213日目 基礎魔法材料学:テスト返却
213日目
ステラ先生が書いてくれた昨日の日記を読み終えた。あ、念のため書いておくけど、これ書いているのは夜ね。
とりあえず、ざっくり昨日のことから書いておこうと思う。
なんか俺、昨日は熱出して寝込んじゃったっぽい。マジで意識がない……っていうか、先生の日記を見て初めて何があったのか知ったレベル。
泣きながら誰かに抱き付いたのと、誰かが手をずっと握ってくれていたことだけはうすぼんやりと覚えているけど、ギルをプリンにしようとしたこととかは一切覚えていない。
熱を出したのなんて何年ぶりだろうか。情けないところを見られてしまったことに悲しみを隠せない。やっぱさ、弱気になるのもしょうがないとはいえ、好きな人の前ではカッコよくありたいじゃん? それに俺、デリケートで繊細な男心を持つピュアな男の子だし?
さて、今日の話に入るけど、朝目覚めたときにギル臭さが無くてマジびっくりした。で、すうすう寝息を立てているロザリィちゃんとステラ先生を見て一瞬意識が飛びかける。
もうね、マジでかわいかったんだもん。無防備な寝顔をこんなにはっきり見たのって初めてかもしれない。二人とも女の子のいい匂いがして天国に迷い込んだのかと思った。夢の中でさえ、あれ以上に幸せな気持ちになることなんてないだろう。
しばらく二人の寝顔を堪能していたんだけど、頭がはっきりしてくるにつれていろいろまずい事態なんじゃあないかという不安が襲ってくる。
いや、やましい気持ちなんてあんまりないけどさ、これ対外的に見たら結構ヤバくね?
とりあえず俺の部屋だってことだけは確認できたから、きっとステラ先生もロザリィちゃんも寝相が凄まじく悪いのだろうってことで結論付ける。そんなところもマジプリティ。
が、実際は違った。しばらくして起きた二人に事の顛末を聞かされ、看病してもらっていたことを知る。『元気になってよかった!』ってぎゅって抱きしめてくるロザリィちゃんと、『つらい時は頼っていいんだからね?』って頭をポンポンしてくれたステラ先生がもう最高すぎた。
ちょっと照れくさいけど、本当に心の底からうれしい気持ちになった。これ以上は書かない。書けない。だってマジで恥ずかしいんだもん。なんだろうねあの気持ち?
で、クラスルームへ。野郎どもが呻いていたことを記しておく。よくわからんけど全身が重度の筋肉痛に襲われているらしい。夜にいったい何があったのか、興味を隠せない。
さて、野郎どもを起こした後は食堂へ。朝食中、クラスのみんなが『無駄に心配かけさせやがって!』って暖かい(?)言葉をかけてくれてちょっとうれしかった。ギルの奴も『うめえうめえ!』って元気にジャガイモを喰っていた。俺の熱が移ってなくて一安心。
今日の授業はシキラ先生の基礎魔法材料学。内容はテスト返却で、『再履がクソすぎて何も言えねえわ』って言ってた。まあ、お察しの通りではある。
当然、俺はほぼ満点。魔晶方位で微妙にケアレスミス。一個だけ逆数にするの忘れていた。
ギルもほぼ満点。筋肉に覚えさせていないパターンの魔晶面が出題されるとは思わなかった。あと、ジャスティスに『筋肉』としか書かなかったってのもある。コメントに『迫力はあるが論理的説得力に欠ける』って書かれていた。
クーラスもほぼ満点。あいつは記述問題で余計なことを書いて減点されていた。それさえなければ満点だったかもしれないらしい。
その他メンツもぼちぼちの成績。あんだけ単位取得率がヤバいって脅された割にはいつものテストと変わりない。たぶん、再履の人間がまた単位を落とすせいで実態以上に悪く言われているのだろう。
夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。ジャスティスとかを語りまくったり、ロザリィちゃんとお話とかしたりしたけど、病み上がりなので今日の日記はここまでにしておく。
先生が書いた日記だとか、俺の着替えはどうやってくれたのかだとか、アルテアちゃんのジャスティスが物騒だったりとか、こういう時に限って書きたいことがたくさんあるから困る。
さっさと寝よう。今日は一段と文章にまとまりがないけど、病み上がりのせい&イレギュラーがあったせいだと思ってほしい。
ギルの鼻には水魔法陣を多重展開してつっこんでおいた。おやすみなさい。




