202日目 魔法構築学:テスト対策自由演習(イチャつき舌打ちコンチェルト)
202日目
ギルが情熱的。あと瞳がハート。なにこれすごくこわい。
ギルを起こして食堂へ……言ったら、ギルのやつ、『おはようハニー!』とか言ってミーシャちゃんの首根っこをひょいとつまみあげ、お姫様抱っこをし始めた。
さすがにこれにはみんなビビる。ミーシャちゃん、顔を真っ赤にして『みぎゃーっ!?』って叫んでた。
しかも、『今日もジャガイモみたいにプリティだよ!』とか言いながらミーシャちゃんを膝に乗せ、お姫様扱いしながらジャガイモを『あーん♪』とやりだす始末。ミーシャちゃんもいくらか慣れたのか、すんげえふにゃふにゃした顔でギルにジャガイモを『あーん♪』ってやってた。
さらに、ギルはミーシャちゃんのリボンやファッション、髪形など細かいところをほめまくる。ミーシャちゃんもちゃっぴぃみたいにギルに甘えまくる。『しょうがないギルなの♪』とか言ってギルのほっぺにちゅっ! ってしてた。
それを見たロザリィちゃんは顔を真っ赤にしながらにやにやしてた。アルテアちゃんも同様。パレッタちゃんは『これまた珍しいものが……』って呟きながら天井をカサカサするヴィヴィディナにギルとミーシャちゃんから発せられる何かを捧げていた。
なお、ミーシャちゃんの真似をしたくなったのか、膝に乗ったちゃっぴぃが『きゅーっ♪』って執拗に俺のほっぺにちゅっ! ってしてきた。朝から夢魔のヨダレまみれとかちょっといただけない。
あと、エッグ婦人もフィルラドのほっぺを執拗にくちばしで突いていた。フィルラドは泣いていた。
授業はシューン先生の魔法構築学。今日もローブはズボンにイン。そして出欠取るのがめっちゃ長い。あの先生、出欠取る技術がちっとも上達しない。いったい何年教師をやっていると思っているのだろうか。
内容はもちろん中間試験のテスト対策。いつも通り自由に勉強し、わからないところは質問していいってスタイル。
そんなわけでギルの筋肉に知識を覚えさせていたら(ここでもギルとミーシャちゃんはイチャイチャしてた。人前だということをもっと意識してもらいたいものだ)、シューン先生が『ルマルマがアエルノと抗争するってホントか!?』ってめっちゃ目をキラキラさせて聞いてきた。
どうやら、ゼクトたちから情報が漏れたらしい。『なぁなぁ、先生にも教えてくれよぅ、先生こういうの結構好きなんだよぅ、ティキータは抗争とかやってくれないんだよぅ』と特有の構ってちゃんっぷり&うざったさを見せつける。『テスト内容教えてくれるならいいですよ』って言ったら、『今回はサービス問題はないぞ!』と、あってもなくてもどうでもいい情報を教えてくれた。
で、『近いうちにアエルノと決闘します』と概略だけ伝える。『じゃあ、決闘場の申請と胴元、あと治療班と整備班、結界師を準備しとくな!』と超ノリノリ。なんでこの人こんなに乗り気なんだろうか?
夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。ギルとミーシャちゃん、夕食中も『あーん♪』ってやってイチャつきまくっていた。
ミーシャちゃんは『ほっぺについてるの♪』とか言ってギルのほっぺについてたジャガイモをちゅっ! ってとってたりしてたし、ギルも『ありがとハニー!』とか言ってミーシャちゃんの喉をゴロゴロしてイチャついていた。
雑談中もギルはミーシャちゃんを悪夢椅子に誘ったり、ほっぺにちゅっ! ってやったりいやに情熱的で暑苦しかった。ミーシャちゃんも満更でもないようで、『甘えんぼなの♪』ってギルの頭をポンポンしたり、ギルをぎゅってしたり、ギルによじ登ったり、あのデカいギルの頭を膝枕したりしていた。
さすがに舌打ちが隠せない。あまりのイチャイチャっぷりに見ててすっげぇイライラしてくる。『公衆の面前だということを考えろ』ってギルに言ったら、なぜかほかのメンツから『てめえが言うな』って容赦ないケツビンタをされた。解せぬ。
でも、『私たちも見せつけなきゃね♪』ってロザリィちゃんがちゅっ! ってやってくれたのぉぉぉぉぉ! もちろんくちびるね! お風呂上がりのいい匂いもしたし、すっげぁふわふわでやわらかいしで超幸せ! 思わずぎゅって抱き締めちゃったぜ!
なお、アルテアちゃんが『こんなにもイチャつくやつがまだいたとは……』、フィルラドが『俺もイチャつきてえなあ……』、パレッタちゃんが『今日だけで……こんなにもヴィヴィディナが糧を得た……!?』、ポポルが『イチャつくのって楽しいの? 俺よくわかんないんだけど』ってギルとミーシャちゃんを見てつぶやいていた。
ジオルドとクーラスは『ギルのくせに……! ギルのくせに……!』、『クソがぁぁぁぁ!』って血涙を流してた。『お前らちょっとは落ち着けよ』ってロザリィちゃんと手をつなぎながら諭したら『はったおすぞコラァ!』って呪を放ってきた。
理不尽な男って超怖い。ヒステリー起こすとか本当にやーね。あ、呪は愛の杖がかき消してくれたよ。やっぱ愛は無敵だ。
情熱的なギルは『愛してるよハニー……』ってむにゃむにゃと愛を囁きながらクソうるせえイビキをかいている。明日には元に戻るだろうけど、こいつには今日の記憶が残っているのだろうか。
どちらにせよ、今日と同じということはないだろう。少しミーシャちゃんには悪いことをしてしまったかもしれない……が、案外これでギルも変わるかもしれない。
なんとなく、目覚めの雫をギルの鼻にたらしておいた。うまくいけば俺は恋のキューピッドだ。親友のために頑張るのも悪くない。いろんな意味で、いい夢を。




