282日目 冬休み最後の日
282日目
ギルの肌ツヤが良い。筋肉のキレもよい。いつも通りだと思ったら体臭がジャガイモだった……あれ、やっぱりいつも通りか?
ギルを起こして食堂へ。ギルの野郎、ギルの癖になーんか妙におどおどしていたけど、普通にみんなにあいさつされていつもの顔に戻っていた。『お前でもそんな顔するんだな!』ってポポルがギルの胸板をペチペチ叩き、『お前に比べりゃこっちのほうがよほどアレだって!』とフィルラドがギルの背中を叩く。次に何か言葉をかけようとしたクーラスが『俺どこ叩けばいいんだ?』って困ってた。ジオルドは無言で肩を組んでいた。
で、なんとなくそんな気分だったので『うめえうめえ!』とみんなでジャガイモを食す。今回はちゃっぴぃもヒナたちもヴィヴィディナもジャガイモ。ミーシャちゃんはやっぱり『ケチャップなの!』ってジャガイモにケチャップをディップして食べていた。
さて、その後なにをしようかな……ととりあえずクラスルームに行ったところ、『明日から授業なんだし、ゆっくりすればいいんじゃないか?』ってアルテアちゃんが驚愕の事実を教えてくれた。
そう、すっかりさっぱり忘れていたけど、今日で冬休みは終わりだった。あまりにも短すぎる休みに悲しみを隠せない。
しかもやった事と言えば、子守のバイトして釣りに行って朝のお散歩デートしてジャガイモ魔人を倒したくらい。全然ロザリィちゃんとイチャイチャできていないし、ステラ先生と戯れることもなかった。
余りにも自分の計画性のないことに自分で自分を呪いそうになった。なんで俺はこうも無駄に時間を過ごしたのだろう。せめて、あと百万回くらいはロザリィちゃんとデートしたかった。
もう今日は何をする気にもなれなかったので、その後はロザリィちゃんといちゃつくことにした。『明日からの英気を養うためにも、膝枕してくれないかな?』って聞いたら、『うぇるかーむ!』って膝をポンポンして招き入れてくれる。楽園への門と見間違えたけどしょうがないよね。
そしてやっぱりロザリィちゃんの膝枕は最高だった。ぬくやわこくてふっかふか。すんごくいい匂いがする。時折、『くすぐったぁい……♪』っておでこをツンって指でしてくれるところとか、もうなんともいえない。
一つだけ残念なところを上げるとすれば、膝枕状態だとロザリィちゃんのステキな笑顔を見ることができないことだろう。なんでかって? 幸せの塊が大きすぎるからだよ。書かせるな恥ずかしい。
そうそう、俺がロザリィちゃんに膝枕してもらっている間、ちゃっぴぃがこないだの異界の門鈴を持ち出してカランカランとならして遊んでいた。『きゅーっ♪』と実に楽しそう。『いい音だねー?』ってロザリィちゃんもうっとりしていた。
でさ、なんかそれを聞いていたら俺も寝ちゃったっぽい。夢の中でよくわからん緑生い茂る山道を登っていたのを覚えている。かなり急な石の階段を登って、人っ子一人いない妙な広場に行ったんだけど、そこでなんかの楽器の音色が聞こえたんだよね。
どうやらそれを奏でている人がいるらしく、なんだなんだと見に行った……ところで目が覚めた。胸元が妙にヨダレ臭い。俺の腹の上で抱き付くようにちゃっぴぃが寝こけていた。当然、腹の上で寝そべってるもんだから頭が俺の胸のところにあって、垂れたヨダレが漏らすことなく俺の胸に。
『気持ちよさそうだったから、起こすに起こせなくて……』とはロザリィちゃん。『これで許してあげて……ね♪』っておはようのキスをしてくれた。一瞬で許した。
夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。みんな明日に備えたのか、今日はずっとクラスルームでグダグダし、夜も早めに部屋に戻った。特筆するべきことと言えば、雑談中に俺がロザリィちゃんに膝枕したことくらいだろうか。
なんかロザリィちゃんの頭がのっている太腿の部分がくすぐったいようなこそばゆいような感じがしてすんげえ幸せだった。『うひひ……!』ってロザリィちゃんも真っ赤になって微笑んでいた。
ギルは今日も大きなイビキをかいている。こいつはミーシャちゃんを背中にのせて一日中腕立て伏せをしていた。俺も今度ロザリィちゃんを乗せてやってみようと思う。
とりあえず、明日の素晴らしい目覚めを期待して朝焼けの薫風を鼻に詰めておいた。おやすみなさい。
※もえるごみさんはもやしちゃえー♪ まほうはいきぶつちゃんもやっつけちゃうぞー☆




