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40日目 魔法演算学:テスト前総復習

40日目


 部屋の中が羽でいっぱい。考えるのをやめた。


 朝食中、のんきにコーンフレークを食べていたフィルラドとポポルの背中にふわふわ羽毛を引っ付けておいた。自分でも何をしているのかさっぱりわからなかったけど、俺はいっつも自分の本能には逆らわないように生きている。意味のない行動もたまには悪くない。


 ギルが通った後に舞い降りる羽をふぅーって吹いて遊んでいるロザリィちゃんがマジキュート。この羽がロザリィちゃんの背中の羽から抜け落ちたものだと言われたら、俺はきっと信じてしまうことだろう。だってマジで天使みたいな子なんだもん。


 授業はカルブの魔法演算学。今までずっと『~ね!』の回数を数えてきたけれど、なんかいきなり空しくなってきたので今日はやめておいた。


 内容は今までの総復習。カルブも『来週は中間試験だから覚悟しておいて……ね!』とかぬかしやがった。みんなして暗い顔をして練習問題を解くものだから、教室内にすごく陰鬱な空気が漂っていて正直ちょっと居心地が悪かった。


 そんな空気であるにもかかわらず、ギルはふわふわ羽毛で自分の鼻をくすぐってしまい、盛大なくしゃみをしていた。こいつはいい意味でも悪い意味でも空気を読めないから困る。


 テスト範囲としては術式の連続性、魔傾と微解、微解による術式の近似、偏微解……と微解さえ出来ていればなんとかなりそうな感じ。連続性の問題はパターンが似通っているし、偏微解はぶっちゃけ微解と同じだし。問題になるとしたら術式の近似で、こいつはそもそもの公式が長くて複雑なうえに、計算時間がめっちゃかかるのが大変やっかい。


 演算魔法触媒の操作ミスが結構響いてくると思う……と書いてて思ったけどこのテストは道具の持ち込みが禁止だった。ちくしょう。


 午後の自由時間はささっと栽培スペースに水やりをした後、クラスルームで男子のいつものメンツで勉強会を開いた。ポポルは魔法演算学が苦手で、フィルラドは触媒反応学が苦手で、ギルはそもそも論外。三人纏めて要点を教え、とりあえず二人は使い物になる程度には仕上げることができた。


 ギルは暗記に関しては脳ミソじゃなくて筋肉に覚えさせようと思う。視覚情報から直接筋肉の動きにもっていくことができれば問題はないはずだ。すさまじい精密性が要求されると言うだけで人間大なり小なりやっていることではある。俺はギルの筋肉には完全な信頼を置いているのだ。


 なんか俺、予習も復習もした覚えがないのにやたら覚えていると思ったら、この日記を書くのがすでに復習みたいなものだった。


 今日はずっと勉強して疲れたのでさっさと寝る。リラックスの意味を込めて、ナエカとリシオを用いた香石(ポプリ素材の試作品)をギルの鼻に詰めた。

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