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349日目 風呂掃除フィルラドと乙女の嗜み

349日目


 俺のお肌がちょうスベスベ。だからどうしたというのだ。


 ギルを起こして厨房へ。なんか今日もいろんな雑務があるらしく、男連中を起こしてこいと言われたのでそれに従う。『今日も畑を荒らす害獣駆除と普通のネズミの駆除、あと外の町への魚の買い付けの依頼が来ているねぇ』とのこと。


 『最近害獣駆除多くないですか?』と、思ったことをそのまま聞いてみる。どうやらそれはマデラさんも懸念していたようで、『禽獣どもが人里に下りてきている。魚もこの辺じゃぱったりと取れなくなった。野菜も悪い状態が続いている……何かあるね』って言っていた。


 思えば、昨日だか一昨日だか受け付けた新規客もその調査に来たって言っていたような気がする。どうもこの前からあたり一帯が不穏な感じだけど、何が起きているのだろう?


 とりあえず、ギルとクーラスが害獣駆除に行くことに。ギルは言わずもがな、クーラスは『たまには動かないと鈍るからな』って好戦的な笑顔を浮かべていた。あいつ、魔法を使うにしたって罠魔法で待ち構えるスタイルなのにね。


 あ、魚の買い付けはポポルね。『何か知らんけどこないだおまけいっぱいしてくれたし!』ってやたらと乗り気だった。


 さて、朝の報告が終わった後は風呂掃除に行く。意外なことにフィルラドもついてきた。『どういう風の吹き回しだ?』と問い詰めたところ、『いや、さすがにふられなかったからって何もしないのはアレじゃん?』と、珍しくフィルラドにしてはまともな答えが。


 が、風呂場に行ってから気づく。『お、今日はフィルも掃除か?』といつも通りのおそうじルックのアルテアちゃんがすでに掃除を始めていた。


 そう、いつも通りふとももを惜しげもなく晒したアルテアちゃんだ。フィルラドのやつ、すんげえ間抜けなトロールみたいなツラをしていたよ。


 『これだから男ってやつは……』ってアルテアちゃんは言っていたけど、その割には大して気にした様子もなく掃除をしていた。『俺、今のアティが見られるならなんだってできそうな気がする』とはフィルラド。『じゃあさっさと掃除をしろ』ってアルテアちゃんはとても凛々しかった。


 フィルラドのやつ、素足アルテアちゃんに蹴られてだらしなく笑っていた。こいつももう手遅れかもしれない。いや、アルテアちゃんも満更でもなさそうだったし、これがあの二人のスキンシップの取り方なのだろうか? だいぶクレイジーだと思う。


 ……あ、でもロザリィちゃんが素足で蹴ってくれたらちょううれしい。あの玉の様な肌と柔らかいふとももに触れ合えるのだとしたら、俺はなんだってできる気がする。


 そう思ったので、朝餉の下準備をするとき、ジャガイモの皮をむくロザリィちゃんに『今度一緒にお風呂(掃除)しない?』と囁いてみた。ロザリィちゃん、真っ赤になって『ばばば、ばかっ!』ってぽかぽか俺を叩いてきた。そんな姿がマジプリティだった。


 でも、『……そ、その、今度みんながいないときねっ! ちゃっぴぃも一緒だからねっ!』ってその後に小声で話してきたんだけど、これっていったいどういうことだろう? まさか……いや、そんなはずはないか。


 書くまでもないだろうけど、ギルは『うめえうめえ!』ってジャガイモを喰っていた。ミーシャちゃんは『そろそろおさかなが恋しいの……』ってちょっとしょんぼりしていた。そういや、ここ数日朝餉にも夕餉にも魚が出ていない気がする。こりゃ本格的にまずい。


 午前中の仕事はいつも通り行う。最近、女子は朝の仕事を、男子は外回り&夜の仕事をって形が出来つつある。あ、夜の仕事って宴会の時のウェイターとか皿洗いね。クーラスやジオルドとかがよくやってくれるんだよ。


 で、今日は例外中の例外としてジオルドが中で仕事(?)をしていた。昨日ぶっ壊れた机の修繕。わざわざそんなことしなくてもいいのに……って思ったら、『マデラさんが直してくれるとうれしいって言っていた』って言っていた。


