44日目 先生に 風呂場で会ったら ケツ隠せ
44日目
壁に『じゃがいもうめえ!』って血文字があった。もうわけがわからない。
ギルを叩き起こし、食堂へ。新鮮な魚が入ったとおばちゃんが教えてくれたので、朝からちょっと重めに焼き魚をチョイス。おばちゃんの言葉に嘘はなく、身のしまりと内臓のほろ苦さが最高だった。
ギルはやっぱり『うめえうめえ!』って言いながらジャガイモの大皿を一人で貪っていた。こっそり魚の頭を混ぜたのに、やっぱり気づかず『うめえうめえ!』って喰ってた。骨を混ぜたらそのままジャガイモと一緒にバリバリ噛み砕いていた。俺もうあいつがわからない。
遊びたいけど、明日から中間テストなので水やりだけ済ませて勉強をすることに。ギルの筋肉に知識を教え込むのになかなか苦労する。
恐ろしいことに、脳ミソに教えるよりも筋肉に教えたほうが作業効率も成功率も遥かに良かった。ギルの場合、脳ミソまで筋肉なんじゃなくて、筋肉こそが脳ミソらしい。
勉強中、ちょっと盛り上がったのでフィルラドと魔法演算学でどっちが上か勝負をすることに。勝った方は負けたほうに常識の範囲内でなんでも一つ命令できることにした。
クーラスまでもが俺に勝負を仕掛けてきたのに驚く。あいつ意外とノリがいいらしい。しかも、全教科での勝負と来た。返り討ちにしてやろう。
フィルラドがアルテアちゃんと一緒に勉強したんだけど、『星型魔法陣』って話した瞬間、たまたま近くにギルがいたためにノートにその説明が問答無用で書き込まれてしまっていた。
ギルの成長に一人で喜びの涙を流す。フィルラドは血涙を流しながら俺を睨んでた。なぜだ。
夕食後の入浴中、シューン先生がにこにこしながら『親睦を深めよう!』と言って風呂場にやってきた。もちろん全裸。
全員素早くケツの穴を押さえ、背後を見せずに後退した。ギルだけは自慢の筋肉をポージングして対抗していた。
落ち着いて話を聞くと、普通の意味で生徒と親睦を深めたいがためにやってきたらしい。裸の付き合いが一番有効なんだそうだ。
恐ろしいことに、シューン先生はかまってちゃんな上に寂しがりらしかった。シューン先生はテストを作り終わってヒマなのに、他の先生は作成中で喋る相手がいなかったとのこと。グレイベル先生はどうなんだと聞いたら、『あの人無口でちょっと怖い』って言ったので、彼のイケメン具合を男子全員で教え込む。
あと、適当におだててシューン先生を褒めまくってたら、気分を良くしたのかテストの中身をちょっとだけ教えてくれた。超ラッキー。
でも一番ラッキーだったのは、『ステラ先生、ピアナ先生とさっき風呂の入り口で別れた』というシューン先生の情報。どうやらステラ先生たちも生徒の風呂を利用するらしい。いつもは時間が合わないだけなんだって。
男子全員、速攻で上がった。シューン先生がしょぼんとしてたけど誰も気にしなかった。
風呂前の休憩室で待機してたら、先に上がった気高きアルテアちゃんたちになぜか男子全員が容赦ないビンタを貰った。理不尽。
でも、湯上りロザリィちゃんを見れたのが超うれしかった! 濡れた髪が超せくしー! 彼女とイチャイチャできるなら、俺は犯罪者になってもいい。
女神の姿が頭に残っているいい気分のまま今日は寝ることにする。一日中筋肉をフルに行使したからか、ギルの眠りも深い。そしてイビキはうるさい。オステル魔鉱石と適当にそこらにあった素材を鼻に詰めた。
明日はテスト。気合入れて行こう。
※燃えるゴミと魔法廃棄物を忘れないこと。




