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62日目 基礎魔法学:闇魔法を用いた対複数戦実習

62日目


 上質のカミシノ紙が机の上に置かれてた。ジャガイモ臭いけど200枚くらいある。ラッキー。


 なんかそんな気分だったので、朝食はフィルラド、ポポル、ジオルド、クーラスと五人でホールケーキを食べる。朝からの贅沢にテンションも高い。男だって甘いものが好きなのだ。


 最近オープンになりつつあるジオルドがケーキ奉行をしてイチゴやクリームの配列、比率を完璧にしたカットを披露する。おこちゃまなポポルにだけイチゴが三つも乗ってたけど、それがあいつなりの優しさなんだろう。ポポルは鼻の頭にクリームを付けながら、ギルをリスペクトして『うめえうめえ!』ってイチゴ食ってた。もちろんギルはジャガイモを『うめえうめえ!』って大皿一枚分まるまる食ってた。アイツの胃袋は底なしだと思う。


 『ひとくちちょうだいっ!』って覗いてきたロザリィちゃんがマジプリティ。快く大きな一口を『あーん』してあげようとしたら、さっとケーキの上のイチゴを取られてしまった。そんなおちゃめなところが大好きです。照れくさそうに笑っているのもキュート。


 あと、ロザリィちゃんのほっぺにクリームがついていたのでさっと手でとって舐めた。真っ赤になるロザリィちゃんマジプリティ。でも、直後に気高きアルテアちゃんと勇猛たるミーシャちゃんのケツビンタが俺を襲う。最近、彼女らのケツビンタがマデラさんの領域に近づきつつある。超怖い。


 いつのまにかポポルのイチゴがパレッタちゃんによりヴィヴィディナに捧げられていた。あと、ギルのイチゴをくすねようとしたミーシャちゃんが(そもそもギルはケーキを食べていない)思いっきりジャガイモかじって涙目になってた。


 甘い気分のまま授業に。みんな大好きステラ先生の基礎魔法学。朝のケーキを先生と一緒に食べられたらどんなに幸せだったことだろう。


 今日のテーマは対複数戦での魔法運用についての実習。魔法使いってのはその性質上前衛と組むことが多いけど、やっぱりいざってときのために直接的と渡り合う訓練もしないとならない。


 そうなると問題となってくるのが対複数戦。タイマンならまだやりようがあるけど、多対一だとかなり厳しいのが現状であり、これをどうにかするのが一流の魔法使いへの第一歩だってステラ先生が両手をぎゅってやりながら教えてくれた。ステラ先生マジ可愛い。


 さて、対処にはいろんな方法があるけれど、一番メジャーで手軽な方法として教えられたのが闇魔法による相手への目つぶし。視覚を奪ってしまえば魔法にしろ剣にしろその脅威は大きく削ぐことができるのだそうだ。


 実習と言うことで興奮状態にさせた十数匹のラットマン(こいつの繁殖力はすさまじい。一匹いたら翌日には百匹になってる)を逃げ場のない簡易コロシアム(ステラ先生が土魔法で一瞬で作った)に放ち、その中一分間逃げ切るということをした。


 実際やってみてわかったんだけど、ラットマンとはいえ興奮状態はけっこうビビる。でも跳びかかってくる前に目つぶしの魔法をかけると、面白いようにトンチンカンな行動して安全度がダンチだった。


 ただ、俺自身の逃げ場もないので相手の目が見えなくても観察を怠らず、常に気を張っていないといけない。複数のラットマンがやたらめったら跳びかかっていくのはなかなかホラー。


 一番大事なのはたぶんこの『油断しない』ってことなのだろう。どんな方法も確実じゃないんだし。それに、魔法を外したらそもそも意味がない。観察眼を鍛えるのは結構重要っぽい。


 目つぶしなら別に土魔法で砂を巻き起こすだけでもいいんだけど、闇魔法のほうが範囲も広く、汎用性が高いうえ、自然物を介さない分無効化されることが少ないってステラ先生が言ってた。もちろん、状況に合わせた最善を取るのが重要らしい。


 ギルの場合、魔法を使わずともラットマン自体がやつの筋肉に潜在的な恐怖を覚えて襲おうとしなかったため、まともな訓練にならなかった。困ったように笑うステラ先生がベリーキュート。でも、筋肉を見せびらかすギルにイラッとした。


 で、夕飯くって風呂入って雑談して今に至る。雑談中、男子連中で暗闇ごっこをして遊んでたんだけど、目つぶし状態のフィルラドがギルに熱い抱擁を交わしていた。今夜は悪夢確定だろう。


 悪夢のようなイビキの旋律をギルはやすらかに紡いでいる。ちょっと趣向を変え、闇魔法要素を含んだ立体結界魔法陣をギルの鼻の穴付近に展開した。


 気合入れすぎて寝るのが遅くなったけど気にしない。防音効果がそこそこなのが救い。

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