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262日目 基礎魔法材料学:魔平衡状態図の読み方について

262日目


 ギルの鼻がイチゴになっている……と思ったら赤いだけ。でも、仄かにイチゴのかほりがするのはなんでだろう?


 ギルを起こして食堂へ。今日は無難にトーストとスクランブルエッグをチョイス。ホントは贅沢にハムエッグも付けたかったけど、最近白身をちゃっぴぃに食べさせようとするとポポルが『お前だって好き嫌いしているじゃないか!』ってうるさいからやめておいた。


 もちろん、ギルは『うめえうめえ!』と大盛りのジャガイモを貪る。あいつ、本当に幸せそうにジャガイモを食べるけど、クリスマスのディナーはいったいどうすればいいだろうか?


 今日はシキラ先生の基礎魔法材料学。『クリスマスで浮かれているバカがいるから、課題いっぱい出してもいいよな!』ってシキラ先生は恐怖の言葉を囁いてきた。出欠の返事をするたびに『お前予定あんの?』、『彼女いるから特別課題を出そう』、『お前は……ごめん、聞いた俺がバカだったわ』などと絶好調。これ、出るとこ出たら勝てるんじゃね?


 内容は魔平衡状態図の読み方について。図がないからわかりづらいと思うけど、液相線とか固相線とかで魔法材料がどのように変化するか、ある状態においての相の組成比や物質比なんかを読み取れるようになりなさいってやつ。


 もうね、マジでこれが難しい……というかややこしい。反応のタイプによって同じ工程でも結果が違うし、液相から固相に完璧に切り替わると思いきや固相の中から固相が出てきたりとわけわからんことがいっぱいあった。


 正直真面目に全部ここに書くととてもスペースが足りないため、詳しく知りたい場合は俺のノートと教科書を参考すること。今回は何も落書きしていないから該当箇所を探すのにちょっと手間取るかもしれない。


 しかしまあ、今日は本当に詰め込みまくっていた。今までの授業の三倍くらいの密度があったと思う。黒板書くのもめっちゃ早いし、すんげえペラペラしゃべるからメモとるのが全然追いつかない。


 『ここから本気出すってこないだから言ってただろ?』とはシキラ先生の談。別に何回かの授業に分けてやってもいいんだけど、それだと細切れに覚えることになるから学習率がイマイチよくないそうだ。


 『魔系に休みはねえ。これくらいで音を上げてどうするんだ? ……とはいえ、例の発注があるからこの辺にしておこうか』と言われたときは、マジで自分のお菓子作りの才能をほめてあげたくなった。だって教室の八割が手を酷使しすぎて大変なことになってたんだもん。


 なお、『クリスマスのためならいくらでも頑張れますよ』って俺が言ったら、『……えっ、冗談抜きでクリスマスなんてないんだけど』と返された。


 初めて見るシキラ先生のガチな表情にみんなの顔が青くなる。『ホレ見ろ、クリスマスの日もしっかり授業は入ってるぞ』とスケジュールを見せられ、絶望の声が教室から上がった。


 このクソ学校、クリスマスもイブも授業を入れてやがった。マジで呪ってやろうと思う。


 なお、『俺? 今週は授業詰め込みまくって、当日は半日で仕事を終わらせてクリスマスをエンジョイするぜ!』ってシキラ先生は言ってた。どうやら、今日の詰込みは授業的な観点以外にもシキラ先生の個人的な事情が混じっていたようだ。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。クリスマスまで授業があると聞いたみんなはなんかすっごく暗い。一部過激な連中は人に見せちゃいけないヤバい顔してぶつぶつ呟いている。ちゃっぴぃもずっとぎりぎりぎりぎりと歯を食いしばっていた。


 そうそう、ちょっと前後するけどクラスルームをクリスマス仕様に飾り付けもした。簡単にリースとかを付けたり、クーラスたちがこないだ買ってきた室内用のツリーにさらにデコったりする。外の動くほうのツリーはジオルドが遅くまで登って飾りつけしてくれたっぽい。お疲れ様です。


 いつも通り力仕事を負かされていたギルは大きなイビキをかいて寝ている。俺もクリスマスプレゼントの準備を進めたら寝よう。もしかしたらステラ先生がこの日記を見るかもしれないため、あえて何を用意しているのかは書かないことにする。


 とりあえず、ギルの鼻には床に落ちてた松ぼっくりを詰めてみた。前から思ってたけどあいつの鼻ってすんげえ伸びる。グッナイ。

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