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33日目 魔法演算学:偏微解について

33日目


 安定性抜群のはずのアステトが腐食していた。あいつヤバい。


 今日はなんかの記念日で休みを取る人間がかなり多いけど、魔系に休みはない。休む暇がないくらい覚えなきゃいけないことが多い。俺たぶん、遊ぶ同年代を見たら容赦なく呪いをかけていると思う。


 ポポルがやたら勧めてきたので朝食は海藻サラダをチョイス。海藻そのものよりもドレッシングがなかなかに美味。おばちゃんにドレッシングのレシピを聞いたけど、『男なら言い当てて見せな』って言って教えてくれなかった。マデラさんとこに送ろうと思ったのに。


 あと、パレッタちゃんがポポルをじっと見つめてなんかブツブツ唱えてた。ポポルはギルと同じ勢いで海藻サラダを貪り、『俺の頭無事だよね!?』って何度も聞いてきた。あいつ、体型がガキだから俺より僕の方が似合うと思う。いや、だからこそ背伸びして俺って言っているのか。


 ドレッシングを食べ比べるロザリィちゃんがマジ天使。サラダをあーんしてもらいたい。


 授業はカルブの魔法演算学……だったんだけど、カルブはちょっと遅刻して教室にやってきた。なんか、今週はゴミ当番だったらしいんだけど、魔法廃棄物の中に分別されずに特異指定廃棄物が混じっていて学生部のお叱りを受けていたそうだ。あとちょっとで魔法事故につながりかねなかったってネチネチ言われたそうな。『きちんと確認したはずなんだけど……ね!』ってボヤいていた。


 内容は偏微解について。今まで扱ってきた術式は付随する魔傾は単純なものだったんだけど、今回は複数の魔素や属性を組み込んだ、変数がいくつもある術式についての微解の話。この複雑な術式のある一つの要素に着目した微解を偏微解って言うらしい。


 やり方そのものは微解と大して変わらなかった。例えば炎の魔法に関する項と風の魔法に関する項が含まれた複合魔術の術式であっても、炎の魔法の項だけに着目して微解を進めていくことで複合魔術の性質の一部を弾きだしていくって感じ。結局微解って構成要素の最小単位を抽出する行為と捉えられなくもないから、他の要素に惑わされずに知りたいところをいつもどおりにピックアップしろってことなんだと思う。


 もちろん、偏微解にあたって気を付けなければいけないルールや公式なんかはいっぱいあったけど、基本的な考えはこれで間違いない。単純なものならともかく、上位の魔法使いたちが使う魔法は大抵複雑だったりするから将来的によく使う人も多いってカルブが言ってた。


 概念を理解してスッキリした表情のロザリィちゃんがマジプリティ。ギルは教科書に筋肉の落書きをしていた。


 カルブの『~ね!』は173回。まずまず。


 午後のフリータイムは図書館か薬剤調合で小金を稼ぐつもりだったけど、若ハゲの危機が迫るポポルに頼まれて動くことに。『何でもするからなんとかしてくれぇ!』って言われたので全力を出すことにした。


 ギルに外でコーラスバードの卵をかっぱらって来いと頼む。フィルラドをお守りにつけたから卵を握りつぶすことはない。親鳥がいたら生死問わず持って帰れとも言っておいた。


 ポポルにはそのほかの材料集めを命じた。材料費はお前の髪の価値と天秤にかけろと言っておいた。奴は必死にぶんぶんとうなずいていた。


 三人を送り出した後は街で買い物。調理器具を探す。マデラさんとこと同じものはなかったけど、最低限のものはそろった。だいぶ懐が痛んだけど、クラス共用ってことでクラス資金で落としてもらえるようにみんなに相談しておくことにする。無理でもポポルに払わせればいいし。


 で、夕飯食って風呂入って今に至る。ギルがさっき帰って来て、そのままベッドでイビキをかきだした。とりあえずお疲れ様の労いの意味を込めてジャガイモの欠片を鼻に詰め込んでおいた。俺超優しいよね。

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ギルくんの正体が実はドラゴンの父とスライムの母を持つ魔王子でも驚かない
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