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39日目 触媒反応学:テスト対策

39日目


 窓の外がクソうるせえ。近隣の鳥がオーケストラを開いていた。


 寝不足気味だったので朝食後にハーブティーを飲む。スッキリとした風味がなかなかいい感じ。クーラスがこれにハマっているようで、おすすめのブレンドを聞いてもいないのに丁寧に教えてくれた。ギルがジャガイモよりも喜ぶブレンドがあったら教えてくれといったら、『キミはサラマンダーに水浴びの心地よさを教えられるのか?』と返された。なんか納得いかない。


 慎重にふうふうしながらハーブティーを飲むロザリィちゃんがマジキュート。どうしてあの子はあんなにかわいいの?


 授業はヨキの触媒反応学。『はじめましょ~♪』と教室に入った瞬間からいつになく上機嫌。なんか嫌な予感がすると思ったら、授業開始直後に『来週は中間テストがあるからせいぜいあがいてみなさいな~♪』とか言いやがった。てめえもか。


 あといい年したオッサンが音符マークをつけるんじゃねえ。そういうのはステラ先生みたいな愛されティーチャーだけが許されることだ。いつかぶっ飛ばす。


 内容は今までの総復習。数字やシチュエーションがちょっと変わった問題を何問か解いて実力を培う。この時間を丸々演習に使うことでわからないところや理解が甘かったところを見つけ出し、テストに備えるのだそうだ。授業と言うよりかは自習に近く、質問が多かった問題だけ全体で解説するってスタイルだった。


 悔しいことに、ヨキのくせになかなか有意義な時間の使い方だったと言える。俺に関してはほぼバッチリ対策出来たと言ってもよい。自分でも気づいていなかったが、使う公式は一緒でも、例えば魔法陣がちょっと変わった連結構造をとるだけでその問題の印象がガラリと変わって手の止まることが何回かあった。本番でそうなっていたらと考えると笑えない。


 授業中、パレッタちゃんが堂々と立ち歩いて俺の用紙をカンニングしに来た。『わかっている人がわかっていることをわかった人目線で説明しても、わかってなかった人がわかるようになったことをわからない人目線でしてくれた説明には敵わない』とのこと。言いたいことはわかるがなんかややこしい。ポポルは理解しようとして目玉をぐるぐる回していた。


 ヨキに視線でコンタクトを取ったら、すごくいい笑顔でサムズアップを返された。アイツ的に生徒がこういう形で協力し合うのは良いことらしい。早速ロザリィちゃんの元へ行こうとしたら、すでにアルテアちゃんが付いていた。無念。


 ギル? ほぼヨキとのマンツーマンだったよ。途中でヨキが疲れた顔で『俺、教師に向いてないのかなぁ……』って死んだリザードマンみたいな目で呟いたのが印象的だった。ギルは『敵が構築したこの条件の魔法陣を破壊するとき、どれだけの浸食魔力を負荷すればいいのか?』って問題で『直接術者をぶん殴るから負荷する必要はない』って答えてた。ギルなら実際に出来てしまうのが困るところ。


 自由時間をフルに使ってギルに『ギルは問題に登場しえない』ということを理解させる。このイビキが消え去るころにはそれを忘れ去っていると思うと非常に口惜しい。


 さっさと寝よう。壊れた羽ペンを鼻に突き刺した。

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