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34日目 基礎魔法学:応用風魔法による狙撃実習

34日目


 ギルがツヤツヤテカテカ。ホントなんなのあいつ。


 朝食前にギルを連れて朝風呂に。ツヤツヤテカテカで入れる必要もないかと思ったけど、よく考えてみればギルは昨日風呂に入っていない。ばっちぃ。でも朝風呂はなかなかよかった。気分が超スッキリ。


 朝食でエレガントにオレンジジュースを飲む。風呂上がりだからめっちゃおいしい。ツヤツヤテカテカなギルは『うめえうめえ!』ってジャガイモを平らげた。食欲が止まらなかったらしい。


 ポポルとフィルラドが来たところで昨日の成果の報告会を開く。コーラスバードの卵は五つほど手に入ってフィルラドとポポルの部屋に保管されているそうだ。親鳥には逃げられてしまったそうだけど、機転を利かせたフィルラドが魔力マーキングを施したからいつでも追跡できる状態にあるらしい。ナイスフィルラド。


 ポポルはスノーシュガーと夢魔の乳を手に入れたとのこと。夢魔の乳とか夢が広がりすぎてヤバい。あいつめっちゃ奮発しやがった。『これでいいだろ!?』って泣きべそをかきながら言ってきたので、バカ野郎と怒鳴っておいた。


 プリン作りで塩と香料を用意しないとかマジありえない。休日までに用意しておけと厳命した。


 授業は我らが担任かつ女神ステラ先生の基礎魔法学。


 今日は風魔法の挙動についての実習。風魔法ってのはその性質上殺傷力が他の属性魔法に比べて低めなんだけど、これを補うにはどうすればいいかって話だった。


 ステラ先生曰く、風魔法の真価とはその自由度の高さにあるらしい。例えば、炎の魔法を使う敵がいたとすればそれを利用して風で炎を高めつつ押し返したり、土の魔法を使う敵がいれば逆手にとって砂嵐にしてしまったり……などだ。また、風は目に見えないため、ピンポイントで相手の杖を狙撃することで相手を大幅に弱体化させることもできるらしい。


 で、実際にやったのはこのピンポイントの風魔法狙撃。今回は触媒は使わず、純粋に杖だけでやるんだけど、その発想がなかなか面白かった。


 単純構造の円型魔法陣(練習のためにこちらを用いた。実用性を考慮するなら星形のほうがいいかもだって)を三つ作りだし、それを発動体の前に置く。この魔法陣はサイズや魔傾が微妙に違っていて、手前側にサイズが大きく魔傾が緩いものを、奥側にサイズが小さく魔傾キツイものを配置する。それを介して高密度風魔力の塊を撃ちだすことで手軽に精度と威力を保証するというものだ。


 先にサイズの大きな魔法陣を配置することで精度と安定性を高め、最後の魔傾が大きいもので威力を急激に高めるそうだ。間に挟む魔法陣は急激な変化に対する緩衝材みたいなものだって。各魔法陣を弄るだけでアレンジも出来るし自由度も高いらしい。複雑命令の一つの魔法陣を作るんじゃなくて、単純命令の魔法陣を順番に作用させるからこのお手軽さを実現できるってステラ先生が言ってた。


 実際やってみたら、思った以上に威力が出て楽しかった。あまり魔力を込めていなかったのに、案山子の頭くらいなら簡単に打ち抜けた。ステラ先生は校舎の反対からポポルの手の平くらいの大きさの石を精密に狙撃して粉砕していた。ステラ先生マジすげえ。あと、うまく案山子の頭を撃ち抜けて喜んでいるロザリィちゃんが超プリティだった。


 夕飯食って風呂入ってクラスルームでの雑談中、ステラ先生が『今日はみんながんばったからごほうびだよ!』って言ってプリンを持ってきてくれた。ステラ先生マジいい人。一生ついていきます。プリンめっちゃおいしかった。よく見たらちょっとお高いプリンだった。あの人マジで女神なんじゃないかと思う。プリン作ったら先生にもあげなければ。


 パレッタちゃんも嬉しそうにプリンを食べてたけど、食べ終わった後ポポルのところに来て、『これ以上おいしいプリンじゃなければチビの呪いも追加する』とにっこり笑って脅した。あいつは元からチビでもう将来性もないけど、ポポルは絶望の表情を浮かべていた。


 自室に戻る直前、ジオルドが真剣な表情で話しかけてきた。真面目な雰囲気だったのでわざわざ人のいないところで話を聞いたら、『……俺もプリンが大好きなんだ』と真っ赤になりながら告白してきた。寡黙な男前の意外な一面を垣間見た。ポポルの材料集めを手伝えと指示を出した。


 元気にイビキをかくギルには秘密も悩みもないんだろう。今日は死霊の魂石(低級)を鼻に詰めた。

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