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216日目 魔法構築学:テスト返却&解説

216日目


 俺のローブがジャガイモ臭い。もうやだ。


 ギルを起こして食堂へ。今日は朝からガッツリ肉を喰らう。溢れ出る肉汁と程よく効いた塩コショウが食欲を刺激しまくり。書くまでもなく超デリシャス。個人的にはミディアムが好みだけど、ここのはウェルダンだった。でもちゃんと柔らかくてなかなかにグッド。


 ちゃっぴぃが食わせろとうるさかったので、ちゃんとサイコロ状に切り分けたのをふうふうしてから口に入れてやった。『きゅーっ♪』と実においしそう。最後の一個まで食われたのが少々腑に落ちないが、全体から見れば軽微な被害……なのか?


 そうそう、ポポルも肉を食ってたんだけど、あいつはナイフの使い方が下手くそだから途中で一個床に落としてしまっていた。直後にヴィヴィディナとヒナたちで取り合いが始まる。『万象一切を喰らい尽くせ、ヴィヴィディナ』って命じるパレッタちゃんと、『混沌を超越しろ、チビたち』って命じるアルテアちゃんがちょっと怖かった。


 結果は引き分け。なんだかんだではんぶんこだったと思う。六匹かかりとは言えヴィヴィディナと渡り合うってヒナたち実はすごいんじゃね?


 なお、当然それだけでは足りなかったのか、ヴィヴィディナとヒナたちは『うめえうめえ!』とジャガイモを貪るギルの大皿を一緒になって突いていた。肉とポテトの組み合わせって鉄板だよね。


 今日の授業はシューン先生の魔法構築学。当然ローブはズボンにイン。毎回思うけど、あれって動きにくくはないのだろうか? たしかに、この時期なら結構あったかそうではあるけれど、壮絶にダサいと思う。


 内容はこないだのテストの返却。結果は大方予想通り。俺とクーラスとギルはほぼ満点。意外なことにポポルもかなりの高得点。ヴィヴィディナ式勉強法が効いたらしい。『うれしいけどなんかフクザツだ』ってこぼしてた。


 せっかくなので、クーラスと二人で『今回も大したことなかったな』って勝者の余裕を見せていたら、ギルまでも『まったくだぜ!』って輪の中に入ってきてたいそうビビった。あいつの図太さってなかなかだと思う。


 なお、フィルラドとミーシャちゃんは絶望の表情。こないだ言ってた通り、フィルラドは構成魔刃先でヘマこいたらしい。ミーシャちゃんは鼻をぴすぴす鳴らしながらギルにしがみついていた。ギルのやつ、ちょっとぎこちなく『ジャガイモ喰えば嫌なこと忘れられるぜ!』って秘蔵のジャガイモを提供していた。


 さて、そんな様子を見ていたら背中に軽い衝撃が。このぬくもりと匂いは間違いなくロザリィちゃん。どうやら俺を後ろからぎゅって抱きしめているらしい。エクセレントキュートで心臓が破裂しそうになる。


 で、『どうしたの?』ってやさしく問いかける。『……しばらくこうさせてください。これは精神衛生の均衡を保つために必要な行為です』と頭をぐしぐし押し付けられた。微妙に涙声なところがすごくキュンキュンする。なんでロザリィちゃんはこうも俺を幸せにしてくれるのだろうか。


 なお、ちょっと落ち着いたところで、『何点だったの?』と問いかける。が、”なんて”まで発した瞬間に唇で唇をふさがれた。思わぬ不意打ちにドッキドキ。『悪いこと言うのはこの口かな……!?』とぽかぽかパンチもされた。


 もう、幸せすぎて言葉にできない。いまだかつてこれほどまでに幸せなテスト返却があっただろうか。いや、ない。幸せすぎて逆にテンションが落ち着くって相当なレベルだと思う。


 そうそう、これを見ていたフィルラドが『誰も慰めてくれない……』ってチラッチラッてアルテアちゃんを見てた。アルテアちゃん、面倒くさそうに髪をかき上げ、『……こ、今回だけだ』ってフィルラドを半ば強引にぎゅって抱きしめてポンポンした。


 さすがにびっくり。唐突な行動にクラスがざわつく。あの気高きアルテアちゃんのちょっと赤くなった顔とかなかなかにレア。


 やられた方のフィルラドも予想外だったのか、真っ赤になって固まっていた。上級生は口笛を吹いてはやし立てていた。シューン先生も『えっなになにどうしたの!?』って超構ってほしそうにこちらにやってきた。


 『次のテストで良い点を取れたら、さらなるご褒美を与えなくもない』とアルテアちゃんはフィルラドを離す。フィルラド、ぽかんとしたまま首を縦にカクカク振っていた。


 なお、アルテアちゃんは『いったいどうしたの!?』ってロザリィちゃんの問いに、『あの程度で頑張ってもらえるのなら安いもんだ』って答えてた。あと、『……ご褒美にお尻触るのはありでしょうか』ってフィルラドのつぶやきには、『……これが答えだ!』って容赦ないケツビンタをしていた。いろんな意味ですげえって思った。


 それにしても、いったいアルテアちゃんにどんな心境の変化があったのだろうか。あと、アルテアちゃんがフィルラドを抱きしめる図は、どっちかっていうと拗ねた子供をあやす母親のそれに近かったことを記しておく。


 夕飯喰って風呂入って雑談して今に至る。あ、授業後にシューン先生が『決闘の準備はしっかり整えておいたからな! 宣伝用のチラシもティキータ・ティキータで作っておいたからオーディエンスもいっぱいくるぞ! 次の休みは祭りになるな!』って超笑顔で教えてくれた。


 とばっちりで仕事を任されたゼクトたちに同情を隠せない。全部終わったらハゲプリンでも送っておこう。


 ギルは大きなイビキをかいてスヤスヤと眠っている。よく考えたら明後日はアエルノとの決闘。あんま準備してないけど、ルマルマは最強だから特に問題ないと思うことにした。それに女神ステラ先生がいつでも微笑んでくれてるしね。


 ギルの鼻には夕食のデザートにチョイスしたアルジーロオレンジの皮を詰めておいた。最近健康を考えてちょくちょく食べるようにしてるんだよね。

20151107 誤字修正

20210304 誤字修正

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[気になる点] 誤字などの報告場所がわからず、こちらを利用させていただきました。 217話。 授業内容が生物学になってました。 シューン先生は生物学じゃなかったような?
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