290日目 基礎魔法材料学:テスト対策勉強
290日目
ねえギル戻ってないんだけど。マジでなんで?
ベイビーギルの泣き声で目覚める。寝ぼけていると思ったのに全然そんなことなかった。筋肉でカチカチのはずの体は赤ん坊らしくぷにぷに。とりあえずさっさとおしめを替えた。朝から親友のケツを拭く羽目になるとは思わなかった。
ギルをだっこし食堂へ。俺が入った瞬間、『マジかよ……?』、『今度は誰の子……!?』って失礼なひそひそ声が。みんな一体俺を何だと思っているのだろうか。
でも、わがルマルマのメンツは『も、戻ってない……だと……!?』って赤子がギルであることを一発で見抜いてくれた。『しょうがないからもう一日お世話するの!』とミーシャちゃんはやけにうれしそげ。アルテアちゃんとクーラスは『これ、本格的にまずくないか?』、『何かしらの対策を考えたほうが良いかもしれん』って言ってた。ポポルとフィルラドは『やっべ、ほっぺ超伸びる』ってベイビーギルで遊んでいた。
で、ぐずるベイビーギルをあやしながら朝食をとる。昨日と同じベビーフードを作り、ふうふうして食べさせた。『ちょっと、私にもやらせてよ!』、『あーん、かわいーっ!』ってやっぱりベイビーギルは人気者。昨日構えなかった女子たちがこぞってベイビーギルにご飯をあげたがったんだよね。これが母性と言うものなのだろうか?
なお、なんだかんだでミーシャちゃんに抱かれているのが落ち着くらしく、ベイビーギルは『ほんぎゃあああ!』って泣いてもミーシャちゃんに渡すとすぐに落ち着くっていうね。でも、抱かれ心地そのものはロザリィちゃんのほうが上っぽい。ロザリィちゃんが抱っこするとケラケラ笑うんだよ、あいつ。
授業はシキラ先生の基礎魔法材料学。クラスルームに放置するわけにもいかないので、ベイビーギルはおんぶ紐で俺の背中に固定。シキラ先生、『またなんか面白そうなことしてんじゃねえか!』ってゲラゲラ笑いながら出欠を取る。
ギルの名前が呼ばれたとき、『おんぎゃあああ!』ってベイビーギルが泣いたのが印象的。女子たちからの冷たい視線に『えっ俺泣かしたの?』シキラ先生も一瞬ビビる。が、実際は隣で落書きをしていたポポルの絵が気に食わないだけらしかった。
ちなみに、今までに何度か実験の失敗とかで子供になったやつとかがいたらしい。『命に別状ないし、意識もあるんだから特別な措置は取れないぜ!』ってシキラ先生は言っていた。出席扱いになるだけまだマシだろう。
さて、早速授業に入ったんだけど、『来週期末だからテスト勉強な! ぶっちゃけやることもうねえわ!』と言われたのでそういうことになった。分かっちゃいたけどもう今年度の授業も終わりらしい。長いようで短いような、本当にあっという間だったように思える。
んで、いつものメンツに勉強を教えていたんだけど、『おんぎゃあああ!』ってベイビーギルが泣き出した。教室でじっとしているのが耐えられないらしい。何度かあやしてやっても効果なし。ポポルに変顔させてもダメだった。
結局、ミーシャちゃんがクレイジーリボンで高い高いを敢行することで何とか泣き止ませることに成功する。『えっ赤ん坊にあの仕打ちっていいの?』って珍しくシキラ先生が真顔で聞いてきた。『ギルだしあの程度は大丈夫ですよ』と返しておく。むしろ、天井近くくらいまで高い高いしないとあいつは満足しない。
夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。風呂が混んでいたため、今日はクラスルームにたらいを用意し、そこにお湯を張ってベイビーギルの湯あみを済ませた。ロザリィちゃんやミーシャちゃんをはじめ、やたら女子たちがやりたがっていたのが印象的。理由を聞いたら、『みんなお母さんになるための練習しておきたいんだよ!』ってプリティスマイルで答えてくれた。
なんか内容が短い気がするけどこんなもんにしておこう。さすがに勉強と子育ての両立は疲れる。特にベイビーギルは食欲が旺盛だからちょくちょくご飯をあげなきゃいけないし、ついでによく出す。
授業中に『ほんぎゃあああ!』ってお通じのサインが出たときはさすがに申し訳なくなった。シキラ先生、『喰う寝る出すは赤ん坊の仕事だろ! 気にせずフルチンにしろよ!』って言ってくれたけど。
ベイビーギルは俺の隣でスヤスヤと眠っている。イビキをかかないのはうれしいけど、いつ戻るのだろうか。とりあえず、背中をポンポンしながら眠るとする。グッナイ。