 ともあれ、仕事の傍ら匠ジオルドのワザマエをちらちらと見てみる。さすがと言うべきか、ジオルドは生き生きと作業をし、見るも無残な状態だった机をあっという間に使える状態へと戻していた。


 それも、こう、いかにも壊れたものを直しました感が一切ない。修復したところ以外にもいろいろと手を加えて、なんか前よりオシャレになっている。こう、ツギハギのところを模様としてシックな空間が演出できるようになっていた。


 触り心地も抜群。手でさーってやっても全然ちくちくしない。丁寧にヤスリ掛けされているのがよくわかるし、ニス塗も何度も何度も繰り返されているのが見ただけで分かる。光沢が半端なかった。


 匠ジオルドの腕前に、マデラさんさえも感心していた。『まさかここまでできるとは……。【おこづかい】も弾まないとねぇ』とニッコリ笑顔。自分の実力をほめられてジオルドも嬉しそう。


 ……なのはいいんだけど、なんでかマデラさんがジオルドの頭をぽんぽんしているのをみてイラッとした。俺も疲れているのだろうか?


 午後もいつもと同じように仕事を進める。途中、リアが『ひゃっはー! ひゃっはー!』って酒瓶で素振りをしだした。


 『クーラスお兄ちゃんがいないうちに、済ませておこうと思って……』とのこと。こいつに恥じらいがあったことに驚きを隠せない。


 しかも、暇だったのかナターシャまでもが『ちがう! こうやるの! それじゃ仕留め切れない!』って『ひゃっはー! ひゃっはー!』って酒瓶の素振りをしだした。思えば、俺の酒瓶インパクトもナターシャから教えてもらったような気がする。


 ……ふと思ったけど、子供に対して酒瓶での殴り倒し方を教える痴女ってヤバくね? よくあいつしょっぴかれないで生活できるよね。


 なお、そんな二人が面白かったのか、ちゃっぴぃまでもが酒瓶を持ち出して『きゅう! きゅう!』って素振りを始めた。うちの子ってばなんてデストロイなんでしょう。


 ミーシャちゃんまでも、『あたしも覚えておくの!』って酒瓶の素振りを始めた。しかも、リボンを巧みに操り六本同時に素振りをしていた。『ひゃっはーなの!』って笑う姿が無邪気故に逆に何よりも恐ろしかった。


 しかしまあ、本当にすさまじい光景だった。だって、宿屋の前で小さい子三人と痴女一人が酒瓶ぶんぶん振り回しているんだぜ? すっげえ注目浴びていたよ。


 小さい子が酒瓶振り回しているのもそうだけど、ナターシャは痴女染みた格好&胸だけはデカいから、ずっとぼいんぼいん揺れていたし。もちろん、このへんに住んでいるやつらは見向きもしなかった。じっと見つめていたやつは俺とおっさんが粛清した。


 途中からは仕事を早めに終えたギルも混じって素振りしていたし、結構迫力があったことをここに記しておこう。書くまでもないけど、ギルの素振りが一番きれいで威力があった。『さすがギルなの!』ってミーシャちゃんもご機嫌だった。


 仕事から帰ってきてその光景を見たアレクシスは、『殺されるかと思った』、チットゥは『場所を間違えたかと思った』、テッドは『そういう店かと思った』、ルフ老は『金を払ってでも殴られたいと思った』って言っていた。本当に終わっていると思う。


 ちょっとざっくりしているけどこんなもんにしておこう。あ、魚の問題だけど、買い付けに行ったポポルは『すっごく値段が上がっていたからやめといた』ってお金をそのままマデラさんに返していた。実に普段の二倍以上にもなっていたらしい。本当にどうなっているのだろうか。


 今日は久しぶりにちゃっぴぃが俺のベッドの中でぐっすりと寝ている。どうやら素振りですっかり疲れてしまったらしい。こいつも寝顔だけならすごく可愛いのに、普段の行動がすごくアレなのが本当に残念でならない。


 ギルはやっぱり大きなイビキをかいて寝ている。今日はちょっと変則的に、異界の門鈴の音色を封怨石に集めたものを鼻に詰めてみた。みすやお。

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