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65日目 イビキ・オブ・デストロイ

65日目


 結論から言おう。クーラスの顔に死相が出ていた。


 実に二か月ぶり近い快適な目覚め。睡眠のすばらしさを噛みしめた……のはよかったんだけど、部屋の外が騒がしいのでジオルドをそっと起こして外に出た。


 そしたら、フィルラドとポポルが真っ青になって俺の部屋を指さしていた。『早く何とかしろよ!』、『お前には人の心がないのか!』などと言われたので部屋の中を覗く。


 部屋の中が罠魔法でいっぱい。反応感知式の魔法陣がこれでもかと張られている。ぐにゃりと歪んだ明らかにアブナイ未知の魔法陣もある。しかも色が変。瘴気っぽいのも滲みでてる。マジでびっくりおったまげ。


 そんな罠魔法の群れの中心で、目にかなり濃いクマを作り、頬がげっそりこけたクーラスがギルの悍ましいイビキをバッグにブツブツと何かを呟いていた。


 目が死んでたのが超怖い。廃人ってたぶんああいうのを言うんだろう。


 ひとまず罠魔法を解除しながらクーラスを引きずり出し、ギルを叩き起こして状況の確認。これだけでかなりの時間がかかった。完璧に未知な魔法陣もあったので(そもそも構成レベルが明らかに禁術指定のグランウィザードクラス)、ギルを突撃させて無理やり解除したものもある。


 調べた結果、衝撃の事実が発覚。クーラスの野郎、あれほど言ったのにギルの鼻に何もつめなかったらしい。おまけに耳栓もしていないときた。マジありえない。


 寝ぼけ眼のギルもたいそう調子が悪そう。うまくいえないけど、なんか筋肉のキレが悪いってぼやいていた。死相のクーラスは当然の様にスルー。


 『ジャガイモ食べれば直る』って言ったら『それもそうだな!』って納得してくれた。ギルは扱いやすくていい。


 肝心のクーラスだけど、風呂にぶち込んでマンドラゴラビンタを何発か食らわせたら意識だけは戻った。布団にもぐって寝ようとしたところまでは覚えているものの、そこから先は記憶がないって言ってた。何があったか知りたくもない。自己防衛本能が働いたのは確かだろう。


 ギルは朝食で『うめえうめえ』ってジャガイモ食ってた。いつもよりちょっぴり元気がない。今度もっとおいしいジャガイモを食わせてやろう。


 容体が安定したクーラスにはこないだ作った回復薬を飲ませておいた。飲ませたとたんに意識を失い眠りだしたので、約束をきちんと果たすべく俺のベッドに寝かせようとしたら、ポポル、フィルラド、ジオルドから『お前ほどクレイジーで容赦がない人間はいない』って化け物を見る目で言われた。解せぬ。


 本来の部屋に運ぶ途中、クーラスは寝言で『ジャガイモが屠る。筋肉と言う名の快楽を』って呟いてたんだけど、いったいどんな夢を見ていたのだろうか。


 あと、パレッタちゃんが『ヴィヴィディナの求める最高の呪物が降臨した!』とか言ってクーラスの髪を毟ろうとしてきたから阻止しておいた。さすがに若ハゲは可哀想だし。


 他にもいろいろあったけど、一日ぶりのギルとの相部屋のため、今日はここらで筆をおく。たった一日空けただけなのにいつも以上にギルのイビキが体に響く。あいつのイビキってこんなにうるさかったっけ?


 念のために、水魔法要素を含んだ立体結界魔法陣にいつぞやのカミシノの破片を組み込んだものをギルの鼻の穴付近に展開した。消音効果はすさまじい。みすやお。


※明日は燃えるゴミの日。予想外に魔法廃棄物が出たけどあと一週間我慢する。

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