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353日目 突発三者面談

353日目


 ギルに濃いクマ。つまらない。


 ギルを起こして厨房へ。休日とはいえ、先生がいるからきりきり働いてかっこいいところを見せよう……と思ったものの、マデラさんは『今日は全ての仕事をしなくてよろしい』と言われてしまう。


 実にタイミングが悪い。『別に問題ないよ』って言ったんだけど、『そうじゃあなくて、あたしの都合だ』と言われてしまえば、それ以上俺にどうすることもできない。


 そんなわけで、ギルと共に部屋に戻って二度寝を楽しむ。あ、例によって例のごとく、マデラさんは杖の一振りで掃除、洗濯、朝餉の支度やその他もろもろを済ませたらしい。マデラさんマジすごい。


 で、朝食。『お休みの日にこんなにいいもの食べられるなんて……!』ってうっとりするステラ先生がマジプリティ。いつもは学校の食堂で済ませているけど、この時期は開いていないから、割と出来合いのものや貧相なもので朝食を済ませることが多いらしい。『ホントはよくないけど、徹夜明けでぶっ倒れた後なんかは食べない時もあるの』って言っていた。


 もちろん、ギルは『うめえうめえ!』とジャガイモを食す。もはや冒険者連中も慣れたのか、誰も気にもしなかった。ステラ先生、『やっぱりここでもジャガイモなんだね』ってなんか感心していた。


 そうそう、俺がナターシャオリジナルと引き換えにナターシャにいつもの毒杯を作ってあげたんだけど、ステラ先生に『ななな、なにやってるのっ!?』って止められてしまった。あのアバズレの心配もしてくれるとか、ステラ先生はどれだけ女神なんだろう?


 なお、ナターシャは『先生も一杯どう?』って進めていた。ステラ先生、『おなかこわすといけないので……』って死んだ目をして断っていた。どうやら過去に何やらあったらしい……っていうか、けっこうガチな毒なのにお腹を壊す程度で済むとかマジすごい。


 さて、せっかくの休みなので今日は久しぶりに釣りにでも行こうか……と思ったところで『ちょいと大事な話があるから』ってマデラさんに首根っこをつかまれた。さすがにグランマに告白されても困る。


 が、どうもそうではなかったらしい。『ねえ先生。突然で申し訳ありませんが、ちょっと三者面談を開いてもらえないでしょうか。その、この子の学校での様子が非っ常に気になりまして……!』と、マデラさんは恐ろしいことを言い出した。


 しかも、わが女神ステラ先生は『はい、もちろん!』と笑顔でそれを受けてしまう。『こういうの、一回でいいからやってみたかったの……!』と呟いたのを俺は聞き逃さない。なんか、先生的な行動に酷く憧れているっぽい。


 で、始まる三者面談。『なんかおもしろそう』、『わ、私にもその権利はあるじゃろ!?』ってなぜかナターシャとミニリカまで同席しやがった。解せぬ。


 ステラ先生、『まずは成績のことですが……』と話を始める。ちょうど後期の成績も出ているらしく、評定平均も一緒に告げられた。貫禄の4.000。さすが俺。


 『──くん、自分の勉強だけでなく、テスト前にはクラスルームで勉強会を開いてみんなに教えているんですよ!』ってにっこり笑うステラ先生。本当にマジでガチでプリティで秒速百億万回惚れ直した。もっと褒めてほしかった。


 ナターシャ、『あんた、意外とやるのね』とつまらなさそう。ミニリカ、『よくがんばったのう!』と頭を撫でてきた。先生の前で子供扱いはしないでほしかった。


 そしてマデラさん、『ふむ、成績については問題なし……と』と意味深に呟く。成績について『は』ってのがすごく怖い。


 『生活態度についてはどうでした? その、少々やんちゃが過ぎるところがありまして……』とマデラさん。


 『ためらうな。舐められるな。目的を果たすことだけを考えろ』って教えたのはアンタだろうと、叫ばなかった俺を誰かほめてほしい。


 ステラ先生、『……概ね、問題はないと思います。人付き合いもいいですし、面倒見もいいです。クラスの中心的な存在で、その、ちょっとやることが過激と思えなくもありませんが、魔系ならあれくらいは普通ですし』って目を泳がせながら言ってくれた。


 『魔系の中での普通……まぁ、いい方なのかねぇ?』ってマデラさんがこっちを見てくる。『先生の話を信じないの?』って言い返してみた。『先生がアンタをかばっているかもしれないだろ?』と言い返される。親からの信用の無さに泣きそうになった。


 『ただ、その、油断が過ぎるところとか、魔喰の触種といった危険なものを平気で使うところとか……あの、その、ちゃっぴぃちゃんの乳搾りとのときとか、その、えと、ちょっと……ぇっちなところが、そう、ちょっとだけあるのは問題です!』と顔を真っ赤にしながら話すステラ先生。


 問答無用でマデラさんのケツビンタが飛んできた。ナターシャにヘッドロックもされた。ついでにミニリカにポロポロと泣かれた。


 なんか全力で心も体も痛いんだけど。マジ何なの?


