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215日目 基礎魔法陣製図:魔溶加工を考慮した設計と魔溶記号の表示法

215日目


 俺たちの部屋が脈打ってる。不気味ってレベルじゃねーぞこれ。


 朝食はパンケーキをチョイス。なんか今日は珍しく休日エディションだと思ったら、おばちゃんが『たまにはこういう非日常感も大事だろ?』ってニカって笑ってた。たまにサプライズを仕込ませることで食堂に来る楽しみを覚えさせるらしい。


 なお、ジオルドはパンケーキを手に入れることができなかったらしく、『約定の元、ここにそのパンケーキを半分譲ることを要求する』って言ってきやがった。優しい俺はしょうがないからスペシャルにデコレーションしたうえで譲ってやった。


 でも、『いいこいいこ♪』ってロザリィちゃんが頭を撫でてくれて超しあわせ。しかも『私のはんぶんこしよっ!』ってサンドイッチもくれた。ちゃっぴぃにおいしいところを一口持ってかれたけど、最高においしかった。


 授業はキート先生の基礎魔法陣製図。前回の課題が楽だったのは実にラッキー。もしあれ普通に出ていたら、熱でダウンしたときのリカバリーが効かなかったはずだ。やっぱり課題はさっさと終わらせておくに限るね。


 そうそう、例の落書きだけど、



『わかります。風呂上がりいい匂いがするの超わかります。俺、なんだかんだでそのためにイチゴミルクを渡しに行く節がありますし。あと上級生の風呂って入浴剤あるんですか? 今度入浴剤提供してくださいよ。ラベンダー系の香り希望です』


『俺も入浴剤ほしいな。男子連中って落ち着いてはいること少ないし、せめてそういうところくらいは贅沢したいんだよ。さっさと上級生になりたいもんだ。ちなみに、アクアカーニバルなら頻繁に開いているぜ。俺は付き合ってないけど』


『は? おいまてどういうことだ? 俺も入浴剤入ってるなんて初耳だぞ? つーか一年の時から入浴剤入ってたことなんて一度もないぞ? 誓っていうが、上級生になっても入浴剤なんて贅沢なもんつけてくれないからな? エルは何の話をしてるんだ?』


『こないだ女子が教えてくれたんだよ。風呂上がりの女子ってみんないい匂いがするからさ、ちょっと気になってなんでいい匂いしてるのかって聞いたら入浴剤のおかげだと思うって』



 ……と書かれていた。なんかキナ臭くなってきた感じがする。なんで同じ上級生のはずのエルとロリコンで話にずれが生じるのか。しかも、今回に限ってはエルの話にかなりの矛盾点がある。


 とりあえず、



『エル。風呂上がりの女の子をクンカクンカすることを知らなかったあなたがどうしてそんな質問をしたんですか? 風呂上がりの女の子の最高の香りを、たかだか入浴剤の香りだとどうして納得できるんですか? 入浴剤の香りと女の子の香りは決定的に違いますよね?』



 とだけ書いておいた。こいつ、もしかして見栄張って知ったかぶって適当なことをいってるんじゃないだろうか。俺の目を誤魔化せると思ったら大間違いだ。ここはきっち締めておいてシエナ先輩の情報を吐き出させようと思う。


 授業内容は魔溶記号とその表示法について。何かの授業にもあったけど、魔法陣の陣造法の一つには魔溶加工ってのがあり、こいつは魔力塊と魔力塊を極点的に溶かしてくっつけるって方法を取っている。


 が、当然のことながら具体的にどこをどうやって溶かすのか、どんなふうにつなげるのか、加工後の状態はどのようなものを想定しているのか……ってのが重要になってくる。


 今回はその指定をどうすればいいのかを学んだ。基本的には状態の指示だから、書き加えることが増えるだけで技術的には全く問題ない。ぶっちゃけ今までと大して変わらない。


 しかし、そう思っていた矢先に『魔溶加工を想定する場合、同じ寸法、同じ形状、同じ用途のファンクションパターンであっても、細部を微妙に変える必要があります。通常のやり方で設計してしまうと、魔溶加工が不可能であったり局所的な耐久性に問題が生じるためです』とキート先生に言われてしまう。


 しかも、『そこで、今回はこのモデルに対し、裂造での設計と流造に魔溶加工を施す設計の二つの製図を行ってください』と鬼畜宣言がなされてしまった。教室に悲鳴が響き渡ったのは言うまでもない。


 マジでキイラムの資料が無かったらくじけていたと思う。キート先生、『気楽にやりましょうよ。死人が出たことはないからなんとかなりますって』って軽く言ってたけど、なんか変な方向に染まりだしてね?


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。アエルノチュッチュとの抗争が近いから、今日は特別に俺が裂造設計を、クーラスが魔溶加工設計の製図をガチで仕上げ、それぞれをギルが筋肉トレースでコピーすることでクラスのみんなの課題を仕上げた。


 ホントはダメだし、各自で資料を参考に仕上げるべきだけどそうも言ってられない。目的のために手段を選ばないのが魔系なのだ。ギルにはジャガイモをあげておいたし、みんなが幸せなんだから何の問題もない。


 アルテアちゃんとロザリィちゃん他数名が『とうとう手を汚してしまった……』って落ち込んでたので、『みんなやってる。みんな汚れている。つまり、その手が汚れているって判断する基準はどこにもない』って励ましておいた。


 『根本的な解決になってないよ?』ってロザリィちゃんにおでこをつんってされて超幸せ。なぜかエッグ婦人が執拗にケツを突いてきたのが頂けないけど。


 ギルは今日も大きなイビキをかいている。イビキに合わせて部屋が脈動して超怖い。安眠できるようにいつぞや調合したリラックスアロマオイルを鼻にたらしてみた。グッナイ。

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