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295日目 覚醒☆ギル

295日目


 夜中に奇跡を見た。夜泣きで起きたと思ったら、光あふれる聖母とも女神とも思えるステラ先生が慈愛の微笑みを浮かべてベイビーギルをだっこしあやしていた。


 しかもそれに見とれていたら、『今日くらいはゆっくり寝よう、ね?』って負けないくらい慈愛に満ちるロザリィちゃんが俺をぎゅって抱き締め、そのまま膝枕して小さく子守唄を唄いながらずっと頭をポンポンしてくれた。


 夢じゃないかって? そんなわけない。だって朝目が覚めたら、頭にぬくやわこいのがあって、しかも母なる双丘が目の前にあったのだから。座ったまま寝落ちし、それでなお俺の頭を撫で続けていたロザリィちゃんの愛に感謝を隠せない。


 いや、マジで生涯最高の目覚めだった。俺、ロザリィちゃんのためだったらなんだってするわ。これほどまでの大きな幸せをどうやって返せばいいのかちょっと見当がつかない。


 ギルをだっこし食堂へ。寝ぼけ眼&ネグリジェ姿の二人を朝から見られてちょう幸せ。ちょっとだけある寝癖を慌てて手櫛で整えるところとか、もう文句なしに可愛かった。


 朝食は基本に立ち返りハムエッグをチョイス。やっぱ塩&コショウのシンプルな味付けがジャスティス。今日はひとりで白身も食べる。『えらいぞっ!』ってロザリィちゃんが頭をポンポンしてくれた。


 ただ、『えっ、──くんって白身苦手だったの?』ってステラ先生にバレたのがちょっと恥ずかしい。『別に食べられないわけじゃなくて、好んで食べないだけです』って事実を言ったのに、クーラスが『それが嫌いってことなんだろ?』と突っ込みを入れてくる。『別に恥ずかしがることないよ! 先生も昔ピーマン苦手だったもん!』って慰めてくれるステラ先生が最高にプリティでした。


 ベイビーギルはもちろんベビーフード。最近は自分から『だー!』って口を開けて次の飯を要求してくるようになった。もにゅもにゅ食って口開けて、またもにゅもにゅ喰って……の繰り返し。『すっごく可愛いの!』ってミーシャちゃんがめちゃくちゃ嬉しそうにご飯を上げていた。


 さて、そんなベイビーギルだけど、食後にステラ先生が『一応回復薬を作ってみたんだけど、試してみる?』と薬を持ってきた。こないだ髪の毛と尿を採取していったのは日記に書いたと思うけど、あれから成分を逆解析し、反魔法要素を構築して体内に残っていると推測される異常魔法要素を対消滅させる薬を作ったそうな。


 『材料もちょっとギリギリなものばかりだし、あと精製過程に時間がかかって……』とステラ先生が説明してくれたけど、正直俺たちには何が何だかさっぱりだった。先生もできるだけわかりやすく説明しようとしているのはわかるんだけど、そもそもが専門的な事象ばかりを利用しているため、どうしてもうまくいかない。


 とりあえず、一晩寝かせないとダメだったってのはなんとなくわかった。薬の調合にも長けているステラ先生はやっぱり女神だと思う。


 そんなわけで、お昼の時間にベビーフードに混ぜてその薬を飲ませる。見るからにヤバそげな真っ赤な色の薬だったけど、ベイビーギルはきゃっきゃと笑いながらそれを喰らいつくした。


 次の瞬間、ぼわんと煙と光が迸る。魔力の匂いも凄まじい。何やら怪しげな魔力が霧散したのも感じる。


 で、アダルトギルがそこに横たわっていた。赤ちゃん服ははち切れ、おむつもぶっ飛んでいて、まあ要するに全裸。久しぶりに見たけど、やっぱりあいつの筋肉は今日もマッスル。


 突如現れたムキムキボディに女子たちと先生は『きゃあっ!?』声を上げる。『な、なんだ!?』とギルはわけもわからずポージング。パレッタちゃんは平然。ミーシャちゃんは『いつものギルなの!』とさりげなくリボンで隠しつつ飛びついた。


 『う、うまくいってよ、よかったね!』ってステラ先生は顔を赤くしたままぎこちなく笑う。まさかマジで一発で解決させるとか、ステラ先生って本当にすごい。


 午後はギルの身体チェックに入る。パッと見る限りで異常はなく、なぜ今回変化が長引いたのかの理由もわからなかった。赤ん坊になっていたころの記憶も曖昧なようで、『お袋じゃないけどお袋みたいな人たちとずっと一緒にいたような……?』って首をかしげていた。


 ただ、奴にとってはそれはあまり重大な問題でもないらしく、『なんか久しくジャガイモ食ってない気がする! あと筋肉がちょっと衰えてる!』って早速筋トレをし始めた。いたっていつも通り過ぎてもう何も言う気がしない。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。雑談中、ミーシャちゃんはずっと『やっぱりおんぶするよりおんぶされる方が最高なの!』ってギルの背中に引っ付いていた。ギルは『よくわかんないけどいくらでもおんぶしちゃうぜ!』ってポポルもまとめておんぶしていた。


 ギルはスヤスヤと大きなイビキをかいている。今日こそ夜泣きに悩まされずにぐっすり眠れる……と思ったけど、元祖クソうるさいイビキがあるのをすっかり忘れていた。俺の安眠はいつになったら訪れるのか。いっそロザリィちゃんの部屋に匿ってもらうべきだろうか。


 とりあえず、久しぶりと言うことで、慣らしの意味合いを込めてオーソドックに鼻栓(廊下に落ちてた変な試験片)を鼻に詰めてみた。おやすみなさい。

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