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239日目 ちゃっぴぃサプライズ

239日目


 ギルのほっぺがぷっくりしている。とりあえず突いてぷにぷにしておいた。


 ギルを起こし、ちゃっぴぃを肩車して食堂へ。昨日頑張って夜遅くまで作業して非常に眠かったため、眠気覚ましにブラックコーヒーを飲む。深い香りとオトナなほろ苦さがなかなかにグッド。ちゃっぴぃには極甘ミルクココアを入れてやった。


 あと、ロザリィちゃんもだいぶお疲れの様子。目の下にはっきりとクマができている。『それちょうだーい……』って俺のブラックコーヒーをそのままグイッと飲み干した。お疲れロザリィちゃんもプリティすぎて朝から心臓ドッキドキ。直後にブラックだとわかって『うぇぇ……!』って涙目になるところも最高。


 もちろん、ギルは今日も元気に『うめえうめえ!』とジャガイモの山を食べる。途中、通りすがりのバルトラムイスのシャンテちゃんがこっそりギルのジャガイモをつまみ食いしてたけど、『どこにでもある普通のジャガイモ……だよね?』って首をかしげていた。毎回思うけど、普通じゃなかったらどうするつもりなのだろうか。


 さて、午前中はゆっくりしようとクラスルームへ。暖炉に火を入れると『きゅーっ♪』とちゃっぴぃはあったかいところを占拠してゴロゴロしだす。さすがにもう一週間ほどたつからか、だいぶ機嫌はよくなったらしい。


 が、せっかく作ったものを無駄にするのはもったいないので、ちゃっぴぃに『サプライズがあるぞ』と声をかけ……ようとしたところでクーラスが『ほら、こいつをやるよ』ってめっちゃ手の込んだフリフリエプロンをちゃっぴぃに手渡した。


 飾り縫いが随所に施され、デザイン面も文句なし。白地を基調に赤が散りばめられていて、見た目的に結構華やか。フリフリに隠されて実用的なポケットもいっぱい。そしてちゃっぴぃの体型にベストフィット。


 もうね、それを受け取ったときのちゃっぴぃの喜びようは凄まじかったね。『きゅーっ♪』ってまさに狂喜乱舞。自分だけしかもらっていない、自分のためだけに作られらものだとわかったからか、超満足の様子。


 ちゃっぴぃが『きゅぅん♪』ってエプロン片手にクーラスのほっぺにちゅっ! ってやったといえば、その喜びようが伝わるだろうか。クーラスのやつ、若干赤くなりながら『子供にやられてもなぁ……』って照れていた。あいつもしかしてロリコンじゃね?


 ……地味にイラッてしたのはなぜだろうか?


 で、『きゅ! きゅ!』とせがんでくるのでエプロンを付けてやる。ガキの癖にいっちょまえにひらひらくるくる回ってすっげぇ楽しそう。ヒナたちも一緒になってケツフリフリをしていた。


 『なんか悪いな』ってクーラスに声をかけたら、『夏休みのローブの時にもらった型紙とかが余ってただけだ。前から作ろうとは思ってたけど、今回はタイミングが良かった』って言ってた。


 が、タイミングが悪かったのはロザリィちゃん。ご機嫌ちゃっぴぃを見て、クラスルームの入り口で立ちすくんでいる。その手には明らかプレゼント用の袋があった。


 『……あっ』っとクーラスが非常に気まずそうな表情。『……よ、よかったね、ちゃっぴぃ?』って若干涙目ながらもちゃっぴぃの頭を撫でるロザリィちゃん。『きゅーっ♪』と実に嬉しそうなちゃっぴぃ。


 『こ、これプレゼントなんだけど……』とロザリィちゃんはそれをちゃっぴぃに渡す。ちゃっぴぃ、ビリビリと包装を破いた。中から出てきたのはベイビーウェポンのコサージュ。白い魅力はそのままに、飾り紐なんかもあしらわれていて、実にオシャレポイントが高い。


