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38日目 基礎魔法概論:高魔度撃造と低魔度撃造について

38日目


 窓に何かの蛹がびっしりついていた。アエルノチュッチュの寮に向けて風魔法で吹き飛ばした。


 世間では季節の祭りで浮かれているが、やっぱり魔系に休みはない。祭りも記念日もことごとく潰されている。マジおかしいと思う。ここ、創立記念日にも普通に授業があるんだってよ。


 一応不満の解消と言うか、休日を潰した分の埋め合わせをするために代休があるんだけど、振替代休がなぜか長期休暇中にあるという謎の現象が起きてる。初めて知った時は露骨すぎてドン引きした。考えた人に羽虫の羽音で夜寝られなくなる呪いをかけたい。


 朝食はベーコンとトースト。贅沢にバターをたっぷり塗ってやった。サクサクと耳元ではじける音がいい感じ。今日もギルは『うめえうめえ!』って言いながらジャガイモを貪っていた。もう誰もその光景を異常とは思わなくなってしまったようで、実に和やかな空気が流れていた。


 あとあと! 『一昨日はプリン、ありがとねっ!』ってロザリィちゃんがわざわざ俺にカフェオレを作ってくれた! もうマジプリティ&キュートで朝から心臓ドッキドキ! カフェオレはロザリィちゃんの味がしてめっちゃ甘くておいしかった! ひゃっほう!


 本日の授業はシューン先生の基礎魔法概論。やっぱりローブはズボンにイン。隙を見計らって引っ張り出そうとしてみたけど、大いなるナニカに保護を命じてあるのかギルのバカ力でも引きずり出すことができなかった。いつかなんとかしてやろうと心に誓う。


 やっぱり愚痴ひとつ言わず、当たり前のように授業をしようとするあたりシューン先生も魔系の人間なのだろう。精神がすっかり異常を日常として認識しているらしい。


 内容は前回の続きとして撃造の際の魔度の高低について。おさらいだけど、魔度ってのは高いほうが陣造がしやすいが、高すぎると魔法陣崩壊を引き起こし、また術者が高魔度に耐え切れなくて死んでしまう。じゃあ他にどんなメリットがあるのかとか、低魔度状態での特徴はなんなのかってのをやった。以下に内容の一部を示す。



 『高魔度での撃造の場合、魔力そのものの変形抵抗が減少しているために容易に陣造を行うことができるので、大型の魔法陣を得るのに用いられることが多い。また、陣造によって変形した魔晶は瞬時に再魔晶し、陣造の際にどうしてもできてしまう魔歪のない、新しい魔晶へと変わる。これにより完成した陣型は残留魔歪の非常に少ないものとなり、完成品の強度低下を抑制する効果が期待できる。


 ただし、高魔度撃造はベースパターン・ファンクションパターンや術式、魔力属性などが高魔度に耐えられることが前提であるため、繊細な魔法陣を陣造する際は陣造方法や触媒の変更を含めて慎重に考慮しないとならない。仕上げ精度も低いため、後述の低魔度撃造もセットで考える必要がある。


 低魔度撃造は高魔度撃造によって得られた魔法陣の仕上げとして用いられることが多い。これにより魔法陣の精度が著しく向上するが魔力抵抗はかなり大きいため、術者にそれなりの負担がかかってしまう。


 一流の魔法使いは高魔度と低魔度をうまく切り替え、総合的なコストパフォーマンスを保持する魔法陣を陣造することが要求される』



 長ったらしい話だが要は『どっちもいいところがあるから使い分けてね!』ってことだろう。高魔度でだいたいの形を作って低魔度で仕上げって印象。もう最初っから流造にしたほうがいいんじゃね? って思ったのは俺だけじゃないはずだ。


 んで、いつも通りザントマンの砂嵐が吹き荒れていたんだけど、授業の終わり際にシューン先生がドラゴンの糞を投下していきやがった。何気ない日常会話の様に『来週中間テストだからそのつもりで』って言いやがった。


 みんなが一斉に覚醒したのは言うまでもない。暗記量の多さに絶望する。


 ギルのイビキの周期がなんか不規則だ。自由時間に知識を詰め込み過ぎたらしい。なんか気に障るので、修理の意味を込めてメロディアリーフを鼻に詰めた。もう少しだけ勉強してから寝る。

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