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41日目 基礎魔法学:テスト対策自由演習

41日目


 香りがキツすぎて目鼻が痛い。頭痛もする。神は俺に恨みでもあるのか。


 食堂の入り口でばったりロザリィちゃんと会う。ロザリィちゃん、鼻をすんすんさせて『いい香りだけどちょっと強いねー?』って言ってきた。変な誤解をされては困るので、『例え極上の花の香りであろうと、ロザリィちゃんの香り以外はみんな悪臭だ』って言ったらアルテアちゃんとミーシャちゃんにぶん殴られた。解せぬ。


 でもでも! すんすんって俺の匂いを嗅ごうと顔を寄せてきたロザリィちゃんがマジで可愛かった! なんかね、もうね、人懐っこいわんこみたいだったの! もううれしくってこそばゆくってくすぐったくって頭がショートしそうだった!


 派手なババアみたいな香りをまき散らすギルは、いつも通りに元気にジャガイモを『うめえうめえ!』って貪っていた。発生源として香りがキツすぎたからか、今日も大皿の料理は残りがちになっていた。


 授業はステラ先生の女神の基礎魔法学。中距離魔法の射程圏内くらいの距離で鼻を押さえられたのが地味にショック。自分が思っていた以上にキツい香りだったらしい。でも、これでステラ先生がキツい香水を使わない人だってのがわかってよかった。


 肝心の内容だけど、来週に中間テストがあるから自習形式で質問タイムの時間にするって言ってくれた。


 さすがステラ先生。学生たちの状態や全体のカリキュラムを熟考した素晴らしい采配だと思う。これ以上テストの期間を後ろにしたら期末に響くし、前倒しは論外だし、なにより自由にステラ先生に話せるから全体的な理解度のアップにもつながる。


 授業内容の深い理解はやはり実践を通すことで促進されるものであり、ただカリキュラムをこなそうとするだけの教師には決してできない芸当だ。まだ若いのに教育の真髄を理解し、生徒たちのためを思ってその意思を貫くステラ先生はマジで尊敬できる人だと思う。世の中ステラ先生みたいな人ばかりだったらどんなに平和なことだろう。


 きっと慈愛に満ち、情にあふれ、暖かな母性が光の様に降り注ぐ天国の様な場所になるに違いない。主に俺にとって。


 さて、実際のところは今まで使った触媒を用いて自由に練習をするという時間になった。より詳しい理論や原理を書いたプリントも用意されてあってなかなかに有意義に時間を使えたと思う。ステラ先生マジでいい人。


 中間試験の形態も『他のクラスには内緒だよ?』って悪戯っぽく笑いながら教えてくれた。授業の前半に簡単な筆記試験をやった後、軽めの実技試験を順番に行うそうだ。この実技に関しては受験者ごとにランダムで今までやったことのどれかを実演してもらうらしい。どれか一つを集中して鍛えても意味はないということだ。ただ、基本的には簡単な事しかしないので最低限のことが出来ていればみんな合格はもらえるとのこと。


 アエルノチュッチュの連中以外にこっそり言いふらそうと思う。アエルノ用に別の噂も作って流しておかないと。


 『風魔法狙撃の早撃ち対決で生徒同士を争わせ、半分しか合格できない』、『グランウィザードであるステラ先生に一撃を入れる』、など、リアリティのあるウソってあんまり考え付かないもんだ。しかも、まじめに考えていたらいつの間にかギルが大きなイビキをかいていた。


 とりあえず手元にあった雷髭魚のひげでイビキでうるさいギルの鼻の穴をふさぎ、『生徒を閉じ込めた特製フィールドで擬似爆破魔法のみ使用可能なバトルロワイヤル方式』のテストをするという噂をアエルノチュッチュの連中に流そうと決めた。みすやお。

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