 髪に留められる用のぱっちんがついてたから、コサージュじゃないかもしれないけど、ともかくオシャレなアクセサリー。どことなく、初めてのデートでロザリィちゃんに送った髪飾り(もちろん今も付けている)に似ているのは気のせいじゃない。


 もちろん、ちゃっぴぃはこれにも大はしゃぎし、ロザリィちゃんに飛び込んで抱き付いた。


 『……なんか、ホントごめん』ってクーラスが謝ってた。本当ならロザリィちゃんが一番だったはずなのに、クーラスが機嫌を直してしまったせいでインパクトが薄れてしまったのだ。


 『い、一応みんなお揃いで作ったんだよ?』と、ロザリィちゃんはもう二つ取り出し、自分と俺につけてくれた。『みんなおそろいだね!』って微笑む姿がマジプリティだった。


 聞くところによると、もともと初めてベイビーウェポンを見たときにお揃いで作ろうと思ってたらしい。で、こないだからこっそり買い物したりピアナ先生のところに行ったりして準備を進めてたんだけど、例の件があったからこの一週間で急ピッチで作ったそうな。


 午後はコサージュを付けたままロザリィちゃんと二人で悪夢椅子でスヤスヤする。俺にもたれかかってぐしぐし頭を押し付けてくるところが最高にかわいかった。『やっぱり安心するねー……』ってまどろむところなんてもう言葉にできない。


 なお、ちゃっぴぃも当たり前のように俺たちの膝に乗って抱き付いてきた。で、はしゃぎ疲れたのかそのまま眠ってしまった。意外に気が利くギルが大きな共用毛布を掛けてくれる。『今日くらいゆっくり休めよな!』ってポージングしながらサムズアップしてくれた。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。雑談中、ふとコサージュに魔力的な何かが込められていたことに気づいたので、ロザリィちゃんに『魔法的な処理でもしたの?』と聞いたところ、『愛魔法とお守り的な効果を込めた……り?』と若干目を泳がせながら答えてくれた。


 で、『ホントにそれだけかな?』とちょっと意地悪して聞いてみたら、『……えと、ベイビーウェポンの効果増強と、あとおまじないの効果を見込んで私とちゃっぴぃと──くんの髪の毛を素材に使いました……』って教えてくれた。


 『ちゃ、ちゃんと効果は保証するから! 家族の髪の毛入りのアクセサリーを付けあうのは変な事じゃないんだからっ!』って真っ赤になって弁明するロザリィちゃんがめっちゃかわいかったです。


 ギルは今日も大きなイビキをかいて寝ている。あ、あとなぜか俺の下着類の入った棚が荒らされていた。お気にのパンツとかが散乱している。下着ドロだろうか。ちょう怖い。


 で、いつのまにやら俺が作った伝統衣装をちゃっぴぃが着用し、パジャマとして使っていた。


 下の棚の俺のパンツの奥深くに隠していたのに、なんで見つかったのだろう。俺が部屋に戻ってきたときにはすでにそれを着てベッドの中にいたから、こいつは先回りしてあえて俺に見つからないように着替えたってことになる。


 たまたま偶然先回りし、短時間であるともわからない衣装を探し、そしてベッドに潜ることがこいつにできるのだろうか?


 地味に着方を間違えてるし、『きゅ、きゅー……』と寝息が不自然だし、あと尾っぽも羽もわざとらしく動いているし、こいつの考えていることは本当によくわからない。しかも、試しにベッドに入ってみたら、無言ですっげぇぎゅーっ! ってしてきた。


 本当何なんだこいつ? 日記が書きづらくってやんなっちゃう。ただでさえ寝ながら書くのって大変なのに。


 とりあえず、腕の動く範囲にあるもの……ということでなぜか床に落ちてたヴィヴィディナの抜け殻をギルの鼻に詰めておいた。


 わけわからんことをしたちゃっぴぃには罰として一晩抱き枕の刑に処することとする。俺も昔ナターシャに何度もやられてそのたびに窒息しそうになった恐るべき技だ。恐怖に震えて寝るがいい。グッナイ。

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