52日目 基礎魔法概論:テスト返却
52日目
ギルがこんがりと日焼けしている。筋肉の照り返しが半端ない。
いつもより一時間早く起きてクラスルームの掃除をする。無駄に元気のよいギルにゴミをまとめさせ、水魔法を使って簡単に綺麗にしておいた。超ぴかぴかで気分もスッキリ。毎日やるのは面倒だけど、たまにはいいもんだ。
朝食はあっさりめにフルーツヨーグルトをチョイス。すっきりした後味がいい感じ。ギルは今日も『うめえうめえ!』って言ってジャガイモの大皿を平らげていた。いつもより微妙に食う量が少ないと思ったら、昨日の俺のジャガイモが忘れられないらしかった。
『昨日はおつかれさま!』ってカフェオレを作ってくれたロザリィちゃんがマジプリティ。その笑顔だけで元気いっぱいです。できればそのままぎゅってしたいです。
授業はシューンの基礎魔法概論。今日もばっちりローブはズボンにイン。内容はテスト返却で、一人一人順番に答案用紙が返された。
得点は九割ちょい。ぼちぼちの結果。大まかにはあってたけど、ニュアンスの微妙な違いで減点を喰らっていた。
『星型魔法陣の運用上の特徴を挙げよ』ってやつで『小回りが利いてゲリラ戦に向き、円型魔法陣にはない扱いやすさがある』って書いたんだけど、シューン先生曰く『円型魔法陣も工夫をすればゲリラ戦で絶大な効果を発揮する』のだそうだ。
『工夫をしなければ発揮しないのならそれは特徴ではない』的なことを具体例を挙げて長時間突いたら少しだけ加点してくれた。こちとらわけわからんクレーマーやイカれた税務官相手にやりあっていたのだ。こんな簡単に折れるとかシューン先生はうちじゃやっていけないだろう。
クーラスはやっぱり本のタイトルで減点を喰らっていたため、俺の勝ちだった。悔しがるクーラスに『素直になれよ、オークちゃん?』って言ったら青筋立てて笑いながら杖を突きつけられた。短気な人って怖い。
とりあえず、次の休みに交換お泊りをするってことにした。クーラスのヤツ、笑顔で照り光る筋肉を見せびらかすギルを見て、真っ青になってた。
あと、ギルが高得点……かと思いきや、七割ほどだった。解答そのものは俺と全く一緒だったのに。
なんかあいつの筋肉知らないうちに進化していて、筋肉反射を叩きこむときに使った俺のノートの筆跡までそっくりそのまま書いてしまったらしい。カンニングはギル自身にそんな脳ミソがないから疑われなかったし、俺が共犯だったにしても、シューン先生自身がちゃんと監督していたから証拠不十分で釈放だったそうだ。
あと、問題文の中にあるすべての単語を感知して自動で意味を書いてしまったために満点を取れなかったっぽい。最後の解答欄を見たら、狂ったように何重にもいろんな単語の意味が書き連ねられていて軽くホラーだった。
んで、夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。テスト返却後にやたらシューン先生が昨日の化けイノシシについて執拗に聞いてきてちょっとうざったかった。かまってちゃんなのは本当らしい。
スヤスヤとイビキをかくギルの鼻に化けイノシシの毛を詰めた。グッナイ。




