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316日目 ツインおねしょ

316日目


 二人して漏らしやがった。クソが。


 まだ日が昇るかどうかの早朝、なんかモジモジした二人にゆすり起こされる。『どうした?』と声をかけるも、『その……あの……』、『きゅ、きゅぅ……』と要領を得ない。まさかと思って下半身を見たら、そりゃあもうびっくりするほど大洪水の形跡があった。


 しかも、モロに俺まで巻き込まれている。なんか俺が漏らしたみたいな感じにもなっている。さすがに泣きそう。


 『恥ずかしいから、みんなには内緒にして!』って言われたけど、そんなの知ったこっちゃない。朝餉の支度をしているマデラさんに『リアとちゃっぴぃがおねしょしたから風呂入ってくる!』とデカい声で告げ、食堂で飯を食っている、あるいは出発の準備をしている冒険者にも『ガキ二人がおねしょしたせいでつらいなー! マジつらいなー!』ってきちんと周知しておいた。


 ちゃっぴぃもリアも『うぅぅぅ……っ!』って俺を恨めしそうに見ていたけど、そうでもしないと俺が不名誉な扱いを受けるのだ。あいつらはガキだからいいけど、下半身を特徴的に濡らしたまま歩くことに耐えられる大人などいるわけがない。


 で、汚れたものを全部洗濯たらいにぶち込み、湯につけて洗剤もぶっこんでおく。その間に風邪をひかないようにリアとちゃっぴぃと風呂に入った。まさか朝からガキのおねしょ処理のために風呂に入るとは思いもしなかった。


 風呂上がり後は魔法を使って汚れたものを洗濯。さすがは俺と言うべきか、シーツにパジャマくらいだったからあっという間に洗濯し終わることができた。


 『おまえも処理の仕方くらい覚えとけ』ってリアに行ったら、『わたしまだ子供だもん!』って拗ねられたうえ、『ふーッ!』ってちゃっぴぃと連携して俺の首筋に噛みついてきた。マジなんなの?


 で、朝食。『懐かしい光景だったのう……』、『あたし、あんたのせいでたまに早起きする羽目になったんですけど』、『俺が脅かした時も漏らしていたよな』、『ねしょんべんたれがねしょんべんたれの世話をする時代になったのか……』ってミニリカ、ナターシャ、おっさん、テッドに懐かしまれる。いったい何を言っているのか、まるで理解できない。


 マデラさんも、『自分がやってきたことだからこそ、迅速な対応ができたんだろう?』とニヤニヤしながらこちらを見つめてきた。『その話詳しく教えて!』って目を輝かせるリアの口には特製ウィンナー(バジルの風味がマジデリシャス。食べごたえ抜群。酒の肴にすごく人気)をぶち込んでおいた。子供は飯を食わせて黙らせるのが一番手っ取り早いのだ。


 午前中はなんだかんだでグダグダと過ごす。ミニリカに『こいつらがおねしょしたのはお前の顔面泥パックを見たせいだ』って因縁を付けたんだけど、『なら証拠を出してみい?』と挑発される。


 『今すぐこの場でもう一回やってみろ。そしたらこいつらは心行くまで漏らすぞ』って言い返したら、『ばかぁ!』っておもっくそケツビンタ(ただし、まだまだなっていない)をリアにされた。


 本当のことなのに、どうしてあんなにムキになるのか。俺の時は逆にテッドにひっかけてやったというのに。まだまだリアは鍛え方が足りないのかもしれない。


 午後はむくれてしまったリアのご機嫌取りのためにクッキーを焼く。厨房を使っていたらマデラさんが『……少し腕を上げたようだね?』ってほめてくれた。どうせならステラ先生に褒められたいけど、なんかやたらうれしかった。どうしてだろうね?


 で、リアにクッキーを貢ぐ。『わたしそんなに安い女じゃないし?』とか言いながらもあいつはバリバリ食っていた。マデラさんも忙しいから、たまにしかおやつのクッキーは作ってくれないらしい。おねだりするのも命懸けだし、その気持ちはよくわかる。


 なお、女としてのプライドもへったくれもないナターシャとミニリカ、そしてちゃっぴぃは『もっとよこせ』、『ほ、ほっぺがとろけるようじゃあ……!』、『きゅーっ♪』ってガツガツ食いまくっていた。思えば、ちゃっぴぃにはしばらく甘味を与えていなかったような気がする。


 何気なくヴァルヴァレッドのおっさんがエッグ婦人たちにもクッキーを分け与えていたのに驚いた。おっさんにも優しい心はあるんだな……と思ったら、おっさんのズボンのケツのところに無数の穴が。どうやらしたたかにケツを突かれたらしい。そりゃそうか。


 大まかにはこんなものだろう。休みだった故、リアとちゃっぴぃがおねしょしたことくらいしか書くことが無い。そしてそんな二人は今日も俺のベッドに潜り込んでいる。きっと顔面泥パックミニリカの姿が夜の闇に浮かんでしまうのだろう。俺もそうだったからよくわかる。


 あのババアロリ、ちったぁ人のことも考えてほしいものだ。おやすみずびたし。

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