至る。振り返ってみれば充実した休日だったかもしれない。


 イビキがうるさい友人の鼻に、ロザリィちゃんへの美容液の試作品を垂らして眠ることにする。おやすみ。


※明日からまた授業。あと燃えるゴミを部屋の外に出しておく。魔法廃棄物は分別して来週に出す。ギルの使用済みタオルは最上級指定危険物の日でいいだろうか?

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