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87日目 基礎魔法概論:砥魔石について

87日目


 ギルの肌がぬめっとしている。キモチワルイ。


 ギルを叩き起こし、食堂へ。週明けなので景気よく双子ちゃんなハムエッグを食べた。もちろん白身はギルに喰わせる。ギルのヤツ、白身が混じっているのも気づかず『うめえうめえ!』ってジャガイモを貪っていた。今日も実に平和だ。


 双子ちゃんなハムエッグを見てはしゃいでいたロザリィちゃんがマジ可愛い。ロザリィちゃんの夢を潰すことは憚られたのか、アルテアちゃんは一瞬のスキを見つけて一息でハムエッグを平らげていた。消えてしまったハムエッグにしょぼんとするロザリィちゃんがベリーキュート。


 朝食後、アルテアちゃんに呼び出される。『言いふらしたら……わかるな?』って女の子がしちゃいけない顔で脅された。ハムエッグを一口で平らげるくらい誰でもすると思うんだけど。女子的にそれはNGなのだろうか。


 授業はシューン先生の基礎魔法概論。ロフトの件をどこからか聞いたのか、『先生にも教えてくれよぅ!』ってやたらべたべたしてきたのが印象的。かまってちゃん、ここに極まれり。


 ギルは物理的にべたべただったから、先生のローブが思いっきり汚れてしまった。でも、『これも青春だな!』なんて言ってシューン先生は一人で納得していた。イマイチあの人のキャラがわからない。


 内容は蝕造の際に使用する砥魔石について。めっちゃ長いメモだったので、簡単に概要だけ示す。



『砥魔石とは蝕造で使用する魔法刃の一種である。大きく砥粒、気孔、結合魔剤の三つで構成されており、これを砥魔石の三要素と呼ぶ。砥粒は微小な魔法刃の欠片一つ一つとモデル化することができ、これを結合魔剤で結合させることで気孔を伴った砥魔石となる。この気孔は一時的に魔塵をためておく空間となり、これの状態が不良であると良好な加工精度は得られない。


 その最大の特徴として、陣造行程において魔法刃(砥魔石)の交換、および魔力の補充の必要がないことが挙げられる。これは高速回転させた砥魔石を使って魔力塊を裂く過程において、砥魔石表面上の砥粒(魔法的要素)は消耗すると砥魔石そのものから剥がれ落ち、その下に潜んでいた新しい砥粒が表面に浮かんでくるためである。


 この特性により、魔法陣加工面が常にある一定の精度を保つことが可能となっている。また、途中で魔法刃の交換作業がないため、大量生産の魔道具のコストを抑える事にも向いている』



 なんか他にもいろいろあるらしいけど、一番重要なのは『消耗しない魔法刃であること』なんだって。この特性を最大限に活かすことで魔法陣は無限の可能性を孕むのだってシューン先生が言っていた。


 相変わらずこの授業は板書が多くて面倒くさい。ザントマンの砂嵐も吹き荒れていたけど、一生懸命写している最中にシューン先生が執拗にロフトのことを聞いてくるのであまり集中できなかった。


 『先生もロフトとか好きなんだ! だって秘密基地みたいだろ?』って言ってて、どうにかして一枚かみたい、もしくはルマルマ寮に遊びに来たいらしい。シューン先生、普段遊んでくれる友達がいないのだろうか?


 天使なロザリィちゃんがうっかり『せっかくだし、遊びに来てく……』まで言いかけたところで慌てて手で口を塞いで止めた。突然のことにびっくりして赤くなるロザリィちゃんが超可愛い。できれば俺の口で塞ぎたかった。


 シューン先生に軽い気持ちで約束したら入り浸られそうで困る。ステラ先生ならともかく、シューン先生がクラスルームにいたら全然落着けない。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。あんまり大したことしていないのに妙に疲れた。単純に板書の量が多くなってきたってことなんだろう。そろそろ期末に向けてギルの筋肉に勉強を教えたほうがいいだろうか。


 そんなギルは今日もスヤスヤと大きなイビキをかいている。なぜかローブのフードに入っていたギル・コーン印の特製調整餌を鼻に詰めた。グッナイ。

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