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265日目 魔法構築学:最新の陣造法について

265日目


 ギルの口の中が暗黒。見てると吸い込まれそうになる。ちょう怖い。


 朝食はあったかココアをチョイス。ちゃっぴぃのはミルク多めの砂糖多め。最後の総仕上げとばかりにあいつはいい子を演出し、バスケットをもってみんなにパンを配って回っていた。


 演出されたいい子はサンタさんの評価対象外と言うことをどうやら知らないらしい。まあ、サンタの系譜を受け継ぐ俺はあえて評価してやるけど。


 ギルはもちろんジャガイモ。『うめえうめえ!』って食いまくってた。ちゃっぴぃもここぞとばかりにギルの暗黒の口にジャガイモを放り込みまくっていた。文字通り吸い込まれていったけど、あの中いったいどうなってたんだろ?


 授業はシューン先生の魔法構築学。ローブはズボンにイン。出席取るのがめっちゃ遅い。そして『みんな浮れているけど、今日も授業だから。クリスマスなんてチキンとシャンパンで十分だろ? というか、魔系ならクリスマスよりも研究のほうが楽しいよな!』って見事なまでの空気の読めなさ。男女問わず殺気が噴き出ているのに気づいていない。


 内容は最新の陣造法について。とりあえず適当にメモを示す。



・魔光造形法

液相の魔光硬化性魔素を満たした空間(多くは槽やその類を用いる)に細く絞った特殊な魔力(魔光)を照射し、魔法陣の所定の形状に合わせて走査していく。魔光をあてた部分が固相となり、陣としての形を確立させる。


・マギジェット方式

魔光硬化性魔素の液相(流体的に扱える状態)を吐出し、それと同時に硬化させるための魔光を照射、それを繰り返して層状に陣造を行っていく。


・高魔度溶解魔素積層方式

リール状の魔素(および魔法材料)を高魔度で溶解(流体的に扱える)状態で吐出、凝固(固体的に扱える)させて得た層を積層してベースパターンやファンクションパターンを形成する。



 最新式の陣造とあって初めて耳にする概念。まだ研究途中なところも多く、汎用性や現実問題を考えると実用化には一歩及ばないんだけど、今までにできなかったこともできるようになるのだとか。


 そして、相変わらず話が長い。みんながピリピリしているのにシューン先生は普通に長々と授業を続けやがった。こういう時くらい気を利かしてくれてもよくない? あのシキラ先生だって間接的にとはいえ、製図を休講にしてくれたんだよ?


 夕方ごろ、ノエルノ先輩、シエナ先輩、あとキイラムと男が数名きた。領収書とかのもろもろにサインをしてもらい、ガチハゲプリンやクリスマスクッキー、あと煉獄ケーキを受け渡す。『楽しみにしてたんだよね。忘れられなくてさ』、『すっごくクリスマスな感じになってる……!』って微笑むノエルノ先輩とシエナ先輩が可愛かった。


 しかも、『じゃあ、一足早いクリスマスプレゼントだ』ってノエルノ先輩がほっぺにちゅっ! ってしてくれた。おねーさんにしてもらうのもなかなか新鮮。なんか手馴れている感じではあったけど、ちょううれしい。


 シエナ先輩は『あ、う……!』って真っ赤になりながら頭をポンポンしてくれた。『シエナの分も含めたお礼のつもりだったんだけどね』ってノエルノ先輩はちょっと苦笑い。


 どうやらこないだの投げキッスでさえ相当勇気を振り絞っていたらしい。恥ずかしそうな表情でポンポンしてくれたから、俺的にはむしろラッキーだったけど。


 キイラム? 『クリスマスなんだしもっとサービスしてくれよ』ってうるさかったよ。浮いた分はそのまま自分の懐に入れるつもりだったとか。ホント、有能な時との落差がひどすぎる。


 『俺もクリスマスプレゼントとしてほっぺすりすりとかしてやるからさ。ウチの妹は俺のほっぺすりすりが好きすぎて泣いて喜ぶほどなんだぜ?』って言ってたけど、それたぶん泣いていやがってただけだと思う。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。今日はクリスマスイブのため、パレッタちゃんがサンタさんを捕獲せんとヴィヴィディナを張り巡らせていた。『憤怒の化身よ、今こそ汝の仔たるヴィヴィディナに力を貸すべき』ってクーラスも罠魔法を張らされていた。


 『ま、たまにはバカやるのもいいだろ』とはクーラスの談。あいつなんだかんだでノリいいよね。


 ちょっとざっくりしているが、これはこれからちゃっぴぃ他数名にプレゼントを仕込みに行くためである。あいつは今日はロフトで寝ているから、うまくバレないようにしたい。


 俺のサンタさんとかち合う可能性もなくはないが、向こうは熟練だしなんとかなるだろう。今年はウィルアロンティカにいるわけだけど、果たして来てくれるだろうか? いや、『何処にいても絶対届けてあげるからね!』って前に行ってたし、きっと届けてくれるはずだ。それに、ステラ先生も伝えてくれたはずだし。


 クリスマスイブなのにギルは大きなイビキをかいて寝ている。こいつの枕元にはそっとラッピング済みのジャガイモ用ズタ袋(ギルの名前とおはなさんのアップリケ縫い付け済み。あと保存魔法陣を組んでおいた)を置いておいた。


 さて、そろそろ行こう。ふと思ったけど、俺以外にサンタの系譜を受け継ぐやつってどれくらいいるんだろ? 今年もあのきれいなサンタのおねーさんたちに会えるといいなぁ。クッキーとホットミルクも用意したし、ちょっとでも休んでもらえたらいいんだけど。


 とりあえず、ギルの鼻にはリボンの切れ端を入れておいた。なんかマジで日記としてざっくりしすぎているけど気にしない。聖夜のスペシャルミッションが成功することを強く願う。

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