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67日目 触媒反応学:傾斜型立体円型魔法陣のねじり演算

67日目


 ギルの枕がズタズタに裂けている。自分の手でやったらしい。ヤツはまた一つ大きな武器を手に入れたようだ。


 朝食は朝からガッツリとピザを選択。ポポル、フィルラドと共に男の喰いっぷりを見せつけた。ギルの鋭い爪のおかげでカットがらくちん。机にひっかき傷も出来ちゃったけど、アレはアエルノチュッチュの陰謀だから仕方ない。


 ピザにもジャガイモは乗っているのに、やっぱりギルは『うめえうめえ!』って言いながら蒸かしたジャガイモを食っていた。たまには、と思ってピザソースをかけてやったけどあの様子じゃ気づいていなかっただろう。


 アルテアちゃんとピザをはんぶんこしていたロザリィちゃんがマジプリティ。最後にぺろって指を舐めたのもグレート。なんで何してもあんなに可愛いんだろう?


 授業はヨキの触媒反応学。ギルを使ってリンゴの飾り切りをして待っていたらヨキに食べられてしまった。『個人の所有物を許可なく食べるのは例え教師でも許されることではない』って言ったら、『授業に関係ない不適切なものは先生が処分する義務があるんやで』って返された。教師って横暴だ。


 内容は前回に引き続き魔法陣のねじりについて。今回は練習問題を解く。なぜみんなこの授業を触媒反応学と呼び続けるのか理解に苦しむ。これもう魔法陣計算学じゃね?


 とりあえず、問題文だけ書いておく。



『傾斜型立体円型魔法陣の両端を固定し、小さいほうの端から魔深リンセの位置にねじりサークリア ラネを加える。両端の固定ねじりサークリアと中央断面のねじれ魔角オップを求めよ』



 文章は短いけど計算はめちゃくちゃ面倒。魔法陣の変形を考慮したうえでサークリアのつりあいの式をたて、等価なところを見つけながら立式していく。


 ヨキの性格の悪いことに、傾斜型だからほとんどのパラメータにおいて分布が存在してしまう。だからクソ面倒な積構を使わないと正しい答えが出てこない。もしまともに途中式を書いたらこの日記の明後日分くらいまで使わないとならなくなる。


 結局最後まで解けたのって俺しかいなかったと思う。クーラスはまだ調子悪そうだったし。


 でも、『おしえてーっ!』ってノート持ってやってきたロザリィちゃんが超キュート。みっちりマンツーマンで教えてあげた。女の子のいい匂いがすぐ近くから漂ってきて背徳感がヤバい。


 ちらっと影を感じたと思ったら。ヨキがすっげぇいい笑顔でウィンクとサムズアップを決めていた。俺、初めてヨキに感謝したかもしれない。


 ギルのヤツはミーシャちゃんに背中をよじ登られていた。ミーシャちゃん、身長が足りなくて背伸びしても俺の後ろから覗けなかったっぽい。


 だけど、ここで事件が起こる。ギルは優しくミーシャちゃんの首根っこをつかんで肩にのせてあげようとしたんだけど、勢い余って彼女のお気に入りのリボンを引き裂いてしまった。直後に悲鳴。ミーシャちゃんマジ泣き。いくら俺でもさすがにビビる。


 和やかだったはずの教室に重い沈黙。ヨキは女の子の涙に弱いらしい。居心地悪そうにしていた。


 さすがにギルもこの事態はヤバいと感じたらしい。神速の筋肉でパーフェクトな土下座をし、ヤツが大事に大事にしていたとっておきのジャガイモ(俺がふかしたやつ)を差し出す。

 

 だけどミーシャちゃん、マジでしゃがみ込んでぴすぴす泣いていた。いつもならケツビンタか噛みつくかしてくるのに。


 ギルのヤツが『ジャガイモ断ちだってしてみせるからなんとかしれくれ親友!』と言ってきたので一肌脱ぐことに。言っとくけどギルの為じゃなくて、心を通してロザリィちゃんに頼まれたから動くってだけだ。そこのところ勘違いしないように。


 ギルのイビキは悲しみを帯びている。なんか発情期のマイティミノタウルスみたい。とりあえず、計画の第一段階(と、俺個人の目的)のために悲しみに嘶くギルの鼻にカミシノの枝を刺した。グッナイ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 久々に読み返し中 ここ辺りからギルがただの変人じゃない所が見えてきて この日記に惹かれていったのを思い出した
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