 『わ、わたっ! わたしがっ! わたしがなんとかしてやるからっ! わたしの胸を好きにしていいからっ! ぱんつも下着もくれてやるっ! だ、だか、だからわたしで我慢せいっ! 頼むから、頼むから先生や皆に迷惑をかけてくれるなっ!』って泣き縋られたとき、マジでこのババアロリ頭がどうにかしたんじゃねって思ったよ。


 だいたい、こいつの貧相な体のどこに需要があるというのか。俺はロリコンでもないしババア好きでもない。健全ノーマルなストライクゾーンしかないのだ。


 ついでに言うと、あいつのぱんつも下着も洗いにくいから好きじゃない。伝統のものだか何だか知らないが、生地が傷みやすいうえに耐久力がイマイチな造り、さらには変な染物使っているせいで他のものより手間がかかる。何度洗濯に失敗して泣いたことか。


 まぁ、単純なデザイン面だけなら認めなくもない……っていうか悪くはないと思うけどさぁ。ババアロリの下着なんてむしろ引きっとってやるぶん、こっちが金を貰わないと釣り合わなくね?


 『あと、ええと、マデラさんはおそらくご存知でしょうけど、あとはアレのほうがよほど詳しいと思います。基本的には主観性も客観性も損なわれていませんし、私から見ても問題なかったので……』とステラ先生。


 マデラさん、『ああ、アレですか。いえ、確かに確認したんですけど、この子が適当なことをほざいている可能性が捨てきれなかったんですよねぇ!』と話を合わせる。


 アレって間違いなくこの日記のことだろう。ステラ先生もマデラさんも、俺たちの周りで当たり前のように聞き耳を立てているルマルマの連中に配慮して伏せてくれたようだ。


 『えっ、先生アレ知ってるの? あれ知っててこいつと普通に付き合えてるの?』、『な、なんか負けた気がする……! 私だって全部は知らないのに……!』とナターシャとミニリカ。


 周りにいた連中の『あれってなんだ?』って視線で訴えられたので、とりあえず適当に(ロザリィちゃんを除く)みんなを呪っておいた。悲しいことに、ギルの筋肉とミーシャちゃんのリボン、そしてヴィヴィディナに弾かれてしまったけど。


 ともあれ、いろいろひやひやした面もあったものの、なんとか三者面談は終了。最終的には『成績もよく、生活態度も良好で、少しの素行不良がちょっぴりおちゃめなクラスのまとめ役の超イケメン&クールな組長』ってことで落ち着いた。


 あ、最後のほうにミニリカが『あの、いじめられてたりとかは……?』って泣きそうになって聞いていたけど、『いえ、むしろ上級生をゆすったりしていましたよ?』ってステラ先生が証言。慌てて『材料発注の交渉をしただけだから!』ってマデラさんに弁明したら『それならよし。むしろよくやった』ってほめられた。超うれしかった。


 長くなったがここまでにしておこう。なんで俺だけ三者面談なんてする羽目になったのかと理不尽に思っていたけど、よく考えてみればそのぶんステラ先生とおしゃべり出来てちょうハッピーだった。


 そう、ステラ先生との三者面談なんて、俺しかやっていないのだ。この俺だけがステラ先生を知っている感じ、なんかすっごくクセになりそう。


 宴会して風呂入って夜の見回りして今に至る。夜の雑談中、みんなが風呂入っているときに『ずーるーいー! 私にもアレみせろぉぉぉ!』ってミニリカがたいそううるさかった。おかげで湯上りステラ先生を拝むことができず。マジ悲しい。


 ちなみに、他の連中も夜の雑談中に成績を言い渡されていた。ちゃんとした通知は今頃実家に送られているとのこと。


 フィルラドとポポルは『あっぶねぇぇぇぇぇ!』って安堵していた。パレッタちゃんは『数字なんかで人を測ることなんてできない。ヴィヴィディナもそういっている』って開き直っていた。ミーシャちゃんは『ぎ……ぎりぎりだったの……!』って冷や汗をかいていた。ロザリィちゃんは『意外とよかった!』って微笑んでいた。


 『今回のルマルマはね、なんと、一人も単位を落とした人がいなかったんだよ!』ってにっこり笑って頭をポンポンしてくれたステラ先生がエクレセントキュートだった。先生も教え子がみんな優秀ですごくうれしいらしい。


 ただ、みんなにも等しくポンポンするのはちょっと悲しかった。あの笑顔と手のぬくもりを俺だけに向けてほしいと思うのは、悪いことなのだろうか?


 なお、当たり前のようにルマルマに交じって頭をポンポンしてもらおうとするルフ老はマデラさんにケツビンタされていた。『儂じゃってたまには誰かに甘えたいわい!』って血涙を流すルフ老に、マデラさんは『ジジイが甘ったれたことを抜かすな!』って怒鳴っていた。これにはステラ先生も苦笑い。


 あと、『シキラ先生がね、「ルマルマは優秀ですねぇ! 一人も落としませんでしたよ! 来年もあいつらに会えるのを楽しみにしてたんですが、つまらないですなぁ!」ってすっごくほめてくれたよ!』ってステラ先生が教えてくれた。


 なんか微妙にけなされているというか、バカにされている感がシキラ先生の発言から感じ取れるのだけど、気のせいだろうか?


 ギルは今日も大きなイビキをかいて寝ている。あ、書き忘れそうになったけど、夜の見回りとき、ロザリィちゃんが『先生なら浮気してもいいけど、だからといって私をないがしろにしていいわけじゃないんだからねっ!』ってめっちゃラブリーなキスをしてくれた。最高に幸せだった。


 この幸せな気分のまま寝てしまおうと思う。ギルの鼻にはテッドがお土産にくれたメタルタートルの甲羅の欠片を詰めておく。金属的な光沢と生物的な幾何学模様、そして重厚さが何とも美しい逸品。でも接着剤には使えそうにないのが難点。おやすみかくにんまほうぶったい。

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