209日目 魔法構築学:後期中間テスト
209日目
部屋が超綺麗……と思ったらゴミ箱には超圧縮されたジャガイモが一個あるだけ。どうなってんの?
非常に葛藤しつつもジャガイモを窓からぶん投げ食堂へ。テスト週間だからか、やっぱりミルクの消費が少ない。せっかくなのでイチゴミルク、コーヒーミルク、フルーツミルクを作って味比べをしてみる。どれもなかなかにデリシャスという結論に至った。
そうそう、イチゴミルクにちゃっぴぃの乳を加え、俺の技術の集大成をもってスペシャルな仕上がりにしていたら、ティキータ・ティキータのゼクトが『俺にもそれ作ってくれない?』とやってきた。
が、ちゃっぴぃの乳を使っているので『タダでやれるほどちゃっぴぃの乳は安くない』と伝える。ちゃっぴぃのやつも『きゅぅん?』と舐めくさるかのようにゼクトを見下した。
しかしゼクトも粘るもので『そこをなんとか』と頭を下げてきた。『出すもんだせ』と答える。『一人の女の子の笑顔と、俺の夕飯のデザートがかかってるんだ』と縋られた。
ゼクトのデザートはともかく、女の子の笑顔がかかっているならしょうがない。ここで断ったらマデラさんの激烈ケツビンタが飛んでくる。『ちゃっぴぃに感謝するんだな』とその場でちゃっぴぃの乳搾りをし、スペシャルイチゴミルクを渡してやった。
なお、ちゃっぴぃをだっこする俺を見て『お前、ロリコンだったっけ?』とかゼクトが言ってきたので、別れ際にケツビンタしておいたことをここに記しておく。
最初に作ったやつ? もちろん俺とロザリィちゃんとちゃっぴぃで飲んだよ。『とってもおいしーっ♪』って喉を鳴らすロザリィちゃんがマジプリティだった。こっち見てちょっとニコッて笑ってから、あえて俺の口付けたところで飲むところなんて小悪魔プリティすぎる。
やっぱ一つのコップを使いまわすのって恋人らしくてドキドキするよね、うん。ちゃっぴぃがコップのふちをヨダレまみれにしなければ最高だったのに。なんであいつ全方向を舐めまわしたのか。理解できない。
ギルはもちろんジャガイモの大皿を『うめえうめえ!』と平らげていた。今日は久しぶりにミーシャちゃんもジャガイモを食べてたんだけど、『やっぱストレートは無理なの……!』って途中でケチャップとかかけまくっていた。
さて、今日は魔法構築学の中間試験。こんなときでもやっぱりシューン先生はローブをズボンにイン。どんな時でも自分の意思を曲げないその姿勢だけは見習うべきだと思う。
そしてやっぱり解答用紙が驚きの白さ。俺の洗濯テクを用いてもここまでの白さを出すことはできない。マデラさんの域に近づかないとこの白さは出せないだろうってくらい。
問題は単語の穴埋めや記述がメイン。裂造や撃造における魔度の高低の影響や構成魔刃先についての説明なんかを求められる。書く量こそ多かったものの、そこまで深い説明を要するものはなかったから、どちらかと言えば簡単な部類だった。
で、宣言通り今回はふざけた感じの問題はなかった。意外なことにシューン先生はほぼ独立して動くギルの筋肉にツッこまない。ポポルは貧乏ゆすりしないし、マジでひたすら物を書く音だけが教室に響き渡っていた。
なんだかんだでつつがなく試験は終了。珍しくシューン先生が最初から最後まで大人しいと思ったら、『まずは落ち着きを身につけなさい』って奥さんにこってりしぼられたらしい。で、むやみやたらと人に干渉しないようにきつく言われたそうな。
夕飯食って風呂入って雑談中、テストの出来栄えの話になる。クーラスは『楽勝だった』、ジオルドが『いつも通り』、アルテアちゃんが『ちょっと終盤ミスった』、フィルラドが『滅せよ構成魔法刃先』、ミーシャちゃんが『そんなことよりおさかなおいしい!』、ギルが『筋肉最高!』って言ってた。
あと、ポポルが『なんか今日恐ろしいほどできたんだけど……』って頭をひねっていたんだけど、パレッタちゃんに『ヴィヴィディナに感謝しないとね?』とヴィヴィディナを顔面に突き付けられ『ふぎゃああああ!?』って悲鳴を上げていた。あの勉強法、どうやら本当に効果があったらしい。
そうそう、ロザリィちゃんはすっごくしょぼんとしていた。『どうしたの?』って聞いたら、『テスト前に──くんの頭をポンポンするの忘れたぁ……!』って涙目で上目遣いしてくれた。超プリティすぎて一瞬頭が真っ白になる。
どうやら解答率が割と悲惨なことになってたらしい。中途半端に思い出せないのが多かったそうな。『例え単位が取れなくても、俺が一生養うから問題ないよ』って耳元で囁いたら、『悪魔のささやきは禁止ね!』って背中に頭をぐりぐり押し付けられた。
なにこのかわいい生き物。あ、ロザリィちゃんか。
ギルは今日も大きなイビキをかいている。今更になって打ち上げの準備の話をするのを忘れた事を思い出した。まあ、明日でいいだろう。
とりあえず、記録の実を鼻の穴に詰めておいた。グッナイ。




