43日目 朝風呂スイムと筋肉勉強
43日目
ギルがマンドラゴラ臭い。さすがにこれはノーセンキュー。
寝ぼけるギルを叩き起こし、朝食前に朝風呂へ。パジャマにもすっかりマンドラゴラの匂いがこびりついていたので洗濯にはちょっとお高い洗剤を使うと決めておく。
休日だからか、それともみんな忙しいのか、正真正銘風呂には誰もいなかった。はしゃいで湯船にダイブしようとしたギルを必死に止め、ナエカやリシオで作った美容液の素を用いて体を念入りに洗う。お花の香りがいい感じ。泡立ちもグッド。入浴剤や洗剤を作るのもいいかもしれない。
ギルのヤツは耳の後ろを洗うのをちょくちょく忘れるので、今日は念入りに洗っておいた。人に見られたら変な噂が立ちそうだけど、人がいない今なら問題ない。つーか、こいつを清潔に保っておかないと同室の俺が迷惑する。
マンドラゴラの匂いもすっかり落ち、ギルの筋肉がテカテカと光だしたところで入浴。バカのギル以外いなかったので、ちょっとはしゃいで泳いでみた。いつもはできない贅沢に心が躍る。泳げるほど広い風呂ってやっぱりステキ。年甲斐もなく水泳大会を開き、ギルに華麗なるスイミングテクを見せつけた。
はしゃぎ過ぎたギルは腹ととある体の一部を風呂の底で思いっきり削って悶絶してた。見てしまった瞬間きゅってなった。
泳いでいたらティキータ・ティキータのゼクトがやってきた。『泳がなければクラス全員ハゲになる呪いをアエルノチュッチュの連中にかけられたんだ』と必死の弁明をしたら、優しい瞳で肩を叩かれた。解せぬ。
ギルはゼクトに自慢の体をこれでもかと見せつけていた。むかつくことに、やつのが一番立派だ。ゼクトがガクッとうなだれていたのが印象的。
朝風呂でスッキリした後は一杯のミルクを飲み、朝食を食べて勉強をすることに。クラスの大半がクラスルームで教科書を開いていたのでそこに混じることにした。
いつものメンツが勉強を教えてくれと頼み込んできたので面倒を見ることに。フィルラド、ポポルはどうにかなりそうだったけど、ギルはさっぱり。問題文にギルが登場しないことを覚えていたのに感動する。
で、ギルの脳ミソに知識を詰め込むことは諦めたので、筋肉に知識を詰め込んだ。そのかいもあって、ギルは『星型魔法陣』という単語を見た瞬間に
『星型魔法陣は陣造が比較的容易であり、耐久性こそ円型魔法陣に一歩及ばないものの陣の破壊・再構築が素早く行えるため、瞬時に様々な魔法を使い分けられるというメリットがある。また、再構築の際に構成魔力そのものを繰り返し利用できるため汎用性が高く、負担も少ない。魔深がある魔法陣の陣造にも適している。複雑形状の陣も容易に作れるが巨大な陣型を作るのにはあまり向いていない』
……とかけるようになった。自分で教えててあれだけど、かなり気持ち悪い。だってギルの意思とは無関係に筋肉だけが精密にペンを動かすんだもん。超怖い。
よそ見しててもうねうね動くギルの腕を見てロザリィちゃんがきゃーって怖がっていたのがマジプリティ。ミーシャちゃんは面白がってケラケラ笑っていた。良かれと思ってうねうね動くギルをミーシャちゃんの方に突き飛ばしたら、『にぎゃーっ!?』って言って逃げてった。女の子ってわからない。
そんな感じで午後を過ごす。休憩のとき、おやつとして何か食べられるものがないかとクラスの食糧保冷庫を漁ったら、作りだめしておいたハゲプリンがごっそり減っていた。
おかしいと思って周りを見たら、女子がさっと何かを後ろに隠した。彼女たち、疲れたからってみんなしてハゲプリンを食べていたらしい。
ロザリィちゃんがちょっと恥ずかしそうにはにかむのが超キュート。あなたのためならいくらでも作っちゃいます。
んで、夕飯食ってまた風呂入って雑談して今に至る。夜の雑談の時、パレッタちゃんに『ハゲプリンを作らないとテストが不合格になる呪いをかける』と言われたのでアエルノチュッチュ寮に向かって反呪の障壁を張っておいた。
ちょっと早いけど今日はもう寝る。イビキのうるさいギルの鼻にヤツ自身の指をつっこんでおいた。




