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229日目 基礎魔法陣製図:魔法陣のスケッチ

229日目


 起きたら目の前が真っ白。部屋の中に雲が充満しているらしい。ローブがめっちゃ湿っていて気分ダダ下がり。人をバカにしているのだろうか。


 多少イラつきながら食堂へ。なぜか俺が入った瞬間、ポポルが椅子を引き、フィルラドがトーストとハムエッグ(白身切除済み)を用意し、クーラスがガチなハーブティーを入れ、ジオルドがデザートのリンゴをグリフィンさんにしてくれた。


 あまりの手際の良さに一瞬ビビる。しかも、『パパはご機嫌斜めなのかな?』ってロザリィちゃんが不意打ちでぎゅってしてくれて超幸せ。しかも、いつも以上に情熱的にちゅっ♪ ってやってくれた。耳まで赤くしながらはにかむ顔が超かわいい。目がとろんとしているところもグッド。


 ロザリィちゃんとイチャイチャするのもずいぶん自然なことになってきたけど、毎回毎回すごく幸せな気持ちになる。この幸せをどうやったらロザリィちゃんにも伝えられるのか。俺の貧相な心じゃ一生かかっても無理かもしれない。それでも伝えようとし続ける自信があるけど。


 なお、男子連中は『あいつが拗ねるたびにこれかよ……』、『下手に刺激するよりいいんじゃね?』、『いちゃつかれる方が腹立つんだが』、『今度俺たちも拗ねてみるか?』、『うめえうめえ!』と俺抜きで朝食を取り始めてしまった。仲間はずれにされて超悲しい。


 あ、ちゃっぴぃが慰めるように『きゅーっ!』って俺の頭をぺしぺし叩いてきた。髪がぐしゃぐしゃになったけど、こいつが人を思いやることができるようになったことにパパは喜びを隠せない。あとは好き嫌いをなくしてもらおう。


 そうそう、女子からは『もはやアレ拗らせたマザコンとかそっち系じゃない?』、『男は甘えたがりが多いって聞くけどアレはちょっと……』って声が聞こえた。俺ほど自立した人間もそういないというのに、いったい何を言っているのか。


 今日の授業はキート先生の基礎魔法陣製図。パパッと課題の提出を済ませ、例の落書きを見る。高揚感がすさまじかったのは書くまでもない。


 ドキドキしながらそこを見ると──!



『わくわく』


『うきうき』


『キラキラ』


『ルンルン』


『キュンキュン』


『つやつや』


『ぽかぽか』


『おいまてなんだこれだれだこれ』


『いつもみてますよ!』


『ロリコン空気読めよ。クゼもラドも読んでるのに。フワフワ』


『アゲアゲ。↑おまえもな。字もデカすぎ』


『いぇいいぇい』


『いぇあいぇあ』


『これは参加せざるを得ない。ホイホイ』


『ぶるぶるがないってどういうことだよ』


『たゆんたゆん』


『ぷるんぷるん』


『ホイホイはねーよ。ばいんばいん』


『ぼいんぼいん』


『なんなのお前ら。めっちゃ書きたいけど余白がねえや』



 ……と書かれていた。もちろん全部違う筆跡。まさか俺たち以外にこの落書きを見ている人間がいたとは想定外。しかも野次馬のせいで肝心の内容が記載されていないっていうね。マジで余白が無くてエルの字がめっちゃ小さい。


 とりあえず、新しい紙を張り、



『途中参加者はルールとマナーを守り、情報提供をしましょう。こっちの新しい紙に書いてください。もし次も余白を消したら、うちのクラスメイトの友達(バッグにあの最強のルマルマがついている。これホント)に頼んで超イケメンで最強の組長とパーフェクトマッスルに粛清してもらいます』



 ……と書いておいた。来週こそ秘密が明かされることを強く願う。


 さて、今日は新しいところに入らず……というか、基本的なことはほとんど終わったらしいから、実戦的な能力を身に着けるということで魔法陣のスケッチを行った。


 なんでも、魔系は時に敵対者が使った魔法を記録する必要が出てくるらしく、見た魔法陣を可能な限り再現、あるいは製図として記録する能力が求められるらしい。


 『理想はチラ見した魔法陣をその場で再現することです。しかし、これは現実的に難しいため、見た魔法陣を製図に落とし込むことにより情報をまとめる必要が出てきます』ってキート先生が言ってた。ぶっ壊れた魔法陣(大規模魔法陣とか)の概略を書く時にも必要だから、意外と重要な事らしい。


 で、今回はあくまでお試しと言うこともあり、キート先生が作った魔法陣をマギスで測定して製図に取り掛かる。本当は測定器具すら使わず、見たものを見たとおりに縮尺があっているうえで製図(できれば製陣道具なし)出来るのがベストなんだって。


 これがなかなか難しい。今までは寸法とか形状とか細かく指示されてたからよかったけど、実物をポンと見せられただけじゃわかんないことが多すぎる。


 ちょっとコツを聞いたら、『先生の同期にもスケッチを専門としているやつがいますが、とにかく数をこなさないと上達しないそうです』と役に立つんだか立たないんだか微妙なアドバイスをくれた。


 ちなみに卒業後、たまに会うたびにどちらのほうがクマが濃いかキート先生はその同期と勝負していたらしい。『最近は負けるようになっちゃいましたけどね』って笑ってたけど、やっぱキート先生もクレイジーだ。


 午後のフリータイムは製図課題を済ませる。馬鹿正直にスケッチしなくてもキイラムの課題があるかららくちん。今回ばかりはロザリィちゃんも『先輩の好意に甘えるのは後輩の役目だよね!』って目を逸らしながら笑っていた。


 夕飯喰って風呂入って雑談して今に至る。雑談中はロフトにてロザリィちゃんに膝枕してもらった。あったかくてぬくやわこくて最高だった。あと、お風呂上がりロザリィちゃんの髪の毛が若干鼻先をかすめてブリリアントにエクセレント。


 『あまえんぼなんだから♪』ってちゅっ! ってしてくれたしマジでグレートな気分だったよ。俺、ロザリィちゃんが好きすぎて自分が怖い。


 なお、何かの用事でロフトに来たクラスメイトは盛大な舌打ちをして浮遊魔法陣から飛び降りてた。『今上行くな。破壊衝動に包まれるぞ』と物騒なことを言い出す。せっかくこっちが場所を考えたのにどういうことだろうか。


 ギルはクソうるさいイビキをかいて寝ている。そういやこいつがイチャつくのってあれからあんまり見たことが無い。雑談中はいっつもミーシャちゃんによじ登られているけど、あれってイチャつくうちに入るのだろうか?


 そんなどうでもいいことを考えてたらなにもかもがどうでもよくなったので、今日はなんとなく【無】を詰めてみた。もうどうにでもなーれ☆

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