341日目 ジャケットすーはー
341日目
ギルのあごひげが超ロング&ホワイト。ひきずってる。
ギルを起こしてマデラさんのいる厨房へ。マデラさん、一晩で白髭ロングになっているギルを見て一瞬びっくりしたものの、すぐさま元に戻って『とりあえず不衛生だから手入れしときな』って櫛と髭止め(?)を渡していた。さすがだと思う。
もちろん、ギルの奴は『あざっす!』って髭の手入れをしだした。『筋肉もいいけど、髭も悪くはないかもしれない!』とのこと。あいつってホント平和な脳みそしているよね。
その後は普通に朝の仕事をこなす。アルテアちゃんは鼻歌を歌いながら風呂掃除を、ロザリィちゃんは俺とイチャイチャしながら野菜の皮むきを、パレッタちゃんはヴィヴィディナを使って洗濯を……パレッタちゃん自身は普通にスヤスヤしているだけだったけど。
ちなみに、ミーシャちゃんはちゃっぴぃとともにベッドでスヤスヤしていたらしい。『ちょっと時間が余ったから一緒に寝てきた!』ってリアが言っていた。あいつ、うまい具合にミーシャちゃんとちゃっぴぃの間に潜り込み、ぎゅっ! ってしてもらったそうな。
さて、朝の仕事が終わった後は朝食をとる。『うっは、マジすげえ!』、『なんだよ、何なんだよこれ……』ってテッドとアレクシスがギルの白髭ロングで遊んでいた。ポポルとエッグ婦人も引っ張って遊んでいた。めっちゃ楽しそうだった。
書くまでもないけど、白髭ロングで遊ばれながらもギルは『うめえうめえ!』ってジャガイモを貪っていた。あいつの朝飯、量はあるけど手間が少なくて助かる。
そうそう、おっさんが『俺も髭を生やしてみようかな……』って顎を撫でていたけど、ナターシャが『それ、致命的に似合わない』って批判していた。そういや昔から、ナターシャは髭面は嫌いって言っていたっけか。
さっき書き忘れたけど、午前中はマデラさんの指示に従って野菜だのなんだのの発注に外回りした。まだまだ寒くてジャケットを着てなお北風が厳しい感じだったけど、泣き言など言ってられない。上着があるだけマシである。
外回りの途中、トリノの宿屋の様子を見に行った。こないだとは打って変わって大繁盛。昼時って時間でもなかったのに人がいっぱい。おいしそうなかほりもすごかった。
『調子はどうだ?』とちょっと顔を出したら、『あれからは特に問題ないよ!』って汗をかきながら働くトリノが答えてくれた。働く女性は好きだけど、せめてあと三十年若ければと思わずにいられない。
あと、『ほら、いつものやるよ』ってトリノが飴玉をくれた。俺のジャスティス、アルジーロオレンジのやつ。
まったく、トリノも未だに俺をガキ扱いしてくるから困る。飴玉一つで飛び上がって喜んでいたピュアな俺などもういないというのに。マジデリシャスだったけど。
なんだかんだで外回りは問題なく終了。宿に戻ったら、ロザリィちゃんが『おかえりなさい!』って惚れ直しそうになる笑顔を浮かべて俺のジャケットを受け取ってくれた。
何この新婚夫婦感。すごくナチュラルにジャケットを渡したけど、これもう熟年ラブラブ夫婦の風格が入ってるんじゃね? こういうさりげないイチャイチャとか、なんかすごく興奮するんだけど。
全く、ロザリィちゃんはどうしてこうも俺を幸せにしてくれるんだろう。このほんのちょっぴりの行動で得られる大いなる幸せを感じるために、俺は生まれてきたのかもしれない。
ちなみに、ロザリィちゃんは受け取った俺のジャケットを『うへへ……!』って思いっきり抱き締めてすーはーすーはーくんかくんかしていた。『──くんのにおい……!』ってだらしなく笑う姿もマジプリティ。『んふふ♪』ってバサッと自分で羽織るところとか、もう本当に愛おしくて思わず抱き締めた。
なお、イチャイチャしていたら『ちがうんじゃあ……! イチャイチャするのは構わんが、目の前でイチャイチャされるのは嫌なんじゃあ……!』ってミニリカがめそめそしだしたため、お楽しみタイムは終了することに。あのババアロリたまに情緒不安定だから困る。
すごく関係ないけど、リアとちゃっぴぃとミーシャちゃんとポポルとパレッタちゃんは客寄せのためのスクワットをするギルの白髭ロングを三つ編みにして遊んでいた。あいつらが何をしたかったのか、未だによくわからない。まぁ、みんな楽しそうだったし別にいいか。
宴会して風呂入って最後の見回りとかして今に至る。なんだかんだで男子連中は今日も一日ぐうたらとしていた。少しは女子の働きぶりを見習ってほしいものである。
あ、寝る間際(ロザリィちゃんのお疲れ様のキスの後)、洗面所付近でミニリカと遭遇。『頼むから……! 頼むから髭だけは生やしてくれるな……! あのポンコツジジイと姿が被るのは嫌なんじゃあ……!』って泣き縋られた。抱き付かれるならロザリィちゃんのほうが良かったのに。
ギルは今日もクソうるさいイビキをかいて寝ている。今日はアレットとアレクシスは冒険に出かけているため、リアも俺のベッドの中。俺のプライベートは一体どこにあるのか。
手ごろな材料が見つからないので、ヴィヴィディナ素材(どこの部位かわかんない)をやつの鼻に詰め、多重殺音結界を積層し、さらにはリアの耳に簡易魔力耳栓を詰め、ついでにぎゅって抱き締めて寝てやることにする。
友人であるはずのちゃっぴぃは俺の夢魔のぬいぐるみを拉致ってロザリィちゃんのところにいる。あいつの薄情さに悲しみを隠せない。それ以上になぜリアがここにいるのかもわけわかめ。おやすみにりかちゃんがんめんぱっく。




