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86日目 ロフトマジ最高

86日目


 やり切った表情のフィルラドが二つの苗を手に部屋の前に倒れていた。それを見た誰もが、自然と杖を構えて大魔導式絶対敬礼をしてしまっていた。


 とりあえず、気絶したフィルラドをドクター・チートフルのもとへと担ぎ込む。紅茶を楽しみながらピアノを弾くという、彼のエレガントな休日の朝のひと時をぶち壊してしまったのが申し訳ない。


 ドクター・チートフルは嫌な顔一つせずにフィルラドのためにベッドを整え、リンゴを剥いてくれた。一個ちょろまかしたけど栄養満点でおいしかった。あと、『一体何があったんだね?』と聞いてきたので、『彼は大切な物のために自らを犠牲にしたんです』って言ったら、なんか微妙な苦笑いをされた。


 どうやらドクター・チートフルは、我がルマルマを変わり者の集団だと思っているらしい。俺は至って普通のまじめないい子なのに。


 そのまま食堂に行き、朝食を済ませてクラスルームに行ったら、驚くべきことにすでにロフトも飼育スペースも、さらには外の飼育小屋までもが完成していた。ジオルドが一晩でやってくれたらしい。


 『ハゲプリンをたらふく、な』って疲れ切った顔で言い残してジオルドはぶっ倒れた。ジオルドの友情の熱さに感動する。


 ぶっ倒れたジオルドはギルに命じてヤツの部屋のベッドに運んでもらった。ハゲプリンを三つほど持たせたから寝起きに食べることだろう。


 落ち着いたところでジオルドの作品であるロフトを見てみる。クラスルームの端っこに梯子みたいな階段みたいなものが出来ており、それを登ると食堂の大机三つ分はありそうなスペースが広がっていた。なかなかに広くて心が躍る。


 天井がちょっと近い……とはいえ、普通に過ごす分には問題無さそう。ここでミーシャちゃんがギルに肩車されたら頭をぶつけるかどうかってくらい。ちょっとぴょんぴょんしてもビクともしないし、耐久性もばっちり。デザインもシックな感じでなかなかオシャレ。このへんはクーラスのセンスだろう。


 ロフトの下もいつもどおりに使えるようになっており、そこに虫かごだとか水槽のスペースがわざわざ作られていた。日当たりなんかも完璧に計算されつくされた匠のワザマエ。いい意味で、ジオルドは魔法使いをしなくても生きていけると思う。


 ミーシャちゃんと一緒にロフトではしゃぐロザリィちゃんがマジプリティ。ロフトを二人の愛の秘密基地にしたい。


 クラスメイト達に荷物の移動やヒナたちを任せ、俺、ロザリィちゃん、ミーシャちゃんで再び栽培スペースに行く。まだ餌問題が解決していないからね。


 フィルラドが命を懸けて手に入れたトウモロコシの苗を植え、ギル・ポテトをその周辺に埋めると、やっぱりミーシャちゃんのリボンが共鳴を起こして水を吹きだした。


 そこまでは昨日と同じだったんだけど、次の瞬間にトウモロコシが触手を伸ばし、共鳴活性し増殖を続けるギル・ポテトを根こそぎ食って辺り一面黄色の恵みで埋めてしまった。


 もうホントわけわかんない。頭が狂いそう。


 さすがにこれは三人ともドン引き。トウモロコシが触手伸ばすって、もうそれトウモロコシじゃねーよ。面倒くさいからそのままギル・コーンと名付けた。


 喰えるかどうかは知らない。どうせ食べるの俺じゃないからいいや。


 意外なことに収穫は普通にできた。見た目だけは立派なトウモロコシ。ここでもやっぱりミーシャちゃんのリボンがうねうね動いて収穫しまくってた。


 『な、なんか怖いよ……!』ってそっと縋りついてきたロザリィちゃんがマジキュート。柔らかな感触に腕がつつまれて超幸せだった。


 夕方ごろになってフィルラドが復活。わざわざ調整してやった特製餌を奴に渡し、何があっても最後までヒナたちの面倒を見ることをクラス全員の前で誓わせた。ヒナたちがフィルラドから餌をもらっている姿がちょっとだけ可愛かった。


 夕飯食って風呂入って雑談しているときにみんなでロフトに登ったりして遊ぶ。ロフトの上からギルに向かって枕を投げるのが超楽しい。


 ロフトのすばらしさとか飼育スペースの便利さとか、書きたいことはいろいろあるけど明日は授業だからこの辺にしておく。


 ギルのイビキはやっぱりうるさい。畑で捕まえたミミズをそのまま詰めてみた。残酷な最期を迎えるであろうミミズに同情を隠せない。永遠におやすみなさい。


※るて捨も物棄廃法魔。ミゴるえ燃は日明

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