表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/368

47日目 魔法演算学:前期中間テスト

47日目


 ギルの額にメモの内容が浮かぶ。以前と違う反応。非常に興味深い。


 食堂にギルを連れていくと、とうとうこいつも地に落ちたかみたいな目でなぜか俺がみられた。どうしてそんな態度をとるのかとポポルに聞くと、『ギルの額に【ステラ先生をぎゅってしたい】ってお前の筆跡で書いてあるからだ』と言われた。


 ステラ先生がステキな人であるのはルマルマ組の全員が認める事実であるし、ぎゅってしたいのも本当だ。子供っぽい見た目と時折見せる大人のオンナの色気には誰もがフラフラになるに決まっている。別に俺はおかしなことを言っているつもりはない。


 だけど、『真顔でそんなことを言うからお前は信用できないんだ』とフィルラドにも呆れられた。なんか納得いかない。俺のステラ先生に対する気持ちに嘘偽りなど全くないのに。


 誤解されても困るので慌ててロザリィちゃんのところに行き、『もちろんロザリィちゃんもぎゅってしたい』って言ったらアルテアちゃん、ミーシャちゃん、そしてパレッタちゃんからも割とガチな感じでぶん殴られた。死の危険を感じたのは生まれてからこれで四度目だと思う。実に三年ぶりだ。


 でもでも! そのあとでロザリィちゃんが『甘えんぼだねっ!』って言いながら頭を撫でてくれたの! もうめっちゃうれしかった! 俺一生ロザリィちゃんの傍にいたい!


 ギルはいつも通り『うめえうめえ!』ってジャガイモを食ってた。なんでみんなはギルを疑わずに、俺だけにあんな態度を取ったのか未だに不思議でならない。アイツが自分でステラ先生にアピールしようとしたとか考えなかったのだろうか。


 今日はカルブ。魔法演算学の中間テスト。ロザリィちゃんに頭を撫でてもらったからまるで負ける気がしなかった。


 問題数はぼちぼち。簡単な小問がいくつかとちょっと難しめのが二つ。無敵だったので時間を半分以上余らせてフィニッシュした。


 んで、これ見よがしに解答用紙をトントンしてプレッシャーを与える作業に入った。もちろん終わった瞬間にはターンッ! って派手にペンを机にたたきつけたし、指をぽきぽき鳴らしたりもした。楽勝だぜって雰囲気(実際楽勝だった)を出しながら欠伸もしてやった。


 テスト後、クーラスに体を押さえこまれ、フィルラドにギルの使用済みタオルを顔面にたたきつけられた。相手が他クラスだったら冗談抜きにクラス間戦争レベルに発展しかねないことを平然とやるとかありえない。俺じゃなきゃ発狂していた。あいつらマジ怖い。


 なお、これ幸いとミーシャちゃんにはケツを蹴られ、パレッタちゃんには髪の毛を毟られた。女の子マジ怖い。


 おまけに『抵抗したらギルに親友が実はジャガイモから生まれたジャガイモ人間なのだと打ち明ける』ってパレッタちゃんに脅された。


 目を輝かせて涎を垂らし始めたギルに尋常じゃない恐怖を感じた。チビらなかった俺凄すぎ。


 ジオルドに助けてくれと懇願したら『自分の仕掛けた悪戯にかかったピクシーを助ける人間はいない』って言われた。『ハゲプリンを望むだけくれてやる』って言ったらようやく動いてくれた。最近友人たちが薄情で困る。


 そんなわけで、午後のフリータイムはハゲプリンを作る作業に勤しんだ。さすがに本物のハゲプリンを作るには材料が足らなかったものの(エレメンタルエッセンスとか超高級品だし)、いつのまにやら女子がクラス資金に結構な額を入れてくれていたので十分な数を補給することに成功する。


 ジオルドのヤツはもうプリン好きを隠すのをやめたらしい。普通に女子に混じってプリン談義をしていた。俺も混じりたかった。


 んで、いつも通り夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。基礎魔法学のテスト勉強はしなかったけど、ステラ先生の愛にあふれる俺が遅れをとるはずがない。満点とってぎゅってしてもらうんだ……。


 とりあえずローブのフードに残っていた毟られた髪の毛をギルの鼻の穴に詰める。大切な何かを奪われたような気がしたが、気のせいだと信じたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