表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/368

49日目 魔法生物学:ファイアスウィープの栽培について

49日目


 魔可塑性素材であるはずのクラウドストーンが溶解してた。俺が生きてるのが不思議に思えてきた。


 テスト明けと言うこともあり、授業日なのに緩みきった空気が食堂に流れていた。なんかみんないつもよりちょっと豪華なチョイスをしていたし、おばちゃんも腕を振るって休日と同じくらいのクオリティのデザートを提供していた。まさか平日にチェリークラフティーが食べられるなんて思いもしなかった。とろんとした瞳で頬張るロザリィちゃんが超かわいかったです。


 ギルも『うめえうめえ!』って言いながらジャガイモを平らげる。実は今日に限っていつもよりちょっと高価なジャガイモを仕入れていたらしいけど、ギルがそれに気づけたかどうかははなはだ疑問だ。こいつはジャガイモなら腐っていても喜ぶんじゃないかと思う。


 授業はグレイベル先生、ピアナ先生の魔法生物学。『テストお疲れ様!』って微笑んでくれたピアナ先生にキュンと来た。一応弁明するけど、これは浮気じゃない。


 今日のテーマはファイアスウィープっていう魔法草。遠くから見ると鬼火の様に赤く、本当に火が燃えているかのような形をしているやつだ。ついでにこいつは浄化、清浄なんかの効果があって、自然界的に必要なものまで綺麗にしちゃうから周りに他の植物が育たないんだって。


 そのあまりにも強すぎる清浄作用から扱いはかなり難しい部類に入るらしい。でも、その分魔法薬やその他活用した際の効果は大きいとのこと。以下に簡単な注意点を示す。



・成長段階は雲のような見た目。根元が細いのは発育不良。発育不良のものは爆発する。


・水を非常に好む。朝晩欠かさず水やりをしないと拗ねて爆発する。


・順調に育つと大人と同じくらい大きくなることもある。成熟期には真っ赤に染まり、清浄作用が極限まで高まる。あまりに高まりすぎると爆発する。


・ピークが過ぎるとゆっくりと枯れ、あたりに種をまき散らす。種は刺激を与えると爆発するほか、風に乗ってどんどん広がっていく。周囲の緑を駆逐する危険性が高いので注意すること。注意しても割と爆発する。


・まごころを込めて育てる。込めないと爆発する。


・収穫は愛情を込めて行う。



 当然のことながら、採取は真っ赤に熟した時に行うほうがいいらしい。ピアナ先生曰くこの手の魔法植物にしては汎用性もあるようで、回復薬、魔除け、毒薬とわりといろんなことに使えるそうだ。


 また、その爆発する種も使えないこともないという。グレイベル先生が悪い見本として一回やってくれたけど、結構な衝撃があってビビった。至近距離で爆発があっても顔色一つ変えないグレイベル先生マジイケメン。


 パレッタちゃんがポポルのフードに種を詰め込みまくっていたので手伝ってあげた。でもポポルのヤツ、とっさにローブを脱いでギルに手渡して難を逃れていた。


 ギルの背中で種が爆発してたけど、ギルはすごくすっきりした表情だった。背中が痒くてちょうどよかったらしい。


 ピアナ先生もグレイベル先生も優しくて、今日の授業はちょっと早めに終わりになった。んで、テストお疲れ様ってことでカミシノの実をみんなにくれた。高級品だけあってめっちゃおいしかった。うちのカミシノもそろそろ実をつけてもいいころだろう。


 そうそう、来週から魔法動物(虫とかも含む)に焦点をあてて授業をしていくって先生が言ってた。集合場所が栽培スペースじゃなくなるから注意すること。準備とかはいつも通りでいいらしい。


 夕食食って風呂入ってクラスルームでの雑談中、フィルラドとポポルに洗剤を渡しておいた。面と向かって言うのは憚られたけど、フィルラドにもポポルのヤバめのミルクスメルが移ってたんだよね。


 あと、打ち上げの件についてクラスに意見を確認した。みんなが開催希望。意見の一致に不覚にもじんとくる。内容としてはルマルマクラスだけで飲んで食べて騒ごうってかんじ。もちろんステラ先生も誘う。嫌だと言っても無理やり連れてくる。


 なぜか幹事を任されたので動かなくてはならない。俺、毎回連絡事項とか進捗状況の確認をしているだけなのに、ギルの世話係ってだけでこういうキャラが定着したっぽい。とりあえず開催は明後日で明日はその準備のために動くってことになった。


 ギルのイビキは平常運転。こっそりくすねてきたファイアスウィープを縒ってひも状にし、ギルの鼻の穴に詰めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